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いつもダンジョンに居ます  作者: ねむねむぴよ
第二部 王国の食指
113/256

84話

一か月未満で10万文字突破(自己記録更新)です!

引き続きお楽しみください。


 セルジオの背後から伸びた手が、彼を後ろに引き下げる。

 クディが引き戻したのだ。


 いつものふざけた雰囲気は微塵もなく、鋭い目つきで矢を番え、こちら側に出てくる物が無いか射抜くように睨む。


 死霊憑きの手が空を掻き、何かを掴もうともがくが、隙間が狭く通り抜ける事が出来ないでいる。


 ・・・・


 「・・・・あれ以上は無理みたいね、あせったわぁ」

 しばらく見守り、クディが冷や汗を袖で拭う。


 狭い石戸の隙間から、幾本もの腐った手が突き出ており虚しく空を掻く。

 殆ど千切れかけた手首の腕、潰れたもの、まともな形状のものは少なく、お互いを押し退け、少しでも奥に居るセルジオ達を捕えようとせめぎ合う。

 時折隙間から覗く白く濁り腐った瞳と目が合う。その死霊憑きの肩先が見える程、身を押し込んでは搔き出されていく。


 しかし、そんな20本近い腕が鬩ぎ合っているが、石戸が微動だにしない。

 『どんだけ重いの?』セルジオは素朴な疑問を持つが、アレクセイが気を取り直し口を開く。


 「私に任せて下さい!」

 彼は、ベルトに挟んだメイスを掲げ、除霊の聖言を唱え始めた。


 ・・・・


 ・・・


 アレクセイの聖言が残響音を残しながら延々と唱えられている。

 かれこれ一刻程。


 なんの変化もない。


 ワサワサ元気に蠢く、ゾンビ手。

 暇なセルジオは死臭が漂う中、お弁当を広げサンドイッチをんでいる。

 「あなた、よくこんなとこで食べれるわね・・・・」

 「ん? いずぼのごどで、(ごっくん)いつものことですから」

 「さすが、セルジオちゃんというところねぇ」


 クディも腰を下ろし、アレクセイの後ろ姿をウットリ眺めている。


 更に一刻程が過ぎた。


 「「・・・・」」

 聖言の詠唱が途切れる。


 アレクセイが酷く情けない、涙目で振り返り一言。

 「除霊、無理みたいです」

 二人から、やっぱりそうよね、的な空気が漂う


 ゾンビ手の元気よく蠢く音だけが響いていた。

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