表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
いつもダンジョンに居ます  作者: ねむねむぴよ
第二部 王国の食指
124/256

95話

 セルジオは地面の砂を掃き取り目つぶしを狙った動作が、異様な状況を作り出す。


 ゴゴゴゴゴゴバァ!!!!


 地面が石鋤の見えない磁力で引き寄せられるように、鋤を振りぬく軌道に沿って地面の土が付いてくる。

 大きくえぐれ、いつも腰かける石を巻き込み天を突く土柱が立つ。


 放たれた槍が土に絡め取られ、空に舞い上げられていく。

 呆然と立ち尽くす、セルジオと騎兵達。


 数秒上昇する土がゆっくりと動きを止め、重力に逆らえず次第に地面に向きを変えた。


 上がった物は、当然落ちてくる。

 ド ドド ドドドドドバババアァ・・・・ヒュルル・・・ズン!!


 本物の土が降る土砂降りで、周りの土を舞い上あげ、その土煙が更に視界を遮る。

 とどめに、空気を裂きながら落下するゴーレムの頭が騎兵の進路を遮るように地面に突き刺さった。


 目の前で起きる異常時に、馬脚が乱れ怯む軍馬を抑えきれない騎兵を放置し、セルジオもダンジョンに飛び込んだ。


 ・・・・


 「セルジオ殿、ケガなどありませんか?」

 アレクセイが聞いてくる。

 クディは骨折の痛みを堪え、猛ダッシュした為かグッタリと壁に寄りかかり、荒い息をしている。


 「えっと、俺、もう一仕事あるからそこの荷を持って、坂の下まで降りててくれないか?

 できれば、クディの治療も任せていいかな?」

 そう言うと、セルジオは入り口付近に置いてあった革袋の中から、金貨を取り出しパラパラと周囲に撒き始める。

 「あぁ、下で待ってる!」

 アレクセイはクディに肩を貸して、嫌な思い出しかないダンジョンに降りて行った。


 チャリン チャリリン

 セルジオが金貨を撒く。

 入り口の坂を転げ落ちる金貨の音が、ダンジョンの中に響き渡った。



 ・・・・


 フードの男がナワナワと震えながら、この軍の上級士官と思われる男を、魔法の杖で打ち据えている。

 「に、に、逃げられてどうする!! あぁ?! 」

 上級士官の瞳は全て虚ろで、無感情にただ直立不動で立ち竦むみ、彼らに反応はない。


 伝令役にしてはやけに身なりの良い男が飛び込んできた。


 「魔導師様、村にも屋敷にも人の姿はありません。

 また、屋敷からダンジョンの入り口に向かい、大量の荷物が運ばれた跡があります。

 さらに、ダンジョンの入り口が開いております!

 周りには金貨が散乱しております!」


 「・・・・む、む、村人共は、ダ、ダンジョンの中か?

 ・・・・た、宝をダンジョンに逃がすのは、そ、想像に難しくないが」

 

 「そ、それで、ダ、ダンジョンの中に索敵を放ったか?」

 「・・・・申し訳ありません、当初のご指示を遂行しようとしましたが、ダンジョン入り口で変調を来す兵士が続出しております。

 一度、魔導師様に見聞いただきたく、参じました」


 程なくして、伝令ではあるが隊長クラスと思われる兵士がフードの男を連れ、ダンジョンを遠巻きに見据える位置に陣取るのだった。

   

感想・評価など お待ちしております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ