73話
カンテラの灯が跳ねる。
セルジオの足元の影も、カンテラの動きに合わせ激しく乱れる。
ハァハァハァハァ・・・・
彼の息遣いと、直ぐ後ろを這う音が近い。
石戸の影が、見えてくる。
足が軽い。
一歩、また一歩、石戸が近づく。
ハァハァハァハァ・・・・
あと少しで石戸に手がかかる。
戸の向こうへ逃げ込み・・・・
石鋤を引っかけて後ろ手に閉め・・・・
振り向き様に追う死体がいれば石鋤で薙ぎ払おう・・・・
とセルジオは考え手を伸ばす。
ガツン!? ドドン パリン!!
「ぐは、がぁ!」 ズサササ・・・・
セルジオは激しく転倒し、石戸にぶつかり止まる。
腰のカンテラは床に叩き付けられ、割れ飛び散る音と共に暗闇が視界を覆った。
『な? 何!? 死体?』 背筋に鳥肌が立ち、口の中が苦い。
自分の足が重い、何かが絡みついている。
噛まれる感触や、握られたような感覚はない。
地面を這い、追いすがる音がまだ響く。
絡みついた何かが怖ろしく不気味だが、追いすがる音も気にかかる。
急ぎ手探りで回収袋探し、手に触れたそれを、石戸の中へ投げ入れ、転倒しても意地で手放さなかった石鋤で石戸を閉める。
ズズズズズズ・・・・
非常に重い音をさせながら戸が閉まっていくのを感じる。
這う音が戸の隙間辺りから聞こえる。
ブ、ブ、ジュルル、ザリリリリ・・・・ゴリ・・・・ドン!
暗闇の中、何かを磨り潰す音とともに石戸が閉まった。
ハァハァハァハァ
セルジオはまだ息を荒げている。
坂に続く石戸のこちら側の空気はまだ正常で、空気が美味い。
目はまだ慣れない、暗闇の中でまだ絡みつく物が非常に気になる。
しかし、とても素手で触る気にならないセルジオだった。
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次は26日0:00に予約投稿・・・・
何がしがみついてるのでしょうね・・・・フフフ




