192話
※シルフィアは稀少種エルフで70歳を超えております。
見た目は、小柄でガリガリの12~13歳程。
現状はドロドロに汚れており、見た目で性別が解りません。
通路にカンテラの灯りが揺れる。
セルジオの腰の後ろには、ベルトに手を掛け付き従うさせ細ったエルフの子が歩いている。
足元にはいつしか砂利のような物に替わり踏みしめる度に、ザリザリと音を立てた。
空間が生暖かい。
周辺から羽音が聞こえる。
セルジオはしゃがみこみ、砂利を確認する。
砕けた小石に交じり、小動物の骨が複数混じっている。
ネズミだろうか、しかしその頭蓋骨は猫ほどに大きい。
「シルフィア、足は大丈夫か?」
セルジオは振り向き彼女の足元に跪く。
裸足の足裏を確認すると、幾つもの切り傷から血が滴っている。
「あぁ・・・・こんなに成るまで・・・・何で言わない?」
セルジオが見上げると、プイと顔をそむける。
足を調べている間、彼の肩に手お置いたシルフィアの顔が真っ赤に茹だっていた。
「しょうがないな・・・・そこに座って」
セルジオが背嚢から革袋と毛布を取り出し、地面に敷く。
酒瓶を取り出し口に含み、まだ比較的綺麗な布を取り出した。
シルフィアが腿をしっかり閉じて革袋に腰掛ける。
だが、セルジオが有無をいわさずヒョイと足首を持ちあげた。
「なぁ!? ひゃぁ・・・・」
シルフィアの目が泳ぐ、私も女の子なんだから少しは考えろと言いたい。
言いたいのだが、其れよりも見られたくない。
『見える!見えちゃう!! それ以上持ち上げたら・・・・あぁぁ・・・』
必死に布袋服の裾を下げ毛布で隠そうとするが、手を動かすと実にヤバい。
布袋に手と頭を出す穴を開け、ハタハタするからと布紐を貰い腰で縛っただけ。
彼女の身長もセルジオの胸近くまである為、袋の裾は腿のかなり上の方までしか覆えてない。
そんな彼女の足首を持ち上げればどうなるか・・・・
必死にシルフィアは裾を下げる。
するとお尻が丸出しになる。
お尻側を下げると、前が持ち上がる。
「ふぇ、ひぃゃ、ふみゅ・・・・」
羞恥に悶え涙目になり、抗議したいが、こちらを見られるのも避けたい。
もうどうしていいか解らず、頭の中が大混乱だ。
軽くパニックになりかけのシルフィアを他所に、ブフ!と酒を足裏に吹きかけ布でふき取る。
「あぁあ・・・・結構砂を噛んでるじゃないか・・・・ちゃんと言わないと」
セルジオは彼女の顔を見ずに、黙々と傷口を清めてゆく。
シルフィアの心臓は凄まじい速さで鼓動を打ち、口から出て来そうだった。
傷口を拭かれ、セルジオの息がフーフーと吹き付けられる度に背中にビリビリとした感触がはしる。
『見るな、見るな、見るな・・・・あぁ、フーフーするなぁあぁぁぁ・・・・』
セルジオが触れる足首の付近から、鳥肌が立ちゾワゾワとした感触にじっとり汗が噴き出してくる。
・・・・
セルジオは革袋を足裏に合わせ、何重かに重ね大まかな寸法を測る。
そして切れ込みを入れ始め、再び足裏に合わせると、点々とナイフで穴を空け布紐を通し始めた。
「もう・・・・そんなに足を引くとやりずらいから・・・・」
そんな事を言い、ぐいっとシルフィアの足を引くと彼は靴作りに集中していく。
『だ、だめ・・・・もう、もう見えてる。見えてるからぁ・・・・あぁぁぁぁ・・・・』
セルジオの背中では、布袋の服が完全に捲れ上がり大事故に成っている。
彼女は必死に毛布で隠すが、腰が浮いていてうまく身動きが取れない。
不自然な態勢で毛布を腿にはさみ、力を込めるためプルプルと膝が震える。
セルジオが更にシルフィアの足を引き、皮の長さを足首に合わせていく。
シルフィアはもう足に力が入らない。
唯一の防壁だった毛布がハラリと落ちる。
腰から膝までの力を使い切り、羞恥プレイにシルフィアがピクピクと痙攣していた。
そんな彼女に、セルジオは気付いていない。
気付くどころか、自分の作る革靴の出来に少し悦に入っている。
・・・・
手際よく布紐で編むこむ様に形を整え、即席の革靴を両足に作り上げた。
「もうこれでいいから、立って見て・・・・って、あれれ?」
まっかに茹で上がり、潤んて虚ろな瞳でセルジオを恨めしそうに睨むシルフィア・・・・
ナワナワと震える足で、必死に毛布を手繰り寄せる。
しかも腰が砕け立てそうにない。(おもらしまでしてそう・・・・)
「いや、俺・・・・ケガした足を拭いて、靴作ったけど・・・・って、えぇ?!」
どう見ても、少女を襲った後の図である。
「いや、ごめんなさい。そんなつもりじゃなかったんだけどって、うがぁ!無実だ!!!!!!」
突然の大声に、驚いた蝙蝠が岩壁から滑り落ちる。
セルジオの声が、蝙蝠の舞う暗闇に虚しくこだました。




