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いつもダンジョンに居ます  作者: ねむねむぴよ
第一部 三章 再出発
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147話


 資源取り放題の新たな土地。

 セルジオ領に入り込んだ間者が一気に動き・・・・あっけなく、皆、捕まる。


 なので、情報の伝達は商人と一部の来訪者の足でじわじわと広がるのだが、どうせ広がるのである。

 セルジオあたりは、「別に捕まえなくったっていいんじゃないか?」などと言うが、クディは【 間者を放ったこと自体がバレタ 】事が重要で、それで今後の付き合いにとても影響すると言う。


 古代ゴーレム撃破話は尾ひれがつき、今では全長30mを越える古代竜の如きゴーレムが山を吹き飛ばし20万を超える隣国兵を蒸発させた。

 そのゴーレムを当主セルジオが軽く捻ったとなっている訳で、彼を怒らせた国は塵も残さず消え去るという恐怖の大魔王ばりの人物像として広まっていることを本人は知らない。


 これも意図的に?歪められた人物像であるが、当主セルジオは3mを越える筋骨隆々とした偉丈夫でその威勢で死霊も裸足(脚があるか判らないが)で逃げ出すという。

 ダンジョンで手に入れた古代の大剣をもち、数ある強大な魔法を操り、敵からの魔法も触れもせず打ち砕く(祝賀会を見た者が加えた噂話である)。

 彼の微笑みは見た者を痺れさせ、幼女リリルから100歳を超える老婆(レシアの事だろうか?)を虜にし100名を超える美女をはべらす(使用人のメイドと男性含む従業員が先日100名を超えた)という。


 しかも、その聖地ともいえるセルジオ仮館併設の大食堂では、日中から幽霊の酒盛りが見られる。

 明け方にはエレクトリックパレードのような古代の兵士の大行列。

 一般開放された大浴場併設(サウナ付き)が先日オープンしたばかり。

 歓楽街は連日の大盛況、古今東西の美女が客を招き、店を出せば用意された品物が端から売れていく。

 完全に不夜城と化してしまったゴートフィッシュ領にあらたな名所が加わったのだ。


 【 (大型サファリパーク?) ゴートフィッシュ領外苑(飛び地)。入植者募集!! 】

 その噂は各国が放つ間者よりも早く各国を駆け抜け、人々の大移動が始まっていた。


 ・・・・


 「あぁ、何やってるんだ・・・・」

 皇国の巨大な商館に居る人影が大きなソファーにふんぞり返る。

 「おい、例の準備はどうなっている?」

 彼以外居ないはずの大部屋から他の声が聞こえる。


 「何故だか解りませんが、前乗りの部隊が尽く姿を消しております」

 「はぁ? だれの仕業だ?」

 「目下調査中としか・・・・」

 「あんなショボイ村に何手こずってるんだ!?」


 「ゴートフィッシュ領は、すでに国といっても差し支えない力を備えつつあります。

 村とはとてもいえない規模かと・・・・バルザード様」

 「あぁ? なんか文句でもあるのか?」

 天井を見ながら語気の粗い声が響く。


 「いいえ、出過ぎた物言い、申し訳ありません」

 「ッチ、ファフナー並みに使えねぇな・・・・わかったよ俺が乗り込む。準備を進めろ!!」

 「・・・・まだ時期尚早かと・・・・」

 「あぁ?! 殺すぞ?! 俺はやれと言った!」

 「承知しました。 出立はいつ頃を目途に?」

 「ッチ、それくらい自分で考えろよ、十日・・・・いや七日で5万だ」

 「承知しました・・・・」

 声の主の気配が消える。


 「おい!!」

 バルザードが扉の外に声を掛ける。


 重厚な扉が開く。

 「「「は、はい!!」」」

 薄絹を纏い、胸も尻も殆ど隠れて居ない褐色の美女が数名、震えながら部屋に入っていく。

 「催した、相手をしろ!」


 美女たちの顔が人形のように固まる。


 そして、彼女等のゆく末を暗示するように扉は静かに閉じられていった。

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