111話
ダンジョンの入り口には、既にクディとアレクが待っていた。
「セルジオちゃん、さっきの声援は凄かったわねぇ」
アハハハハァと笑うクディが冷やかし半分の口調で、セルジオをからかう。
「クディさん!からかうの、止めて下さい! 本当に恥ずかしかったのですから・・・・」
セルジオが止まらない冷や汗を拭い、少し胸をなでおろす。
「ところで、セルジオ殿後ろの御方は・・・姫様?」
アレクセイは一目で王女と判らず思わず尋ねてしまう。
「アレクセイ司祭様、その節は・・・・ お初にお目に掛ります、クーリンディアド殿。
わたくし、サラスティアと申します」
「あぁ、サラスティア殿下その節は・・・」
「これは、ご丁寧にどうもぉ、クディって呼んでよくってよ♪」
クディは王女としてではなく普通に接する彼女に、同じ様に気軽に話しかける。
「では、わたくしもサラとお呼び下さい」
ニコリとほほ笑む彼女の立ち姿はとても様になる。
「それで、サラは何のご用でこちらに来たのぉ?」
クディの目が少し鋭い。
「わたくしも、セルジオ様のお手伝いしたくて、伺いました」
「えぇ? セルジオちゃん、そんなこと許したの?」
「いや、許しては無いけど・・・・人手は欲しいし、でも、たぶん無理でしょ?」
「・・・・そういえば、なんで彼女なんともないのかしら?」
ダンジョンの入り口の間近に4人は居るのだ。
「わ、私よりも耐性をお持ちなのでしょうか・・・・セルジオ殿?」
「お、俺に聞かれても、解りません!」
「クディ殿はお判りになりますか?」
アレクが執拗に尋ねてくる。
「えぇ・・・・何となく判るわよぉ。
そのティアラとネックレス、イアリングと指輪・・・・全部魔力を帯びてるわねぇ。
借りてる指輪と同じ、守りの護符が刻まれてるのかしら・・・・」
クディは身に付けている古代の遺品の指輪に視線を移す。
「あのぉ、わたくしのお話の様ですが・・・・何かおかしな所があるのでしょうか?」
「そうねぇ、サラはそのままそこに居てくれる?」
「はい!」
「セルジオちゃん、論より証拠、入り口を開けて頂戴」
「セルジオ殿、お待ちを・・・・」
「・・・・サラさん? 拙かったら言ってくれる?」
「はい!」
ズズズズズ
石室の上の大石が、石を擦る重い音と共に虚ろな入り口を広げていく。
結局祝福が効かず、瘴気酔いで最近おなじみのアレクセイが、オェ~と嘔吐している。
それでも彼は何とか持ちこたえている。
そしてサラの取り巻きの近衛兵も、ダンジョン入り口付近に居たためか、蓋が開くと共に数人が泡を吹いて倒れ、動ける兵士が嘔吐しながらも倒れた兵を引き擦り、安全な場所まで下がっていった。
そして、サラは・・・・
「どうか、いたしましたか?」などと言い、アレクセイの背を擦っている。
「本物じゃない・・・・セルジオちゃん彼女もしかして適任?かもよ」
「お手伝いお願いしても良い物でしょうか・・・・」
「いいんじゃない? 彼女が手伝いたいって言ってるのでしょ?
でも、暗がりで二人きり・・・・って、危険な響きねぇ♪」
「・・・・またですか? クディさん」
セルジオが、からかうクディに冷たい視線を向ける。
「あらぁ、ごめんなさい♪ でもゴーレムの件もあるから当面私達も一緒に潜るから4人チームね?」
「クディさん・アレクさん・ありがとうございます。
サラさん? 合格です。
一緒にダンジョン内に降りて頂けますか?」
「は、はい! もちろんです!!」
彼女は満面の笑みで答える、その手の先には嘔吐するアレクの情けない顔があった。
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