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いつもダンジョンに居ます  作者: ねむねむぴよ
第一部 三章 再出発
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122話


 ダンジョン管理者からの巻物を受け取ってしまった。

 セルジオはまた何かに巻き込まれる予感に、ゲンナリしながら自分の小屋に戻る。


 セルジオの家は、惨事の直後リビングキッチンと寝室が一緒の小屋に毛が生えた物だったが、いつの間にか増築が進み、今では大食堂(オープンテラス風)が併設、裏手にはニーニャの通商施設と名ばかり大仰な商店兼商談室・元村長の応接室兼セルジオ執務室、街並みなど土木建築関連の設計室・食堂うらの大厨房・・・・武家屋敷風の増築が繰り替えさえれた平家ひらや建造物群が出来上がっていた。


 「元の形が解らん・・・・って入り口何処?」

 セルジオが呆然としていると、改築の仕上がり確認にきたジードと偶然合う事が出来た。

 「あ!ジード!!」

 朝と随分様変わりした建物に戸惑いながら、ジードを呼び止めた。

 「ん? セルジオ、どうした?・・・・ちょっと待ってくれ。

 ギリアンは村へ、ゴルギルは井戸を見ておいてくれ、では後でな。

 ・・・・・で、セルジオどうしたんだ?」


 「それにしても、変わりようが早すぎないか?」

 セルジオは半日で殆ど形が出来上がっている建物をみて口がちゃんと閉まってない。

 「あぁ、木製の家壁を沢山作ってな、その組み合わせで箱を作るから早いんだ。

 窓を開けるとき壁の強さが弱くなるから課題はあるが、この冬いっぱい保てばいいからな・・・・」

 ジード頭はをボリボリ掻きながら、「とにかく数を作らないと拙いからなぁ」などと呟いている。

 「・・・・で俺どこから入ればいいの?」

 セルジオは真顔で訪ねる。


 「どこからって、あそこに決まってるだろう」

 ジードが指さす先には、やけに(見た目だけは)立派な正面玄関があり、数人のメイドがセルジオを出迎えるように出てきている。

 「・・・・大げさすぎないか?」

 「何言ってる、あれでは全然足りないぞ、セルジオ公爵閣下。 ハハハハハハ!!」

 ジードはサラリと冷やかす。

 本当は冷やかしでも何でもないのだが、セルジオが嫌がる顔が面白いらしい。


 「あ、ジード手が空いてからでいいから集まってくれないか?」

 セルジオは懐から、巻物をちらりと見せる。

 「!!!!? 例のあれか?・・・・

  そりゃ最優先だ!! 皆に声を掛けてくる! お前は執務室から出るなよ?!」

 ジードは尻に火が付いたように飛んでいった。


 「セルジオ様が戻られました!!」

 正面玄関で10名程のメイドが頭を下げる。

 居た堪れないセルジオはぺこりと頭を下げいそいで屋敷に走り込む。

 「セルジオ様、ご用向きは?・・・・」

 メイド長らしい、やけに姿勢の良い女性が訪ねてくる。

 笹耳の褐色肌の地エルフ、瞳は薄い緑、赤茶けた軽いウエーブが掛かる髪を綺麗にまとめた美人だ。

 『だれ? この人・・・・』

 セルジオが固まっているためはたと思いついたのか、彼女が口を開く。

 「申し遅れました、私、ラル・ディ・リエンと申します。

 クーリンディアド様の招集に応じ、セルジオ様の身の回りのお世話を仰せつかっております。

 以後お見知りおきを・・・・」

 ラル・ディ・リエンは深々と頭を下げる。

 『あぁ、この人もすごく年上なんだろうな・・・・』

 明後日の事を考えながら「セルジオです、よろしくです」などと軽く挨拶をする。


 「それで、セルジオ様はどのようなご用向きでお戻りに?」

 「えっと、執務室に・・・・あと、ニーニャさんとクディさん、元村長とレラさんも呼んでもらえる?」

 「畏まりました。」

 リエンは軽く手を上げると、数名のメイドが音もなく下がる。

 『うわぁ、なんか凄いなぁ』

 セルジオは彼女達の振る舞いに少し引きながら「執務室ってどこだっけ?」などと聞くと「こちらでございます」と静々と先導される。


 正面玄関から少し長めの廊下、渡り廊下風の通路の先にやけに重々しい扉があり、そこが執務室だと通される。


 「あぁ、セルジオ様なんのようじゃ?」

 様と言葉使いに違和感を感じつつも、胸元の巻物をちらりと見せる。


 「!!!? 解った、お主はここを動くな、急ぎ皆を集める!」

 「あ、ジードには会いました」

 「うむ。 他の者を当たらせよう」

 「・・・・なんとかリエンさんにも話してます」

 「そうか、ではその内に皆揃うな・・・・

 その前に今の服では示しがつかんから、着替えんとな・・・・」


 そして・・・・セルジオは寄って集って着替えさせられたのは言うまでもない。


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