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「魔法の種類は2種類と言われている、訓練所、学校でそう教えられる。
が、現場で使う側からすると基本1種類精霊魔法飲みと言ってもいい」
魔法を教えてくれるのはマールさん。チームの魔法使いで小柄な人だ。薄い青、いや空の色をした髪をショートカットにして、まさに魔法使いと言ったトンガリ帽子をかぶっている。
さらにフード付きマントを身につけその下は皮鎧のようなものとズボン、魔法使いとしては似つかわしくない厳ついブーツとなっている。
ブーツはまだいい。冒険者ともなれば危険な場所を歩くこともあるだろう。
次にズボンこれも許せる、ブーツと同じでスカートでは歩けない場所も多いと思う、森とか素足では無理だし。
ただしマントお前はダメだ。100歩譲ってマントは良いとして何故フード付き?帽子があるのにも関わらずフード付き。意味ないだろ。
とか思っているとフードから何か出てきた?!光を反射しない真っ黒な体と3つの赤い目でこちらを見ている。
恐怖は感じないが違和感がすごい、と言うか違和感以外何も感じない。
「気にしないでいい、コレは使い魔。
それより授業を続ける」
謎の生物に気を取られているのに気付いたマールさんに抑揚のない声で注意される。
「まずは魔力を感じること。次に意識して動かすこと。最後にイメージと共に魔力を放出すること。
たったこれだけで魔法は使える。けど学校では違うことを教わるから気をつけて」
「どう違うんです?」
「学校では詠唱を教える。詠唱によってイメージを固め、魔法名で放出させる。
メリットは系統や属性に関係なく覚える事ができる、教師が多いこと。
デメリットは詠唱でイメージを固めるから調整ができなくなる事と詠唱破棄と言った技術がないと瞬間的に魔法の発動ができないこと。
冒険者としてはデメリットが致命的」
確かに一瞬の判断ミスが命取りになる状況でのんびり詠唱はできないですね。
私もバカとはいえ王子相手に詠唱とかしてる暇無さそうですし
「そちらの事情は察している。なのでガンガン知識を詰め込むのと現場で実践、さらに体の動かし方と剣の振り方、知り合いに王城勤めがいるので王子が習う剣術の確認、それと……」
「ちょ、ちょっと待って下さい。何か多くないですか?
それに詳しい事情の説明もまだなのに」
「推測では12で学園、18に事件のはず。学園までに一通り仕込み長期休暇で鈍らないように訓練。
簡単な推理。城下町での噂、社交場での噂、今回の依頼内容、王子の性格等から判断した。
普通なら流れることのないちょっと間違えば不敬罪な噂を王城は黙認している事から貴女と王子の間に何かあった、もしくは今後何かある……」
何この人すごい。あんな少ない情報からここまで推測するなんて。
でも何でここまでしてくれるんだろう?
「……最後に私には転生者の知り合いがいる」
「……はい?」
「彼女から今回のパターンなら王子が婚約破棄するのではないかと、その際危険にさらされるため防御系魔法を習得する、と判断した」
まぁその通りなんですが。何だかなー。
これから先が分かっても対策自体は必要だし理解者が増えたと思っておこう。
「長々と話したが、私も彼女もキミが転生者だと思っている。
貴重なサンプルだから協力する」
そんな理由かよ!と思っても口に出せず顔がひきつっているのが自分でもわかるのだった。
ちなみにマールさんはチームのリーダー