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いつもダンジョンに居ます  作者: ねむねむぴよ
第二部 二章 生きたダンジョン
231/256

199話


 鋭くとがった礫の積もった道が終わると、一面粒子の細かい砂の地面へと変わった。

 セルジオは手で砂を救い上げ、カンテラの灯りで確認すると、透明度の高いキラキラ光る石英が多く含まれた砂であることが分った。


 「角が取れた砂・・・・嘆きの湖の砂に少し似ている・・・・」

 ガラス質の濁った色の砂ではないが、触った感触が滑らかで、指の隙間からサラサラと零れ落ちる。


 「ピギィ!」


 インプが呼んでいる。

 足を痛めた囚人達も、幾分歩きやすく成った足場の為すぐさまインプへと合流できた。

 そこは、見渡す限り広がる広大な地底湖だった。


 ・・・・


 インプは両手で掬った水を、セルジオに差し出してきた。

 小さな手で掬った水の殆どは、湖の畔から数十歩の位置に居るセルジオの場所まで運べずに、殆どが零れているが、彼等の手の中に僅かな水が残っているのが見て取れた。


 「あぁ・・・ありがとう」

 水を見せてくれたインプに礼を言うと、彼等の足跡をたどり水際に近づく。


 セルジオの知っている嘆きの湖は瘴気が強く、生き物らしい生き物は居なかったのだが、後に湖底には大型の魔物が大量に生息していたことが分った事もあり、幾分緊張しながら湖に近づいて行く。

 その後ろを囚人達が続く・・・・


 鏡の様に静寂の広がる湖・・・・・


 時折水滴が落ちてくるのか、小さな水紋が鏡の表面に幾何学模様を描いている

 恐ろしく透明度の高い水は、遠浅の湖底を光の届く所までその姿を曝していた。


 インプが湖の水に口を付け呑んでいる。

 ここの水が飲めると教えているようだ。


 囚人達もインプに倣い、喉を鳴らしながら飲み始める。

 ゴーレムを見ると、持って来た空の酒樽を水に沈め飲料水を確保してくれているようだ。

 セルジオも喉の渇きを覚えており、彼らと同じように直接湖の水を飲んだ。


 ・・・・


 大量の綺麗な水。

 皆が水を飲み終えたのを見て、酸っぱい臭いの衣服との別を決意する。


 ただ、あまりにも澄んだ水を、ゲロ塗れの衣服で汚すのは少し気が引けるが、鬱になりそうなセルジオは酸っぱい臭いのする体を洗うことにした。


 皆の目を気にせず服を脱ぎ、下ばきだけの姿になると衣服を持ったまま湖へと浸かる。


 湖の水はかなり冷たく、いろんなところが縮み上がる。

 まずは頭から水に漬かりジャバジャバと頭を洗うと、持って入った麻布でごしごしと体を擦る。

 透明だった水が僅かに濁る。


 何度か頭から水に漬かると、側で水しぶきの上がる音が聞こえ始めた。

 少し離れた場所で囚人達の女性が、更にその先で男性陣が水浴びを始めたようだ。


 そして、直ぐ近くで聞こえる水浴びの音・・・・


 顔を向けると、全裸のシルフィアが水浴びをする姿が、視界に飛び込んだ。


 「・・・・はうぅ!!! 」


 カンテラの灯は遠く、落ちる影は濃い。

 全てがはっきりと見えないが、水に黒い滴がおち、水面に漂う。


 その中央に、金髪で色白の少女が、水中に潜っては立ち上がり体を擦る行為を繰り返している。

 その様は正に妖精・・・・


 思わずガン見してしまいそうになるのを堪え、背ろ向けて水面を見る。


 そこには、半裸のセルジオが写っているのだが・・・・その姿に妙な違和感がある。


 セルジオは波を立てないように静かに佇み、その姿を凝視した。


 「・・・・だ、誰だ?此奴・・・・」

 そこには、セルジオの知らない人物の顔が、驚愕を表す表情で写り込んでいた。 

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