外伝1
今回の設定のほとんどは外伝用なので本編では出ない可能性があります。
あと途中からおじさん目線になる上ほぼ会話メインになってます。
さて、すっかり忘れてましたが、ここ辺境伯領にきて二年がたちました。もうわたしも10歳です。
思い出したのも辺境伯に言われてなんですけどね。
「マルクローネ嬢、こちらに来て二年になるが一度帰られては如何かな?。
学園で必要なものの準備もあるだろうし。何より公爵自身会いたくて何度も私に催促の手紙を送って来ているしな」
あー家の両親が御迷惑をおかけします。
「と言うわけで一度実家に戻ることになりました」
「そうかい、気をつけてなー」
「そこで、おじさんにはこの依頼を一緒に受けてもらおうかと」
おじさんに王都までの護衛依頼の依頼書を渡します。
「どうしてそうなるのかな? お兄さん、わからんよ」
「決まってます、このギルドで一番暇だからです! あと私だけじゃランクが足らないので」
王都までの護衛依頼なのですが資格が中級上位と微妙に足りないのでおじさんとパーティーを組んで出発なのです。
護衛兼師匠達はあくまで師匠枠なので依頼を受ける際はランク補助の対象になりませんし。
「確かに暇なんだが……しゃーない、俺もついでになんか依頼を受けるか」
「配達か何かですか? わたしが見た範囲では無かったですよ?」
「そりゃランクが違うと見れない依頼もあるしな。それより準備してきな、ひさしぶりに帰るんならお土産とかも有った方がいいだろ」
「それもそうですね。何がいいかなー」
あの食材は日数的にダメですね。
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全く面倒なことになったもんだ。ギルドの裏の仕事なんかここ数年無かったってのに。
「それで? ギルド本部はどう判断したんだ?」
「状況『赤』で処断です」
「バカだねぇ普通に生活しとけば勝ち組なのに」
「それすら分からないからバカなんですよ」
「何にせよ親も諦めたか。それで罪状は?」
「まずは職員の脅迫、脅迫による査定の不正操作、手下による上位者の毒殺とそれに伴う地上げへの加担、って所ですね」
地上げ? あぁ飯屋で毒盛って風評被害ってやつか。えげつないことしやがる。
「手下は冒険者なのか? そうなら……」
「それはご心配なく。単なる街の不良共です。今回のことで裏組織の一部が報復に動きますのできれいさっぱり居なくなる予定です」
「結構減ったんだろ? 穴埋めとかめんどくせぇ」
「成功を祈ってますよ」
王都までの道中はなんも問題なし。まぁ一番面倒なのがこれからなんだが。
「こっちじゃ仕事しないんだろ? なら移動報告は行かなくていいんじゃないか? 王子に合うかもしれんし」
「それもそうですね。ならおじさんはどうします?」
「今回の護衛の清算にいってくらぁ。まとめて報酬もらってくるから。それに泊めてくれるんだろ?」
「お世話になってますからね」
「ならお嬢の親父さんにしっかり告げ口しないとな」
「ふぇ?! な、何を告げ口するつもりなんですか?!」
「護衛の嬢ちゃん達が言わないであろうアレやコレを隠すことなく、な」
「あわっわわ」
「せいぜい言い訳考えときなよー」
さて問題のギルドに行きますかね。
「うっわ空気悪っ……」
ギルドに入ると物理的にも精神的にも空気が悪かった。前者はタバコや酒、薬物の匂いも混じっているし。後者は品定めするような視線。
長くは居たくないな、さっさと終わらせて帰るか。
「おまたせしましたぁ、こちらになりますぅ」
「……金額が足りないんだが?」
「えぇー、そんなことぉないですよぉ。
もしかしてぇ仕事でミスしたんじゃぁないですかぁ?きっとマイナス査定って奴ですよぉクスクス」
あ、ダメだ殺してぇ。
自分の背後に大物がいるから態度がでかくなってやがる。しかも勉強不足か。
俺のカード見た同僚の驚きっぷりに気づかないとは……こいつ本当に研修受けてんのか?
「……そうかこれがココのやり方か」
「なんのことかぁわかんないけどぉ、さっさと消えてくれませんかぁ? キモいんですけどぉ」
怒りを押さえカウンターを離れる。せっかくなので対象の顔でも見ていくかと思ったが面倒だ。
それなら裏組織と連絡とっといたほうがやりやすそうだなと思いギルドを出て行った。
「で? これがバカ王子か。何でこいつ抜き身の剣持ってんだ?
それにいきなり切りかかってくるし。なんか知ってる? そっちで隠れてみてる人」
「あらー昔みたいにお嬢さんって呼んでくれないの? お・じ・さ・ん」
建物の陰から出てきたのは見覚えのある仮面をした女性だった。
確かいい男捕まえたとか言って冒険者を引退したはず。
「やっぱお前か。そりゃそうだよな王都に居るって話だったしな。
で、こいつ何で切りかかって来たわけ?」
「多分だけどギルドの受付が有ること無いこと吹き込んだみたい。まぁそっちはお酒によって水路に落ちる予定だからほっときましょ」
「ふーん、まぁ報酬をちょろまかしてたみたいだし怨みも多そうだし十歳でも王子がバッグに着いたとでも思ってたんだろ」
「そう言うこと。王子に媚び売りまくってかなり悪さしてたみたい。裏社会にたくさんの依頼が集まってたわよ」
ギルドの情報じゃ不良の取り巻きの他に関与してるのは居ないはずだが、多分不良の一部がギルドには入り込んだんだろ。カードのランク分かって無かったみたいだし。
「とりあえずこの王子はギルドの発表で無謀にもドラゴンに挑んで生死不明の行方不明ってことにするか。そういえば遺体って必要だっけ?」
「大丈夫よ私が責任もって王族に伝えるから。それに上級の更に上のSランク、ドラゴンを一人で倒すような冒険者の言葉を疑うような人はいないでしょうし」
「そんじゃ何時も通り影に喰わすか」
俺の影が大きく広がり気絶して倒れている王子を呑み込む、完全に取り込んだ後咀嚼する音が裏路地に響いた。
「いつ見ても不思議な光景ね。そんな形でもドラゴンなんでしょ?」
「寄生型ドラゴンって分類らしいな。強い相手に取り付いて餌をこっそり拝借するってよ。
よく言うこと聴いて魔物とかのはぎ取り残りとか綺麗に片付けてくれるし便利なんだが、こいつのせいで不老長寿だからな半分呪いみたいなもんだ」
「それより報告すませて帰りましょ。泊まりに来るのよね家に」
「あん? なんでお前の家に泊まる事になるんだ?」
「今日帰ってきた娘に聴いたのよ胡散臭いおじさん冒険者の事。一発で貴方のことだって分かったわ。
相変わらず色々助言とかしてるのね。変わってないようで安心したわ」
今日帰ってきた娘。俺のことおじさん呼ばわり。貴族の仮面をした目の前の女性。
ま、まさか
「そう、貴方の考えてる通りマリーことマルクローネは私の娘なの」
くそう、こいつら親子そろっておじさん呼ばわりかよ。血は争えねーな。
反撃替わりに公爵に教えてやろうっと。
そんな事を考えながらギルドに向かってその場を歩き去る。面倒だがこれでギルドを荒らしたバカ王子はもういない。噂で聴いた転生者の物語、これから起こる予定ってのもここでおしまいだ。なんせ登場人物が居なくなるだからな。
イライラを全部バカ王子にぶつけると楽しい。
つい思いついた外伝を書いていたら風邪引いて寝込んでました。
更に布団に入ってる間ヒマでマインクラフトしてたらそっちに夢中になって遅れに遅れてしました。
ごめんなさい。
マインクラフトの高所作業は心臓に悪いですよね。




