85話
「そろそろ試してみない?」
クディがセルジオを見る。
セルジオは頷き、背嚢から酒瓶を取り出した。
酒瓶を手が突き出された少し上方、石戸と壁に向かい投げる。
バリン バリリン バリン バリン!
酒瓶の中身が十分にかかったのを確認し、酒瓶の口に荒縄を差し込み湿らす。
カンテラの中の火を、慎重に縄に移す。
ボオオオ!
元村長が言った通り、強い酒精に火が移り激しく燃える。
一気に燃え尽きそうな荒縄を、伸びている手にワザと握らせだ。
ゴオオオオオ!!
荒縄を掴んだ手が、すぐさま戸の向こうに引き込まれ、酒とは思えない音を立て燃え盛る。
「おわぁ・・・・凄いな!!」予想以上の火力に驚くセルジオ。
戸の周辺の炎、戸の向こうの火の手と合わせ辺りが明るく照らし出される。
「フ、フフフフ、死霊がゴミの様だ!!!!」
アレクセイ・・・・性格が替わっている。
除霊できなかったのが相当悔しかったようだ。
腐った肉の焼ける臭い。
焼けて火が通り、引き攣った肉が死霊憑きの動きを次第に殺していく。
「臭いな・・・・」「くちゃい!」「ハハハハハハハハハ!!!」
やけに愉快そうなアレクセイに生暖かい視線が集まるのだった。




