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いつもダンジョンに居ます  作者: ねむねむぴよ
第二部 王国の食指
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75話

 ダンジョンから姿を現したセルジオの股間に衆目が集まる。


 そこには・・・・

 女性の上半身。

 両手の肘から先、首から上と腰から下が無い遺体。

 内臓は綺麗に抜け落ち、肉処理場の吊るし肉を連想させる。

 どんな最後だったのか想像に苦しむが、どう見ても脊椎が抜き取れらている。


 『動く死体がなければ、頭と下半身もそのうち回収してあげたいけど・・・・そのまえに』


 肋の上にある、剥き出しの白く形のよい双丘が、遺体を女性だと主張しているが、肩口から肘に残る僅かな鎧の残骸しか身に着けていないそれが、セルジオの股間に近い太ももに胸がひしゃげるほど縋り付いている。


 「セルジオ、済まなかった。 お前がそんなに溜まってたなんて・・・・くぅ」

 ジードがどう見てもからかう様に泣きまねをする。


 「あん、セルジオちゃん。 死体なんて不健全なのはダメよ!? どうせ不健全なら私でも良くない?」

 クディまでからかって来るが、目は笑ってない。

 「と、当主殿! 先ほどから、黒い靄が何度も当主殿を噛んでいるように見えるのですが、何ともないのでしょうか?!」

 レシアが当惑しながら聞いてくる。


 明るい光の下で改めてみると、確かにレシアの言う様に見える。


 遺体から立ち上る黒い靄が、頭と腕先に下半身の一部を形どっており、セルジオの太腿を掻き毟り、腿や股間に歯をたて噛みついているように見える。


 「そういえば、モゾモゾするようなしないような・・・・」

 「当主殿・・・・それ、山野にいる死霊憑きの死体ならば、噛まれただけで痺れて動けなくなり、下手をすると心の臓が鼓動を止める程なのですぞ!?」

 心配しながらも、呆れたようにいう褐色エルフのレシアは頭を振る。


 「にしても元気な死霊ね、セルジオの股間が大好きみたい・・・・」ニーニャが少し赤くなり視線を逸らす。

 確かに、執拗に腰回りや股間に、濡れて溶けた水墨画のような顔で、何度も何度も噛み付いている。


 この場には死霊憑きを見たことがある者が大半なのだが、その大半の者が開いた口が塞がらず、セルジオに噛みつく死霊を凝視している。


 死霊の噛み付き・・・・

 普通なら、一噛みで全身が凍えるような寒さと強い痛みが襲い、二噛みで精気を吸われ気が遠くなり動けなくなる。

 そして、三度噛まれた者は、心に臓が止まり体温が急激に下がり死に至り、死霊化するという。


 そして、当人。

 セルジオは衆目の前で、すでに20回以上噛まれている。

 それなのに、まったく精気が抜かれることもなく、モゾモゾするぐらいと言ってのけたのだ。


 王国軍の兵士たちの目が、『セルジオつえぇ! かっこいい!』となる。


 だが、セルジオはただ股間にぐりぐりと見えない感触を与える死霊に対して、『お願いもう刺激しないで!』と内股でクディの様に歩くセルジオだった。


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