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いつもダンジョンに居ます  作者: ねむねむぴよ
第二部 王国の食指
109/256

80話

新キャラ登場です。

 悪霊憑きの処分報告が届いた。

 俗にいう護摩供養ごまくよう、平たくいえば火葬である。


 棺にいれて退魔師が除霊の儀式をおこなってもダメ。

 聖水に浸しても変化なし。

 結局燃やして灰にし、遺骨入れに収めてもカタカタと動く始末。


 最後にはセルジオ立会いの下、石鋤で堀った墓穴に収め埋める事でようやく無害?と思える状態になった。


 司祭達の中には、ノイローゼになりこの地を去る者が出始め、教会も面目丸つぶれであった。

 業を煮やした教会幹部は、セルジオ家に書状を送り付け、土地は賃借契約でも良いので敷地に教会を立てさせろと迫り、本日、数名の枢機卿、元村長とクディがその最終協議をしていたのだ。

 ちなみに、状況が解らない青年もこの場におり、冬の始まりを告げる曇天を眺めていた。


 書記官が高そうな革用紙になにやら色々書き込み、立ち会う面々が確認を行う。


 セルジオは欠伸を噛み殺しながら、無理やり覚えさせられた セルジオ・ゴートフィッシュのサインを二つの革用紙に書き入れ、蝋印を押した。


 「これで、調印はすんだわねぇ。

 あすからダンジョンの浄化を始めるのだけど、ほんとに何とかできるわけぇ?」

 「あいかわらず手厳しいですな。

 この後、実際に除霊をおこなう司祭を寄こしますが、クディ殿のお眼鏡にも叶うものと、疑っておりませんぞ」

 枢機卿が見せる、含みのあるニヤリと歪む笑顔が、なんとも悪人ズラである。

 「期待せずに、会ってみるわねぇ」

 クディも負けていない。


 枢機卿が席を立ち、「司祭は食堂に向かわせる」と言い残し重苦しい調印式は終わった。


 ・・・・


 「というわけで、ダンジョンに潜れないといろいろ不都合だから、さっさとこの件はケリを付けるわよぉ」と意気込むクディについて食堂へ向かう。


 「そう言えばセルジオは不服そうだったのぉ。何か思うところがあったのか?」


 「え? あ、いいえ大したことじゃ・・・・」

 「遠慮せずにゆうてみぃ」

 「は、はい・・・・燃やして灰にできるのなら、地下の石戸を少しだけ開けて、悪霊憑きに油でも掛ければ、ちまちま燃やせるかなぁ・・・・なんて考えてました」

 

 「「・・・・」」

 「そういう事は早くいってくれない?

 教会なんてゴリゴリの権力の塊みたいなものを懐に入れなくても済んだのに・・・」

 クディが頭が痛いと言いたげに手を額に翳してみせる。

 「まぁ、次策という事で良いじゃろう・・・・」

 元村長もヤレヤレといった風だ。


 「よく燃えそうな油を準備しておくから、潜る前に取りに来るんじゃぞ」

 元村長が付き従うメイドに声をかけ何かを伝えると、メイドが急ぎ走り去っていった。


 ・・・・


 いつのまにか屋敷の一階のホールは大食堂に改装され、増築された離れに貴賓室が用意されている。


 「お客様がお待ちですよ」

 レラがタタタタと歩みより、一同を賑やかな食堂の先、貴賓用個室に案内する。


 「お待たせした、家宰のレイクウッドと申す」

 来客の姿を見留、元村長が開口一番、名乗る。


 「あ、いいえ、今しがた伺いましたのでお気にされないで下さい」

 立ち上がった人物は外套のフードを下げボーイソプラの声で答える。

 磁器の様に白く整った、女の子のような顔立ち、ブロンドの頭髪からピョコリと猫耳が飛び出す。

 「アレクセイと言います。

 田舎の教会で司祭をしておりましたが、この度新規の教会立ち上げがあるとの事。

 枢機卿からの直接の依頼にて、わたくしがこちらに派遣されました。

 以後宜しくお願いします」

 灰色の外套に身を包んだローティーンの男の子に見える人物がぺこりと頭を下げる。


  ズキューン!!

 という効果音が聞こえた気がした。


 「「????」」

 変態紳士がなわなわと震えている。

 「な・・・なにぃ? このおいしそうな子 何のデザートよ」

 変態紳士の目が怖い。


 人族ではないので見た目と年齢が合っていない、いつものパターンだ。

 「セルジオちゃん? 私もダンジョンに潜るから、その心算で居てちょうだい!

 絶対よ? 置いていったらわかってるわよね?」

 人身御供にはアレクセイ氏になっていただこう、そう思うセルジオだった。


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