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今回と次回はダンジョンへ
さて、すっかり忘れてましたが、ここ辺境伯領にきて二年がたちました。もうわたしも10歳です。
思い出したのも辺境伯に言われてなんですけどね。
「マルクローネ嬢、こちらに来て二年になるが一度帰られては如何かな?。
学園で必要なものの準備もあるだろうし。何より公爵自身会いたくて何度も私に催促の手紙を送って来ているしな」
「あ、無視していただいて構いません!
学園入学の半年前に帰る予定なので」
「そうかね」
「あと一年半はきっちり楽しま……ごほん、食べ歩……修行しませんと」
「…………そうかね」
さてさて、わたしは今ダンジョンに来ています。
辺境伯領の北に位置する山の中腹にあるダンジョンで全部で五階層、初心者向けの簡単なものなんですが……
「さすがにソロでは魔力が足らないんですがぁ」
「もう少し魔力の消費を押さえる。今の量だとオーバーキル」
まぁ後ろからマールさん達が付いてきてるんですが、手伝いは無しなんです。
「つーか、これ俺必要か? ギルドからの依頼で初心者のダンジョン攻略の教師として来たんだが、子守が居るって聴いてねーぞ」
「おじさんはもう少し仕事した方がいいですよ。特に最近はぼーっとしてギルドに居るだけの毎日だったんですから」
「お兄さんだっての。俺だって昔を思い出して懐かしむことくらいあるわい」
「あ、宝箱発見です!」
「ちょっとは聞けよ!?」
さてさておじさんは置いといて宝箱です。
ダンジョンの宝箱はエサの役割をしていて冒険者をおびき寄せるために存在しています。
中身はランダムでトラップも有り無理にあけると毒に犯されたり麻痺したり、更には中身にスカと書かれていて精神的ダメージを食らったりと。横から見てる分には非常に楽しいものとなってます。
もちろん魔物の擬態の場合もありますね。
「さーて中身はなーにかなー」
ガパッ
シュッ
カン
「おっとトラップでしたか。
まぁ魔法で防御してるんで効かないんですが」
防御と言っても体を守っているだけじゃなく魔物の場合のための檻系、ガス系のための皮膜系、後ろに攻撃を飛ばさないための壁系、これらの魔法を組み合わせたわたしオリジナルの複合魔法です。
マールさん達は普通に罠解除してるのでこういった魔法は使わないそうなのですが、今回はわたしの修行で手伝ってくれませんので魔法に頼ってます。
「何度見ても漢解除だよな、その魔法……って、そうじゃない。
何度も言ってんだろうが、罠発動させないように開けろって。どうして解除道具使わないんだよ」
「めんどくさいからです!」
本音は細かい作業してるとイライラしてガーッってなるんですよね。




