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いつもダンジョンに居ます  作者: ねむねむぴよ
第二部 一章 古の廃城
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172話


 セルジオは考えていた。

 『俺ってなんで調査に参加してるの? 戦えないってみんな解ってるの? えぇ?!』

 心の声が表情に出ているのか、サラとシャロンが心配そうに見ている。

 『しかも、なんでサラとシャロンまで? 彼女達も戦えないでしょ?!』

 心配そうな視線を、もっと心配そうな視線で返すセルジオ。


 「先日下見で潜入した場所は、地図に起こしてあります」

 ブロッソがセルジオに革用紙を差し出して来る。

 セルジオはそれに軽く目を通し、辺りの様子に目を配る。


 大ガザミの戦闘後、一週間ほど経ち、ジードとカジミールの門徒の尽力で水位は更に下がり、一部城下町の残骸が湖面に顔を出している。

 新たに出来たクレーターと嘆きの湖の間には簡易の水門が作られ、カジミールの門徒が魔法で湖の水を24時間三交代で抜き続けている。

 一週間前と比べ、透明度の増した湖の瘴気は随分と薄くなっているものの、廃城のみは未だに周辺の景色が歪むほど濃密な瘴気に包まれていた。


 廃市街地の所々で、虫の息の甲冑魚が弱弱しく尾で地面を打っている。

 それを私兵が取り囲み、小振りなものは研究目的で生け捕りにし、大きな物はその場で止めを刺されている。

 その他に、カジミール門徒の集団が5人組のパーティを組み護衛の兵士に護衛されながら遺跡の調査を行っていた。


 ・・・・


 「ここって、幽霊だらけなんだけど皆みえてる?」

 セルジオは城門から城下町をみながら皆に問いかけた。

 「え? そうなんですか?」

 サラが鳥肌をたてながらセルジオの左腕に縋りつく。

 「な!? 妾には見えぬが、冗談ではないのか?」

 シャロンもサラに負けず右腕に縋りつきながら、サラに対抗るすような視線を向ける。


 「そうねぇ、靄のようなものがそこら中に漂ってるわねぇ・・・・」

 クディがセルジオに答える側で、アレクがゲェェと嘔吐している。そしてその背をレシアが適当に摩っている。

 「そうですね、市民の残留思念でしょうか・・・・普通に生活するような行動をしておりますな」

 カジミールが魔力の篭った目で城下町を見ていた。


 ・・・・


 セルジオの目には、理由は解らないが、彼らより鮮明に幽霊の存在が見えていた。


 街を行き交う兵士の隊列。

 出店、商店の前で立ち話をする女性達、荷物を運ぶ奴隷の様な人々、荷馬車や花売り・・・・

 数千年の間、城が落とされる前の生活を毎日同じように繰り返しているような風景。

 少し前に通り過ぎた荷馬車と同じ馬車が、再び通りの向こうから現れる。


 魂はこの場所に捕らわれ同じ時間を永遠と繰り返しているように見える。


 そしてその場所から湧き上がる瘴気が、城の城門へ流れ込み濃ゆい瘴気に混ざってゆく。


 「はぁ・・・・ここだけで数十万くらいの亡骸なきがらがありそう・・・・」

 セルジオは何となく感じていた。


 『ここもダンジョンの一部なんだ』・・・・と

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