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いつもダンジョンに居ます  作者: ねむねむぴよ
第二部 一章 古の廃城
219/256

187話


 歩む足元の石が僅かに沈み込んでは、燐光が辺りを照らす。


 違和感と言えば、石の下で何かが潰れる感触があることだろうか・・・・

 石を剥がして確認する気持ちになれない。


 時折グチュ・・・ブチュ・・・・と僅かな音も聞こえるので尚更見たくない。


 風の吹き込んできた通路を進むと、通路が下り勾配になり始めたようだ。

 一歩一歩、慎重に進むため移動距離は稼げていない。


 ズ ズズズズ ズズズズズズ・・・・・


 再び、壁の中を何かが蠢く気配がする。

 かなりの大型な何かが、壁に身を擦りつけながら這いずる気配。


 セルジオは息を潜め、気配が去るのを待つ。


 ズズズズズズ ズズズ ズズ・・・・


 気配が遠ざかる。


 「・・・・なんか無茶苦茶大きな生き物? 出会い頭に有ったりしたら怖えぇ・・・・」

 思わず独り言ちる。


 這いずる振動に合わせて、壁を作るブロック状の石がカタカタと震えた。


 震えるブロックに耳を当てる。


 キチチ クチュ ググニュ・・・・

 「わぁ!・・・・」

 セルジオは慌てて飛びのく。石の裏に多くの生物が蠢く音が聞こえたのだ。


 あまりの気持ち悪さに、その壁を足蹴にする。


 ドン! グララ・・・


 大太鼓を打つような反響音。

 壁の向こうは空洞の様だが、壁の厚みはかなり薄い。

 そう感じたのと同時に、壁が軋みたわむ。


 ググググ・・・・ゴトトト・・・・

 壁の上部が向こう側へと崩れ始める。


 ゴバァ! ゴロロロロドドドドドドド・・・・・


 大量のブロックが壁と天井の隙間から零れ出し、瓦礫の山を作り出す。

 通路側の天井が壊れなかったのは運が良かったのだろう。


 燐光が土煙でかすむ。

 更に、壁の隙間から大量の管虫と甲虫も吹き出しそこら中でウネウネ、カサカサと身を捩る。


 「う、うわぁ・・・・!!!」

 セルジオの全身に鳥肌が立つ。

 ブロックの瓦礫の隙間からも、半分潰れたような管虫やら甲虫やらが這出てのたうつ。


 ・・・・


 セルジオの眼前では、体液を滴らせ体が千切れても尚生きている虫を他の虫が寄って集って喰っていく。

 喰いカスの足や甲皮がポロポロと当りに転がりちる。


 虫達が、こちらに向かてくる気配もないので、吐き気を堪え顛末を見守った。


 次第に虫の数が減っていく。

 腹を満たした虫たちは、石の隙間に帰って行く。

 入れ替わる様に粘菌が緑色の燐光を発しながら、甲虫の殻を取り込み気持ち悪い情景を幻想的な光で包み隠してゆく。


 しかし、まだしつこく餌を探す管虫や甲虫がもぞもぞと、疎らに周囲を這いまわる。

 だが突然何かの気配を感じたのか、慌てて石の隙間に潜り込み始めた。


 ブリュルルル・・・・


 粘性の高い何かを押しつぶすような音が壁の奥から聞こえる。


 セルジオは息を潜め身構えた。

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