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いつもダンジョンに居ます  作者: ねむねむぴよ
第二部 一章 古の廃城
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173話


 冒険者パーティの希望のともしびは、王国領でも屈指の強者つわものだ。

 今回、ゴートフィッシュ領の古代遺跡:ゴダールの城の調査依頼が領主から出されたと聞きギルドから呼び出しを受けた。

 彼等の目が輝いている。


 『すべては大恩ある当主の為に!』


 希望の灯のメンバーはその依頼を二つ返事で受ける事となった。


 ・・・・


 政情不安の都は、未だに正常とは言いがたくクーデターを半ば成功させた貴族達が未だにゴート王の捜索を行っている。

 戒厳令の敷かれた王都の夜間外出は禁止され、武器の携帯は許されていない。

 そんな御触れが出ているにも関わらず、物騒な王都では保身の為、王都に残る者達は密かに携帯している。

 夜が来るたびに人が死ぬ。

 まともに仕事も出来ない都では餓死者は更に増え、民草の死骸から漂う死臭と瘴気が都に影を落としていた。

 そんな都をホームにしていた希望の灯のメンバーは少しでも人々を救いたいと活動を続けていたが、混迷を深める王都では国家規模での救済を必要としておりひたすら己等の無力を感じずにいられなかった。

 そんな彼等に都を離れる住民の護衛依頼が出され、それを受け、ゴートフィッシュ領を目指す事に成ったのだ。


 移動中の食料は無い。

 道中狩りを行い食糧を確保するが、1000名を超える住民の移動にとって焼け石に水。

 弱い物が次々と倒れ、道々墓穴を掘り漸くゴートフィッシュ領に着いたとき唖然とした。


 一面の荒れ地。

 こんなところで生きて行けるとはとても思えなかった。

 しかし、領地の当主は何事もなく彼等を受け入れた。

 どこからともなく運び出された大量の食料を無償で与え、飢えを癒した。

 命を存え領地に到着したものは400名に満たなかったが、それでも感謝した。


 希望の灯のメンバーは移住者への施しに感謝し、当主に面会を望んだ。

 暫定の居留地は瞬く間に設えられ、雨露を凌げるようになり、高額のお布施を平気で要求する教会関係者は無償で病気の者を治療してゆく。

 別天地、地上の楽園だと思えた。


 季節は進み荒れ地いはみるみる下草が生え始め荒れ地は草原に変わって行く。

 夏の盛り、入植者が欲に駆られ廃城に忍び込む事件が起きた。

 領内には仕事が溢れているにも拘らず、ゴダールの遺構に一攫千金の夢を見たようだ。

 しかし、だれも帰って来なかった。

 今になれば容易に分るのだが、遺品に手を伸ばした者を死霊が許さなかったのだ。

 そのような不埒な輩が後を絶たず、比較的早い段階で湖を監視する櫓が立てられた。


 そして、湖底の化け物が目撃されるに至った。


 監視の目を掻い潜り、古城に忍び込もうとする三流冒険者がそれらに襲われる。


 そして、遂に当主が手を打ったのだ。

 希望の灯のメンバーは、廃城の下見を二つ返事で受けた。

 『当主に受けた恩を返す機会だ!』

 メンバーはみなやる気に満ち気力が漲るのを感じていた。


 事前の説明を受け、『くれぐれも宝物には手を付けない様に』と幾度も釘を刺された。

 彼らにとって当主の依頼であり、ラットを除きそんな不埒な事をするものはいない。

 そのラットでさえ、この領地で暮らす事は他に替えられないものであったのか素直に従った。

 それが講じて生きて戻る事が出来た。


 話によると、当主は独りでダンジョンに潜り死霊憑と渡り合い、巨大なゴーレムとも単身で渡り合い殲滅せしめた剛の者であると皆が言う。

 見た目では、とてもそのようには見えない。

 それでも当主の人気は絶大で、彼等の知る貴族とは天と地ほどの隔たりがあった。

 そのことを抜きにしても、何故か当主を信じることが出来た。


 そしてこの度、その当主と共に廃城を探索するという誇るべき依頼を受ける事が出来た。


 目の前にいるセルジオ様

 彼等にとってセルジオは英雄であり王であり救世主である。

 滅多な事で緊張しない強者達であったが、その拳には力が篭っていた。

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