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いつもダンジョンに居ます  作者: ねむねむぴよ
第一部 三章 再出発
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119話


 ダンジョンの入り口から サラを背負ったセルジオが姿を現すとクディとアレクが駆け寄って来た。


 「セルジオちゃん遅かったわね・・・・ってサラ? どうしたの?!」

 泣き腫らした目がまだ収まらず、ほんのり赤い腫れぼったい目を隠す様にセルジオの背に顔を埋める。


 「姫ぇ!!!!!!」

 雄叫びを上げる近衛隊長。

 恐ろしい形相でファビウスが駆け寄り、サラに手を伸ばすが彼女はそっぽを向いてセルジオから離れるのをいやがる。

 「き、貴様!!姫に何をした!!」

 凄まじい剣幕でセルジオに詰め寄る。

 「ファビウス!! 違うのです!! 私は助けて頂いたのです!!」

 ・・・・助けたって言うより、助けに来てくれたのはサラだが。

 セルジオはつばきを飛ばすおっさんに仰け反り、彼女を下ろそうとするが、サラは降りない。

 サラが耳元で囁く。

 「恥ずかしいので、馬車までお願いできませんか?」

 セルジオは『あぁ、そうだよな・・・・しょうがないなぁ』といった表情で頷き、そのまま取り巻きに「後で俺の小屋で・・・・」と告げ、その足で彼女の馬車へ向かう。


 セルジオは近衛兵に囲まれ、物々しい雰囲気の中、彼女の馬車の前まで行く。

 そこで漸く彼女は彼の背から降り、侍女に支えられ馬車に乗り込んだ。

 別れ際「後ほど・・・・」と空耳が聞こえた気もしたが、今はみんなにダンジョン内の出来事を伝えないといけない、そう思う気持ちが優先しその場を去るのだった。


 ・・・・


 セルジオの仮住まい。


 「・・・・って事があって、これを渡されたんだ。

 たぶん、これがあればスケルトンは襲ってこないし悪霊憑きもスケルトンが始末してくれると思う」

 小屋には、元村長・ジード・ニーニャ・クディにレシア・アレク、そしてまた何で呼ばれたの?的な顔のレラがいた。


 机の上には例のメダリオン、セルジオの物を含め三つが置かれている。

 「これがあれば、瘴気にさえ耐えられればダンジョンに潜れるわねぇ・・・・」

 クディとレシアが魔力を見分けるエルフの目で、穴が穿たれる程睨んでいる。


 「しかし、幽霊の相手はセルジオでないと拙いのではないかのぉ」

 元村長が呟くと、セルジオが固まる。

 『やっぱり・・・・任せるのって無理ですかねぇ』

 そんな目で周りを見るが、だれも目を合わせてくれない。


 「適正が有りそうなのは、わたしとぉ、サラとぉ、アレクくらい?」

 クディもおとがいに手を当てて悩んでいる。

 「お、俺的に王国軍と冒険者の遺体だけでも頼めたら助かるんだけど・・・・」

 セルジオが心境を吐露する。

 「うむ、少し当たってみよう。

 それと、皆が集まっているからついてに報告もしておきたいがよいかの?」

 元村長が話題を変える。


 「鹵獲した食料が保って2か月、それまでに仮設の建物がぎりぎり間に合うかどうか。

 その他、木材や建材用の金属、日用品の類が圧倒的に足らない。

 焼け跡から順次回収して居るが、破損が激しく修理する鍛冶屋もなければ、服を繕う糸なども足らん。

 既にニーニャ殿に手を回してもらっているが、商工会の商人達はこの地を訪れるのに二の足を踏んでいるらしくての・・・・」

 元村長の話に、ニーニャが頷き溜息を零す。


 コンコン!


 「「「「「???」」」」」

 「遅くなりました・・・・?」

 サラが近衛隊長を連れ入り口から入ってくる。


 「えぇ? なんでサラが?」

 セルジオが驚きを口にする。

 「・・・・だめですか?」

 すでに泣きそうな顔でセルジオを見るサラ。

 「いや、ダメって訳じゃないけど・・・・」

 「わたくしも、少しはお役に立てるかと思います。

 わたくしが不在の折に早馬が来てまして、お父様からセルジオ様に文が届いて居りました」

 そう言うと、革用紙に王家の蝋封が押された巻物がセルジオに渡される。


 一同の視線がセルジオと巻物に集まる。


 『俺、読めないんだけど、俺が封を切らないといけないんだよな?・・・・』

 視線を配るがだれも待ちである。

 仕方なく封を切り、巻物をテーブルに広げる。


 サラと近衛隊長を除く皆が巻物に群がる。

 「・・・・さすが王だな」「そうね」「けど費用はこちら持ちかのぉ・・・・」「でしょうね・・・・」

 セルジオを跳ねにして頭を寄せ話し込んでいる。

 「セルジオ様、お父様は何と?」

 サラがセルジオの傍らに歩み寄り尋ねる。


 「・・・・サラスティア様、セルジオさんは字を解しません」

 レブラーシカがぼそりと彼女に呟く。

 「まぁ!」

 サラが大きな目を更に大きく見開いて驚く。

 「無敵のセルジオ様にもそんな面がお有りなのですね、フフフフ」

 サラは何故か楽しそうに笑う。


 セルジオは何だか少し恥ずかしく成り身を竦めるのだった。

 

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