198話
目の前を、颯爽と歩くインプ。 彼等が鼻歌を歌えるのであれば、確実に歌っていそうな足取りだ。
小柄な使い魔のピョコピョコあるく歩みは、ただでさえコミカルに見えるのだが、目の前の彼らは確実にスキップしている様に見える。
果てしなく続く綺麗に整備された通路の一部、いまだ剥き出しのままの岩肌の見える場所に横穴が有りインプ達が時折振り返りこちらをチラ見して暗闇に飛び込んでいく。
セルジオは足元を照らしていた魔石カンテラを掲げ、光が届く先を見据えた。
「自然の洞窟かな・・・・」
セルジオがのぞき込む傍らからシルフィア他の女性陣が覗き込む。
リバース以降、彼女等の対人距離が何故か近い。
その後を、男性囚人達がゴーレムを殿に入ってくる。
セルジオは少しだけ『なんで俺が先頭なの?』と思わなくもないが、酸っぱい臭いが鼻を突く度に話しかける気がしなくなる。
クレバスの底といったら良いだろうか、岩盤が裂けそこに空間が出来、たまたま通路の様になっている場所を一行は進んで行く。
足元は滑落し砕けたのであろう礫が敷き詰められ、足で踏みしめる度にジャリゴリと岩を食む音がする。
裸足のインプは、尖った礫を苦もなく踏み進むが、囚人達の足は限界といった風であった。
「少し休む?」
シルフィアがセルジオの裾を引き、声を掛けて来た。
そんな折、光の届かない暗闇の先からインプの声がした。
「ビギィ!」
一匹のインプが暗がりから現れ、再び踵を返す。
どうやら付いて来いと言いたいらしい。
そして、インプに従い進む一行の眼前でクレバスは終わりを告げ、大きな地下空間へと辿り着いた。




