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「いやその装備でスライム狩るのはやめといた方がいいと思ってな。貴族の嬢ちゃん」
おじさんはこちらを気にせず話し始めます。なんか微妙に怪しいんですけど。
「あれ?なんか怪しまれてる?いやいや真面目な話だって。
雨合羽と木でできた武器持って行きな役に立つから」
言ってることはまともなようですが、なんとなく胡散臭いおじさんです。あ、臭いと言ってもさすがに加齢臭はしないようですが。
となると結構ランクが高くお毎日風呂に入れるくらいの稼ぎがある……はず?
「スライムってのはな常に酸を出してるわけじゃねーんだ、食事の時や戦闘時に強く出す。
でも通常時も全く出さないわけじゃなくてな。食事の後は薄まるまで結構時間がかかるんだ。
で、大抵はそんなときに攻撃する事になるが、一撃で倒すのは初心者じゃまず無理で何度も攻撃する事になる。そうするとコレが結構飛び散るし酸も強くなる、武器や防具なんかに飛び散った汚れをそのままほっとくと溶けちまうんだ。
さらに……」
「はぁ」
なんだかペラペラ喋ってますが、胡散臭さのせいでいまいち信じる事ができません。
マールさん達を待たせてますし、さっさと行きましょう。
スライムの依頼をギルドカードに登録してっと……
「あの、知り合いを待たせてますので失礼します」
「……食べるならって、そうかい?急ぐならしゃーねぇよな気をつけてなー」
な?!
この怪しいおじさんスライムの食べ方を知ってるのですか?
是非とも教えてもらいたいのですが時間がありません。
残念ですがマールさん達と合流して狩りに行きましょう。
街の東側に森があり、そこで薬草の採取をしています。
間違って似た毒草も採取してしまいましたがマールさん達に教えてもらいました。微妙に違うのですが分かりにくいです。
「危険な動物や魔獣はこっちで処理する。怪我しても治すからできる限り一人で頑張れ」
「相変わらずマールはスパルタですわね。マリーこの辺にはコアを持ったスライムしか居ませんわ。倒すなら魔法で焼くかコアを割りなさい」
「ちなみに無傷のコアは高めに買い取ってもらえるにゃ。ただし焼いた場合はダメにゃ」
ふむふむ、安全に倒すなら焼き殺すですか。でも自由に使えるお金も買い食い用に欲しいですしね。
王都では買い食いなど出来ませんでしたから。美味しそうな匂いだけで何度我慢したことか。
この街に居るあいだは買い食いを咎めるメイドも居ませんし心行くまで楽しむためにコアを残して狩るとしましょう。
でもどうやって狩ったものか……
落ちていた木の枝を使って茂みをつついたりしながらスライムを探します。
気付くと横にミリアンさんが来ていました。
「どうかしましたか?」
「やはり気付いてませんのね」
そう言うと手にしたレイピアを茂みの奥に突き刺します。そしてそのまま持ち上げると頭を貫かれた蛇が切っ先に刺さっていました。
「毒蛇ですわ。もう少し周りを気にしなさい」
そう言って他のメンバーの元へ下がるミリアンさん。
すごいですね勢いよく刺すのではなく、本当に何気なくスッと刺しただけで倒すなんて。
さすがに一流の冒険者です。
なんて考えながらスライムを探していると頭に強い衝撃を受けました。
痛みと衝撃で薄れゆく意識の中ベチャリと何かが張り付くのを感じながら私は気を失いました。




