13話
山羊と羊の世話は小さなインプがうまくやってくれている。
驚くべき事に、家畜もインプをさほど恐れない。
まぁ、子猫ほどの大きさのインプに恐れを抱く獣も少ないだろう。
「よぉ! 今日は朝からか?」
「あぁ、一日一体でもすごい年月がかかる気がするから・・・・」
算術も習ったことが無いセルジオだが、数くらいは数えられる。
一年で400位、十年で4000体、400万だから一万年ぐらい生きないと計算が合わない。
・・・・地道に頑張っても、閣下と呼ばれそうな年齢まで生きないとならない。
という訳ではないが朝からダンジョンに潜る。
荷物持ちが欲しいので、インプにメダリオンを付けようとすると酷く嫌そうな表情をした。
殆ど無表情の魔物もこんな表情をするんだと言った、酷く情けない表情だった。
巻物を持って来たとき、平気だったから行けると思ったが、子猫程の大きさのインプに何が出来ると問われると、答えに詰る。
当然ジードにも頼んでみたが、ケンモホロロであった。
村長には・・・・頼んでいない。
坂道を駆けあがるだけで、倒れそうになっていた村長である。
セルジオの気持ちも、分からないでもない。
結局、一人で地下へと降りていく。
カンテラの光がユラユラと影を揺らす。
坂道を降り狭い横穴を抜け、開いたままの戸にたどり着いた。
「そういえば、ここを開けたままにしてからインプが上がってきたんだよな・・・・」
帰りには閉めておこうと念押しする様に、トントンと額に指をあてる。
扉を出て左に進む。
左の壁伝いに歩むと、初日に倒した遺体の場所に着いた。
今日は柄の短い箒と布袋を持ってきている。
カンテラを頭上に掲げ周りを見る。
かすかに向こう側の壁が見える。
天井は合掌したような波打った形をしていた。
「うわぁ広いな、50歩くらいは有るなぁ」
天井の陰影が、カンテラの光で揺れ動く。
カンテラを持った手を大きく左右に振る
向こう側の壁の近くに何かの影がある。
「あっ、有った」
ブーツだったらしいモノが転がっている。
触るとボロボロと崩れてしまうので箒で布袋に掃きいれた。
「杖?折れてるけど、いいか」
「他にも、ご遺体が有れば連れて帰りたいな・・・・」
布袋を腰に下げ、再び先へと進む。
4~500歩程歩くと幅広く長い神殿のような部屋の天井が大きく崩れ先には進めない。
「掘れるかな、掘れたらすごいなぁ」
セルジオが意味も無く、かっこ付け石鋤構える。
「穴堀名人、ザン!セルジオ!!」
一人で効果音まで付けて決めてみる。
・・・・
恥ずかしくなったので、掘り始める。
掘れないことは無いが、鋤で掘れる量など高が知れており。
掘っても掘っても上から土が降りてくるだけで、どうしようもない。
「・・・・反対側を見に行くかぁ」
セルジオは石鋤を肩に掛け右手にカンテラを掲げる。
そして、踵を返し、左手で壁に触れながら進んでいった。
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