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いつもダンジョンに居ます  作者: ねむねむぴよ
第一部 四章 そして全ては砂塵と化す。
189/256

159話

数日飛ばしてしまい申し訳ありません。

年度末の打ち合わせで、気持ちが萎えてまして遅くなりました。

話を一気に進めるつもりです。

お付き合いいただけると幸いです。


 元村長やクディ達から皇国の進軍の情報公開をおこなう旨、セルジオに伝えてきて既に5日。

 セルジオ村およびゴートフィッシュ領の状況は全くといって変わった様子が無い。


 それはセルジオだけでなくセルジオ家の面々も感じているらしく、『みんな呑気だよねぇ』などとメイド達もお気楽な世間話をしていたりする。

 その様な折、カジミールがセルジオの下を訪れていた。


 「セルジオ様、かねてよりお約束しておりました、迎撃用の罠の敷設に取り掛かります。

 セルジオ村南方10kmから【嘆きの湖】周辺に、要石キーストーンの設置と、転送用の記念石柱オベリスクの設置の許可を頂きたいのですが、宜しいでしょうか? 」


 カジミールが執務室のテーブルの上に、要石と記念石柱の設計図と地図にマーキングされた設置場の略図を広げて見せる。


 「これは、すごいわねぇ」

 クディが魔法構築用の起動式と魔動配線図を前のめりで見ている。


 「良く解らないのですが、これはどのような物なのですか?」

 セルジオは話が長くなるかもと、一瞬戸惑いながらも訪ねてしまう。

 その問いに案の定、カジミールの顔が輝く。


 「まず要石ですが、星読み場で捉えた対象物の誘導補助と結界を兼ねた物です。

 かなりの衝撃が想定されますので、使い捨てですが結界外への被害を抑える事前処置です。

 年の為、皇国軍の到着予定日の4日前から、結界内の立ち入りを禁止て頂きたい。


 我々の徒弟は、簡易の転送石を持たせます。起動寸前まで要石にそれぞれ2名程常駐します。

 要石は石鋤の神聖文字を解読した、時間相異術式・・・・要石の相対時間を30分ほどずらしてありますので、要石が受けるどんな衝撃も30分は無力化されます。

 確実に大魔法の起動、発動に耐えるでしょう。

 今から、発動の様子を観測することが楽しみであります!」

 皺の刻まれた老エルフが悪い笑みを見せる。


 「記念石柱ですが、敵兵斥侯を確認し次第発動予定です。

 全ての住民、商人、貴族や兵士を新ダンジョン内に誘導しやすいように、新ダンジョン入り口付近に対の記念石柱を、同時進行で新ダンジョン内に誘導、転移頂きたい。

 ちなみに転送用の魔力は、新ダンジョン転送ゲートから一部流用します。

 何分精密な術式なので、周辺での魔力の使用はしばし控えて頂くよう合わせてお願いいたします」

 なにやら、とても大掛かりな魔法を使うようだがセルジオには訳が分からないのでとりあえず頷いている。

 「この数か月で、我々の魔道に関する知識は100年単位で飛躍しており、そこらの魔法使いなど稚児同然!ハハハハハハ!!!・・・・おっと、失礼しました」

 目の下のクマが、彼等の不眠不休の研鑽を推測させるが、それを凌駕する知的欲求と成果に、かなりのハイテンションだ。

 「目標物の捕捉はすでに30を超えており、最終的には200近くまでその数を増やしておきます。

 どのタイミングでも、敵を駆逐するのに十分な物量を一週間以内に揃えられるでしょう」

 捕捉した物が何なのか明かされないまま、ニンマリと笑うカジミールの表情が怖い。


 「・・・・危なくない様に、宜しくです」

 セルジオは詳しく聞くと怖いので、それとなく注意を促すが、「もちろんですとも」との言葉で流されてしまう。


 「ところでジード、新ダンジョン内の受け入れは間に合いそうかの?」

 元村長がジードに尋ねる。

 「あぁ、2~3万なら数日ならいけると思う」

 ジードも目の下にクマを作っているが、サムズアップで答える。

 新ダンジョン内の入植村周辺に簡易居留地として設えられた広大なキャンプ用地が切り開かれ、その間の食料などが既に備蓄されている。


 「皇女から、戦争回避の特使を皇国側へ送りたいと、再々言って来ておるが、どうするかの?」

 元村長が口を開くと、一同の視線がセルジオにあつまる。


 「・・・・適当な人はいますか?」

 セルジオは身近な者を死地に送り出したくないため、クディやカジミールに視線を向ける。

 「それは、私の方で手配出来るであろう!」

 久々に執務室に詰めるレシアが答える。

 「皇国側の間者をターニャ殿達が100名単位で捕縛していおり、その者と素行の悪い者達をセットで特使として向かわそうと考えているがどうであろう?」

 軍服が様になる褐色男前女エルフが大きな胸を見せつけるように胸を張り伝う。

 「ケレブレシア殿、彼らを放てばこちらに仇なすのは目に見えている者ではないですか?」

 ちゃっかり末席にいるアレクが口を開く。

 「もとより捻り潰す敵軍に組したところで、なんの弊害もないであろう?」

 同じく末席で紅茶を飲むターニャと、ドヤ顔のカジミールに視線を送るが、いずれも頷く。


 「そうか・・・・敵軍の足は、随分速くなっていると聞くがその辺りはいかがかの?」

 元村長がターニャに尋ねる。

 「そうね、食料確保が厳しいみたいで殆ど突貫でこちらに迫っているわね・・・・

 あと10日ってところで軍の一部が姿を見せると思うわ。

 ミオール? カジミールさん? 間に合うかしら?」


 カジミールは少し逡巡して頷き、それを見た元村長が号令を掛ける。


 「敵到着は10日後、皆の者抜かりなく!」


 セルジオはいつもの通り良く解らないまま、士気の高いセルジオ家の面々頼もしく眺めるのだった。


本日もう一本! 18時ポチ

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