10話
聞き覚えのある声がする。
「おい!セルジオ! 起きろ!セルジオ!!」
「セルジオさん!!」
目を覚ますと、見慣れた小屋の屋根裏の下、ジードとニーニャが泣きそうな顔で彼を見ていた。
『俺、倒れたのか・・・・』
手の中にメダリオンの感触がある。
『あれ? 夢じゃない?』
次第に覚醒する意識、夢の中の出来事がよみがえる。
「ジード、ニーニャさん、俺ダンジョンに行かないといけない」
昏倒から覚めて直ぐの告白に、二人は更に心配そうに見つめた。
「お前、頭でも打ったのか?」
「お、お水です」
ニーニャが渡す柄杓から水を飲み起き上がる。
「なんか良くないことが起きているみたいなんだ」
心配する二人に構わず話しかける。
「家畜小屋に来てくれないか?」
セルジオは石鋤を抱え、首からメダリオンを下げると二人を家の横の家畜小屋へ導く。
「「!?!! 魔物」」
少し元気になったガリガリのインプが二人から隠れるように干藁の影に隠れる。
「ニーニャさん、これ」
セルジオは持ち出した巻物をニーニャに渡す。
「・・・・魔法のスクロール、もう魔力は残ってないけど酷く珍しい物よ」
眼鏡を直し、マジマジと見つめた。
「これ、ドラゴンの皮かも・・・・
もしドラゴンの皮なら、これだけで金貨1000枚に成るわよ?・・・・」
ニーニャは目を細め、なにやら思い詰めた表情で再び口を開いた。
「・・・・セルジオさん、畑に私お店開いていい?」
商魂逞しい商人の目をしたニーニャが、セルジオを見つめる。
「え?・・・・こんなとこにお店出しても「大丈夫!いいでしょ?!」うん!」
完全に押し切られたセルジオと、満面の笑みを浮かべるニーニャ。
そんな二人を眺めるジードがそわそわしている。
「ニーニャさん、俺、村長呼んでくるから! セルジオを頼む!」
ジードは羽が生えたように、駆けて行った。
「承知したわ! 絶対に(いろんな意味で)離れないから!!」
ひらひらと手を振りジードを見送るニーニャと、良く解らない展開に付いて行けないセルジオだった。
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