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いつもダンジョンに居ます  作者: ねむねむぴよ
第一部 一章 墓守始めました
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9.8話

本日中に回想編を終わらせれたらいいな・・・・


 隔離病棟問題は新しく罹患した患者をバルザード邸に設えた救護所で一時様子を見る事となった。


 それに伴い、バルザードとテリル、隔離救護所の設営にセルジオの父セバスがアドバイスを求められ建設予定地を確認し屋敷に戻ると、エントランスで来客対応を行う家宰とすれ違った。


 「お大事に・・・・」

 「治療が間に合う事を祈っております・・・・」

 「少しでも多くの方に・・・・」


 丁寧な対応を行う彼は侍従長と合わせ、引っ切り無しの来客にかなり疲弊しており、休息が必要に見えた。


 そんな彼等を手伝う青年、バルザードの長男がいた。

 テリルは予てから感じていた違和感をそのままに、そつなく接客する青年に声を掛けた。


 「やぁゲビン、完全に復帰したようだね、少し緊張しているのかな? 何か有ったかい?」


 「はい、大丈夫です」

 青年は視線を合わせず返事をし、次の来客用の薬の準備を続ける。

 そんな様子を見ながら、セバスが最近の若いのはこんなものだとテリルの肩を叩く。

 バルザードも、無愛想な息子で申し訳ないと苦虫をかみ殺したような表情でそれにセバスに続いた。



 ・・・・


 ・・・勘違いか・・・・テリルの違和感が拭えない。


 視線の先で行われる、ゲビンの直接関わる薬の小口の取引。

 直接人の死に関わる流行り病。バルザードから届けられる薬は、隔離病棟でも使われているが、バルザード屋敷、敷地内に設けられた救護所での完治率と明らかに差が出始めた。


 バルザード家の者が手に入れる高価な薬で、テリルは何故治癒でするのか理解できなかった。


 「父さん、この薬はどう見ても只の煮出した茶に塩と砂糖が入ったような物です。

 何でこれで完治するんだ?・・・・茶の成分が有効なのかも疑問なのに・・・・」


 実家でミオールに毒付くテリルは、バルザードより仕入れた薬を体重別に患者に与えその症状の経過を観察していた。

 心を鬼にして、重症患者に投与した場合としなかった場合の治験も取った。

 その結果が示す結論は・・・・


 ” この特効薬には効果がない、それどころか薬でもはない ”


 であった。


 しかし医師は、高額の薬を私財を叩いて手に入れ、症状が改善しない薬を買い続けている。

 バルザードに土地の権利、魔法具の譲渡契約書、金に換えられる物は全て現金化した。


 すべての資金が溶けてゆく、その頃から何の脈略も無く数名の村人が完治する。

 ほんの少し薬を口にしただけで治る者も居れば、2本3本と薬瓶を飲み干し結局助からない者もいる。

 訳が分からない・・・・


 手記にバルザードの薬に付いて治験と結果を記していく。

 そして、バルザードの救護所の異常な完治率についての疑問提議・・・・


 テリル医師はこの手記を父宛の封筒と共に収め机の上に置いた。

 自分が罹患すれば助からないだろう、虫の知らせが過る。


 そして悪い予感は的中した。

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