83話
そして、81話の頭に戻る。
オカマとニーニャのすったもんだの軍配はクディに上がり、上機嫌の彼は、妙にアレクセイにくっついて歩いている。
背嚢いっぱいの酒も、「こんな重い物持てないわぁ」などと言っていたが、アレクセイが「私が持ちます!」と意気込み、二つの背嚢をフラフラしながら背負うのを見て、ひょいと取り上げ澄ました顔をする。
下心がガッツリ見えるのが痛い。
セルジオが二人に指輪を渡し、指に嵌めるのを確認して石室の蓋を開けた。
モアァ・・・・
これまでより濃い瘴気が立ち昇る。
アレクセイとクディが少し嘔吐が、その程度で耐えて見せる。
ちなみに、警護兵と男衆が遠巻きに見ていたが、いずれもその場で吐いている。
先に背嚢を慎重に入り口をくぐらせ、それぞれが準備したカンテラに灯を点け一行は坂を下って行った。
・・・・
「それにしても臭いわねぇ・・・・」
「そうですねクーリンディアド殿」
「もぉ、クディって呼んで、アレちゃん」
「アレ・・・解りました」
セルジオの後ろで、微妙にイチャイチャしながらついてくる二人を先導し、例の石戸に辿り着く。
石戸の縁には、磨り潰された肉塊を見た二人の表情が固く成る。
「じゃ、少しだけ開けます」
セルジオが石鋤で押すとズズズズと重い音と共に、石戸が拳二つ分程開いた。
「「「・・・・」」」
石戸の向こうは漆黒。
何の気配もない。
「もう、居ないのかな?」
セルジオがカンテラを掲げ、石戸に近寄る。
隙間にカンテラを寄せて、中を照らそうとしたその時。
グワァ ワサワサワサササ
戸の隙間から黒い瘴気と共に、何本もの腕が噴き出す様に現れ、セルジオを掴もうとした。




