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プロローグ
剣と魔法と神が当たり前のように存在する世界。
おとぎ話ではない。夢や希望にあふれているわけでもない。
それでもその世界はあった。
豊かな自然と広大な大地。時折現れる魔物と呼ばれる生き物が姿を消して早数百年。
人と人でないものが混在する世界。
百を超える神々と、それを信仰する神殿。
女神が人に姿を変えて人々に奉仕したことから、女はプリーティアと呼ばれ、それに恋をして一生をささげた男から、男はプリーストと呼ばれた。
彼らは人々の生活を支えるために神殿に属し、日々神々に祈りと感謝を伝えた。
時に。
その世界には時折、別の世界から迷子が現れる。
世界規模の迷子は、たいてい帰還を諦めてしまう。
しかし、彼らがもたらす恩恵は素晴らしいもので、誰もが彼らを大切にしていた。
それが神の願いだからと、誰もが信じていた。
彼ら以外は・・・