116話
大量の骨の溜まり場を振り返り、大きく溜息をつく。
「一回黒骨を避けて、白い骨だけ回収だよな、たぶん。 けど、どんだけあんだよ骨・・・・」
黒い骨も凄まじい数がある、全部集めると数体?数十体は1セットにでるだろうが動くものだろうか。
そんな事を考えるセルジオは再び足跡を注視する。
昇りのスロープの途中の壁に寝かされたような跡がある。
「ここで治療を試みたんだな・・・・それで・・・あぁぁ。
たぶん死霊憑きになったんだな、また襲われてる」
スロープの上に向かって、歩幅の広い足跡が二人分が二組。
前の足跡を崩す、それを追う足跡が一つ。
「もう、3対2かぁ逃げないと詰んでそうだな。
戻りの足跡はなかったし、終わってるんだろうけど・・・・死霊憑き5体は嫌だなぁ」
セルジオは坂を上がり、足跡が逡巡している。
結局奥へと走りさる足跡を追うもう一組の足跡。
それを迷わず追う足跡が一つ。
いずれも更にダンジョンの奥へと消えている。
「うぅ~ん、突然あの死霊憑きに襲われるとヤバいな・・・・
先になんとかしないと片付けできないし、そこの所ダンジョンの人はどうなんでしょう?」
大声を上げるのは怖いので普通に独り言をいうのがだ、当然答える声はない。
セルジオは、一人で5匹の化け物(もと人間)を相手にする程、腕に自信はない。
だから焼き払う酒瓶を取りに戻る事にしたのだが、だからといって正面きって死霊憑きと戦う気もない。
悩みながら、正面通路を門に向けて戻っていく。
カシャ・・・カシャ カシャ
ダンジョンの奥から乾いた音が聞こえてくる。
「!!!?」
セルジオは振り向きランタンを翳す。
僅かな残響音と共に、確かに何かの動く音が聞こえる。
姿はまだ見えない。
ダッ!!
身軽に成るため、腰に提げていた麻・布袋などその場に捨て、門へ走る。
乾いた足音をセルジオの足音が塗りつぶす。
「はぁはぁはぁはぁはぁ・・・・」
心拍が早くなる、それでも後ろを振り返らずひたすら走る。
漆黒の門が闇の中から浮かび上がる。
勝手口のような通用門・・・・
「!? 門の向こうに人がいる?」
走って向かう門の先に、先ほどからチラチラとカンテラの灯が見える。
そして、門のこちら側には・・・・
セルジオのカンテラで影が揺らぐ物影・・・・
床を這いながら通用門に向かう、死霊憑きの姿があった。
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