121話
隣国が攻めてきてから、半月が経とうとしていた。
セルジオ村は未曽有の開発ラッシュ、セルジオの家も超々突貫工事で建て方が進んでいる。
村もセルジオ館もほぼ更地になっていたので、街づくりは0スタート状態。
日々周辺の村々から人々が集まり、開発指定の外側にもバラック小屋が軒を連ね始めている。
セルジオの家の周辺に暫定的に市場が作られ、その人手を目当てに飲み屋や食堂、もと救護所周辺が歓楽街に姿を変え、不夜城の如き賑わいを見せ始めていた。
まず最初に着手されたのが、ゴーレムの頭の処分。
とても危険なので、ダンジョンの中に戻された。
今は、他のゴーレムと一緒にセルジオの隠れ家?にテーブル替わりとして置かれている。
つづいてマッドゴーレムの体に使われた土だが、何がどう変質したのか一部の成分がミスリル化していたらしく、全てをセルジオ邸予定地の空きスペースに移動されている。
特記する点として、マッドゴーレムの土の下からフードの男と思われる遺留品と干物のような遺体、それと破損した指輪と杖が見つかり、セルジオの見覚えのある遺品は元の墓に戻された。
ちなみに、フードの男の親族と思われる村人はもうセルジオ村には居ない為、無縁仏として埋葬された。
そしてセルジオは・・・・
「はぁ・・・・まだまだあるなぁ・・・・」
「セルジオさん! 冒険者と王国兵はそれで最後でしょうか?」
「あぁ、たぶん・・・・まだ古い遺体は見渡す限り残ってるけど・・・・」
地上の混乱がやや落ち着いた頃、元村長の面接を経て採用された瘴気に耐性のある10名程の人員がダンジョンに潜っていた。
大回廊の危険エリア境界にポールを立てロープを張り松明を設置、安全が確保された所から一気に片づけてゆく。
「スケルトンも頼もしいけど、危険だもんな・・・・」
セルジオはこのまま暗黒の門の先にも手を付けたかったが、それは難しいだろうと考えていた。
メダリオンが無ければ、確実に襲われる。
そんな折、ダンジョンの中で悲鳴が上がる。
「わぁ!!!! 化け物だ!!!」
「ピギィ!!!」
「でたぁ!!!!」
一匹のインプが、まっすぐにセルジオに向かい歩いてくる。
いつものように巻物を持って、無警戒にひたひたと歩く足音が妙に大きく聞こえた。




