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いつもダンジョンに居ます  作者: ねむねむぴよ
第一部 一章 墓守始めました
14/256

9.5話

R15:遺体の表現があります。


今後の先行きが解ってて、段々暗い内容になるのですが、あと何話になるだろう・・・・

そろそろ特効薬の話に落としたいのに・・・・


 容疑者は、林の陰に当たる場所、窪地に倒れ伏し事切れていた。

 死後数週間、体には蛆が這い、周辺には腐臭が立ち込めている。


 テリル医師夫妻が遺体を検死する。

 飛び回る蠅を遠ざける為除虫草を焚き、なるべく遺骸を触らない様に、装備品を回収してゆく。


 足元には黒く染まった地面。

 かなり吐血をしたようだ。


 薬と思われる割れた試験管が数本足元に転がっている。


 遺骸に食痕は無い。

 野生の動物も病気を恐れたのかもしれない。


 体内で発生したガスが内圧を上げ、飛び出しそうになって眼球や舌の傍らに蛆が蠢く。


 噴出した体液で汚れた衣服を切り除く、外傷を確認するが見当たらない。

 青い血管の浮きだしたブヨブヨの皮膚には、この度の流行り病の特徴が見て取れる。


 兵士らによりゾンビ化していないのは聞いていたが、瘴気が有れば直ぐにでも死霊化してもおかしくない状態だ。


 剥ぎ取った装備を、木の枝で器用に摘み上げ、麻袋に収めてゆく。

 現場に残された遺留物が他にないかを見回し、最後にテリル夫妻はお互いに浄化の魔法を唱え、隊長の側に戻った。

 

 ・・・・

 

 カミュ看護師の唱える浄化の光が遺留品を洗う。


 懐には在ったのは僅かな銅貨と、親指の爪程の大きさのワール金貨が一枚。

 彼の命は、悪貨の金貨一枚の重さであったようだ。


 背嚢の中身は、衣類や寝具の日用品、ポーチに幾つかの薬が収められていた。

 遺品の指輪は宝石は砕け、何らかの魔法が発動したものと思われる。


 「中身は慎重に検めなければなりません、この容疑者の死因は病死か服毒死か、微妙なところです」

 テリル医師が皆に伝える。

 その後も魔法の発動媒体が入っている恐れがある為、慎重に検分が進み、特に怪しい遺留品のみが机の上に集められた。


 「・・・・結局身元を示す物は見当たらないか・・・・」

 隊長は遺留品を検分する部下を見ながら、村長の陰謀説に確信をもつ。


 そして証拠物件と思わしき、指輪と薬を厳重に梱包することを命じだ。


 「早馬の準備を! 組織的な動きであった場合取り返しがつかん、急ぎ王都に通達せよ!

 妨害工作の恐れもある。

 単独の行動を禁ずる!」


 「「「「サー!」」」」


 兵士達は上官の指示に従い、それぞれの使命を果たすべく行動を起こした。



 遺体を焼くには強過ぎる炎が夜の空を焼く。

 村の集合墓地の近く、それと西の森の一角から赤い炎が揺らめいている。


 この日より村では、遺体を焼く煙が途切れることが無くなった。

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