表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
いつもダンジョンに居ます  作者: ねむねむぴよ
第一部 三章 再出発
147/256

117話

 「入るな!! 拙い!! 逃げろ!!!!」

 セルジオが大声を上げ走る。

 荒くなった息で腹の底から声を張る。


 扉の向こうの人影がビクリと固まり、カンテラが扉の向こうに消えた。

 『良し! そのまま逃げてくれ!!』


 背後から乾いた音が響き続けている。


 死霊憑きが扉の縁に手を掛け、向こうへ抜けようとしている。


 パリン・・・・ ゴォオオオォォ!!!

 扉の通用門で火の手が上がった。


 セルジオは速度を緩めず、そのまま炎に向かい突っ込む。

 抜ける前に、死霊憑きの後頭部を踏み抜くのは忘れず炎の向こう側へ走り抜けた。


 「クディ?!・・・・えぇ!?」

 セルジオはてっきりクディが応援に来たものだと思ったが、そこに居るのはサラであった。

 「セ、セ、セルジオ様!!!!」


 震えながらセルジオに縋り付くサラ。

 「いつも・・・・あ、あんな物と戦って居られるのですね?」


 炎の中でのたうつ死霊憑きが炎を上げ燃えている。

 こちらをにらむ、半腐りの濁った眼に火が通り、次第に湯気を立て白濁していく。


 カシャ カシャ カシャ ・・・・


 軽い乾いた足音が炎の直ぐ後ろに聞こえた。



 炎の灯に浮かび上がる影、黒光りするスケルトンが一体、闇の中から浮かび上がる。

 セルジオは目が合ったと感じた。

 スケルトンはセルジオの胸に視線を落とし、胸のメダリオンを見た気がした。

 頭蓋の紋様が炎に照らされキラキラと光る。


 セルジオはサラをきつく抱きしめる。

 『逃げ切れない?』

 セルジオはスケルトンから視線を逸らさず少しずつ下がる。


 スケルトンは、自分と同じ素材で出来た骨の剣を手にしており、躊躇いもなく死霊憑きの体を突き刺す。


 ザシュ ザジュ

 ザリガリ ザシュ ガリ・・・・


 一振り毎に死霊憑きの体をバラし、最後に首を刎ね再びこちらに向き直る。


 「サラ逃げろ!」

 セルジオがサラを後ろに突き飛ばし、石鋤を構えスケルトンに向き直る。

 「きゃ! セルジオ様!!」


 黒光りするスケルトンが自然体でゆっくりと歩み寄る。

 何もない眼球の辺りに、青白い光が見えた。


 カシャ カシャ カシャ ・・・・

 セルジオはじりじり後退りする。


 スケルトンの剣を持っていない方の手が差し出される。

 その手にはメダリオンが二つ握られており、メダリオンのチェーンがセルジオの目の前でゆらゆらと揺れていた。


 「・・・・これを、俺に?」

 スケルトンは微動だにしない。


 彼は手を差し出すと、掌に2枚のメダリオンが落とされた。

 セルジオは信じられないといった視線をスケルトンに向ける。

 しかし、我関せずといった風に見向きもしない。


 メダリオンを渡し終えたスケルトンは静かに向きを変えると、漆黒の扉の傍らで骨の剣を床に突き、そのまま動かなくなった。


 「セルジオ様、これは・・・・ ダンジョンの管理者が俺の愚痴を聞いたのかもしれないな・・・・」

 「何かおっしゃったのですか?」

 サラが、震える唇で言葉を紡ぐ。


 「死霊憑きがうろうろし過ぎていて、片付けるのが難しいとねぇ・・・・」

 「それが、これなのでしょうか・・・・」


 サラがスケルトンをマジマジと見る。

 先ほどまで動いていたスケルトン、黒い頭には埃が積もっており古くからここに立って居たと言われれば、そうかもしれないと思える程に様になっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ