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「うっ?」


 あれ?わたしは何でこんな場所で寝てるんでしょう。

 スライムを探していたはずですが。


 ズキッ


 痛たた、頭が痛い。

 そう言えば何か頭に当たって倒れたんでしたっけ。

 コブになってないよね……って


「うひゃあ?!」


 ぬるっとした?!ネトネトしてる!どうしてこうなったんですか?

 パニックになりながら理由を探す、けどうまく考えがまとまらない。


 しばらくワタワタしてからなんとか落ち着いて周りを見回す。

 少し離れたとこにコアの割れたスライムが平べったく伸びていた。

 もしかしてあれが上から落ちてきた?

 側に落ちている木の棒、スライム探しに使っていた物を使ってコアの殻を叩いてみる。


 うん、これ普通に堅いのね。


 コンコンコン……ゴンゴンゴン……ガンガンガン


 あ、割れた。


「なに遊んでますのかしら?この娘ったらもう」


「あ、ミリアンさん」


「気をつけなさいっていった側からこのざまですもの、皆さん呆れてましてよ」


「でもスライムが上から来ることは本にも書いてませんでしたし。何よりそれが自分の頭の上に落ちてくるとか分かりませんよ」


「あれは私たちも予想外でしたわ」


 あれは上級者冒険者でも予想外なのか。


「スライムは何を求めて木を登るのでしょう?」


「知りませんわ」


 うん、そうだね。逆に知ってたら怖いよ。


「他の人たちはどうしたんですか?」


「貴女が起きるまで適当に獲物を狩ってますわ。あと起きて問題ないようなら街に戻るための準備と、どうですの?おかしいところはありまして?」


「ぶつかった所が痛いくらいで他は特に何もないです。

 ギルドカードにも討伐として認識されてますし帰りましょう」


 あれで倒したことになるのか……

 もし詳細がみれたら肉弾戦? それとも頭突きで記録されてるんだろうか。


 しばらくして戻ってきたマールさん達と一緒に街に戻るのですが……

 なんでユリカさんは、そんな大きな熊を担いでるんです? 

 わたしの無事を確認した後、森の奥にダッシュ。目に付いたので殴り倒して持ってきた、と。

 流石は一流の冒険者ですね。わたしには何年修行しても真似できそうにないです。




「あーあ、だから合羽買っとけって言ったのに」


 ギルドのカウンターで清算していると後ろから声をかけられました。

 振り返るとあの胡散臭いおじさんが絡んできます。


「あ、おじさんですか。急いでいたので買いそびれまして。

 あと何故かスライムが木の上から降ってきたんです。それから頭に直撃しまして」


「おじさんは止めて、まだお兄さんって歳なんだよ、こう見えて」


「はぁ。それでどの様な御用です?おじさん」


「声かけた初心者が無事に帰って来れるかの確認だよ、暇だから」


 暇なんですか、なんかこう仕事しろって言いたくなりますね。

 そう言えばスライムの食べ方を聞きそびれていましたね次に合ったときに暇なら教えてもらいましょう。


「おっ食べ方に興味あるの?

 いいよー色んな魔獣の美味しいとこ教えちゃおう。秘伝も含めていっぱい知ってるから」


「かなり乗り気ですね」


「だって他の初心者達、倒し方だけ教えろって、うざいんだもん」


「いい歳して「もん」は無いのです、おじさん。

 それにわたしのような貴族と違って他の人は生活がかかっているんですから」


「まぁそうなんだけどねー。それでも一言くらいあるっしょ、なんかこう。

 それに初心者は申請したら準備金借りれるしね。知ってるかは知らないけど」


 うわぁ酷い。教えてあげればいいのに。


「今教えてあげればって思ったっしょ。あいつら聞く耳持たねーのよ、これが。

 それに今夕方だけど初心者の半分はまだ帰って来てないんだよ。

 この時間で戻ってこれない奴はまず死んでるだけど、いきなりゴブリンやウルフの依頼に手ぇ出したんだから当たり前か」


 よいしょ、と言いながらおじさんがわたしの横の椅子に座ります。


「若いが故の万能感。何でも出来る、厳しい生活しないですむ、成り上がる。

 まぁ大抵の若いのがこんな気持ちで冒険者になるんだが知らないこと多すぎんの。

 例えばゴブリン、どこに住んでて、何匹で行動して、主に何を食べ、どこが急所か、魔法ならどの属性が効くか、お嬢ちゃん知ってる?

 あいつ等は知らないから死んだんだよ」


「な、なら教えてあげれば……って、あっ!」


「気づいた? そう、さっきも言ったけど聞く耳持たなかったの。

 こっちも聞かれたら答えるさ、でもね流石に相手が何聞いてくれないと答えれないんだよね」


 聞く気もないから派手に突っ込んで死んでいく、と。

 生死のかかった仕事だとは聞いてましたがここまで酷いとは……

 え?受付のおねーさんここのギルドはまだマシ?他は日に20人の初心者が来て次の日半分、さらに次の日にまた半分って死にすぎじゃないですか。

 そこのおじさんがきっちり下をシメてるからギルド内での争いが無いけど他のギルドは酷いもので報酬の強奪まであるって本当ですか?!


「あーなんだ話それたが、分からないことがあったら素直に大人に聞きましょうってことだ」


「ではスライムは何で木に登るんですか?」


「うわぁ今までの話しの流れでそれ聞く? まあ知ってるんだけどね。

 簡単に言うとスライムって同じに見えても結構食べるものが違うの。

 で木に登る奴は木の実を好んで食べるんだけど落ちてるのが無くなると木に登るわけだ。

 で、体の構造上登れるけど降りれないから落ちてくるんだ。

 っと、コレで良いか?ソロソロ晩飯に行きたいんだが」


 またなーとギルドを出て行くおじさんを見送りながら受付のおねーさんと話します。


「あの人ランクはすごく高いんだけど話し長いでしょ」


「そうですね、まぁいい人なのは分かりますが……」


「「胡散臭い」」


 受付のおねーさんと声がハモったところで周りにいた他の人も揃って吹き出しました。


おじさんのせいで長くなりました


この人喋りすぎ。だいたいおじさんのせい

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