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いつもダンジョンに居ます  作者: ねむねむぴよ
第二部 王国の食指
110/256

81話

 すったもんだの末、一同はダンジョンの前に居た。


 ・・・・

 少し時間を遡る。


 教会が汚名を雪ぐため、危険な魔物の排除を急ぐ。

 しかし、近隣にはダンジョンに潜ることができる司祭がいないのだ。

 仮に居たとしても、そこまでの自己犠牲を良しとせず、老獪な司祭程のらりくらりと話をはぐらかす。

 そんな折、アレクセイという地方の司祭に白羽の矢が立った。


 彼は、幾つもの悪霊を払った経験がある退魔師エクソシストとして知られていた。

 しかも、とても若く見え、ご婦人の受けがすこぶる良い。

 辺境の教会でも、彼が居るだけで一帯の寒村から必ず礼拝に来る。ご婦人方ばかりだが・・・・


 アレクセイは信仰心が篤く、枢機卿から悪霊憑きが出たと聞き、勇んでこの村に来たのだ。


 彼は、到着早々ダンジョン入り口の四隅に石塔を立てさせる。

 そこに、目の様な形の聖印を特殊なインクで描いてゆく。

 アレクセイの得意な結界なのだが、瘴気が強すぎて効果が感じられない。

 初っ端から無力感を感じ落ち込む。


 そんな一仕事を終えたアレクセイは枢機卿に事前に言われていた、セルジオ家の食堂に向かった。

 しかし、話が通っておらず、食堂で待たされる羽目になった。


 メイド達が彼をチラチラ見ては、赤い顔をして走り去る。

 アレクセイにとっては日常茶飯事だが、大商人ニーニャ女史までイケメンな司祭が居ると聞き見にくる始末。

 仕方なく外套のフードを被り食堂の隅に居ると、自分より小さい子が個室に案内し、お茶まで出してくれた。

 子供を働かせるなんて、ひどい屋敷だと憤慨しかけるが、他のメイドを差配する小さい子が見た目相応の年齢ではないと分った所で、セルジオ家の家宰が現れた。


 「お待たせした、家宰のレイクウッドと申す」

 彼は開口一番、名乗る。


 「あ、いいえ、今しがた伺いましたのでお気にされないで下さい」

 アレクセイは外套のフードを下げ答える。

 家宰の後ろには、やけに質の良い服を着た従者と地エルフが立っている。

 急いで、名乗らねば。

 「アレクセイと言います。

 田舎の教会で司祭をしておりましたが、この度新規の教会立ち上げがあるとの事。

 枢機卿からの直接の依頼にて、私がこちらに派遣されました。

 以後宜しくお願いします」


 家宰の後ろが騒がしい。

 従者が何やら言い争っている。

 地エルフが、血相を変え店の奥に消えていく。


 「家宰殿、早速で申し訳ありませんが、悪霊の除霊の為、ダンジョンに潜る許可を頂きたいのですが」

 「うむ、当主からの許可は得て居るが、あのダンジョンは人を選ぶでなぁ。

 アレクセイ様は、まだ中の瘴気の話をご存じないのでしょうか?」

 「大まかには聞いて居ります。 しかし本当にそれ程のものなのでしょうか?」

 「百聞は何とかじゃな、セルジオ様? 如何ですかの?」


 「え? あ、えぇ?!俺?」

 従者と思っていた人物が当主だと知り面食らう。


 「これは失礼しました、セルジオ様。

 この度は、教会の新設にご理解いただき感謝しております。

 つきましては、一刻も早く悪霊の除霊を行いたいと考えております。

 是非ダンジョンに潜る許可を頂けないでしょうか?」


 「? えぇ 良いですよ、あなただけでしたら大丈夫でしょう」

 あっさり過ぎる程簡単に許可が出た。

 アレクセイは内心、追い返されるかと危惧していたのだ。

 「あぁ、ありがとうございます。

 これで私の仕事に取り掛かれます」

 【 私の仕事 】のワードに引っかかってしまうセルジオだった。


 


 

評価ありがとうございます!

ストーリは概ね可、文章はぼつぼつとの評価でした。

もっと良い表現ができるよう頑張ります。


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