表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/20

scene4 <警察署会議室・当日>

——「この世の中で一番美しい行為を犯罪と呼べるかね?」——

(「零人」大坪砂男)



scene4 <警察署会議室・当日>



 だだっ広い会議室。限りなく事務的な事務机がロの字型に並べられ、窓際にはホワイトボードが二枚並んでいる。その前に寄せ集められたパイプ椅子には、劇団魔法九の面々が座っており、宮園さんだけは壁際のベンチに横たわっていた。灯りは薄暗い蛍光灯で、いくつか切れている。下ろされたブラインドが三月の光を遮り、部屋の中は寒々としていた。

 反筆が警察を呼び——誰が見ても、救急車の出番はなかった——劇場は一気に慌ただしくなった。当然、僕たちは警官達によって劇場から追い出され、集ってきたスタッフ達は劇場に入ることすらできなかった。日曜の朝八時過ぎ、薄暗い外に投げ出され、警察の車に押し込まれ、連れてこられた警察署の会議室で、ほぼ監禁状態。楽しくはない、しかしありがたいような気もする。残っていた酒はたぶん抜けてしまったし、整理できないままだった頭の中をようやく並べ替えられる。

 そんな部外者の気楽さをよそに、劇団魔法九の面々は意気消沈し切っていた。

 断筆亭反筆は、腕を組んで天井を見上げている。目を閉じて、ときどき何か呟いている。彼が失うのは、本拠地だった劇場だけでなく、自らの劇団の看板役者で、その劇団の存続も危うい。無念そうな呟きが、断末魔に聞こえなくはなかった。

 最年長の堂戸さんは、パーカーのフードを目深に被って、足を投げ出しうつむいている。ベテランボクサーのような佇まいだ。特に動揺しているようには見えない。役者歴の長い堂戸さんは、高校生時代から根居部さんを知っていて、彼がいるならということで劇団魔法九に所属したという。長年の戦友を失った傷の深さを、僕に想像できるはずもない。それでも堂戸さんは、諦めが人生の一つの答えであるかのように、静かに座っていた。

 番田さんは、派手な色のデニムととんがったデザインのジャケットを着て、さかんに立ったり座ったりと落ち着かない。反筆の大学の後輩——ということは僕の後輩でもある彼は、学生時代から芝居をしており、反筆を慕って劇団に入ったという。同年代の根居部さんとはライバルのような関係で、それでも根居部さんが戦隊もののレッドなら、彼はブルーの立ち位置だったらしい。センターで名乗りは受けられない、しかしレッドがいるからブルーも映える。悔しそうな表情は、顔に張り付いてはがれない。

 窓輪さんは、ロンドン衛兵のような帽子を抱え、宮園さんの横たわるベンチの隣にちょこんと座っている。小さな彼女は、より一層小さくなってしまったように感じられた。ときどき、うっすらと涙を浮かべては、それがまるでいけないことのように慌てて拭っている。本当に反筆とつき合っているらしいけれど、彼の方を見ることもない。ただ、宮園さんを守るために、本当の衛兵のように側に付き添っている。

 一番ひどいのは宮園さんだった。二十代半ばの彼女は、根居部さんの死体が薄暗い灯りに照らし出されたとき、気を失った。堂戸さんがすぐに駆け寄って、何とか意識は取り戻したが、それ以降生気のない顔で立っていられない様子だった。劇団内では誰もが知っていることで、宮園さんは根居部さんに恋い焦がれていた。劇団に入ったのも、彼を追いかけてのことだったそうだ。それは恋、というよりも信仰に近いんじゃないか、と反筆が昨日言っていた。届かない想い。根居部さんは、芝居のこと以外に興味がなかった。ストイックなまでの姿勢。それを支えていたのは、これも一種の信仰のような、アリスへの想い。それも含めて彼女は、根居部さんに心酔していたという。

 どれくらい時間が過ぎたのか、地味なスチールのドアを開けて二人の男が入ってきた。 スーツ姿の中年刑事と、パーカーにスエットを着た若い刑事。どちらも一見刑事には見えない二人は、ホワイトボードの前まで歩いてくると、自分たちの分のパイプ椅子を引き寄せて座った。

 頭の薄くなりかけたスーツ姿の、役場の出納係にしか見えない刑事が口を開いた。

「死体は、みなさんがおっしゃったように、根居部さんだと断定されました。亡くなったのは、恐らく深夜の11時から1時頃の間。死因は不明、体の方に致命傷がない以上、持ち去られた頭部に原因があるのでしょうな。首の切断は死後に行われています。鋭利な刃物で切断された、というわけではないようで、どんな方法を使ったのか、半ば引きちぎられたような状態でした」

 金を数えるような、淡々とした言い方だった。パーカーを着た茶髪の刑事の方は何も言わず、書類の挟まっているらしいバインダーを構えているだけだった。

「そのうち捜査本部が立って、本庁の連中が押しかけてきますが、その前に簡単にお話を伺っておきたいと思いましてね。ここにいらっしゃる6人の方が、つまり第一発見者、ということになるわけで」

「第一発見者。セオリーとしては、まず疑うべき登場人物」

 反筆が天井を見たまま、そんなことを言った。スーツの刑事は彼の方を見て、無表情のまま、パーカーの刑事に向かっていった。

「何か、お茶でも準備してあげなさい」

 パーカーの刑事は無言のまま、部屋を出て行った。身のこなしが静かで、どこか猛獣のようだった。

「そうか、みなさんはお芝居をされているんでしたな。では、私もセオリーとして言わせていただかなければならないが、これは形式的な手続きで、関係者であれば誰に対しても行うことです」

 刑事の言葉にはどこか馬鹿にしたような調子があった。番田さんと窓輪さんが刑事を睨んでいるが、刑事は意にも介さない。

「死体発見の状況を、できるだけ詳しく教えていただきたいですな」

 拒否することなど想定していない物言いだ。

 この場合、誰が口火を切るのが場にふさわしいのか、部外者の僕が考えていると、反筆は体を刑事の方に向けて喋りだした。

「朝の7時半、劇場に集合するように劇団員にメールをしたのは俺です。理由は、ここにいる番田という男が、劇場の鍵を持って帰ってしまったからで、この男は朝が非常に早い。番田に合わせて集まるとなると、大抵は不満が起こるものですが、俺たちの借りている鍵は一つしかないので仕方がない。実際に集まったのは、客演を除いた劇団の役者連中と、俺の友人のこいつ、つまりここにいる6人です。こいつは劇団とは無関係ですが、昨晩の舞台を観に来てくれて、勢いで俺の家に泊めたので、今日も引きずってきただけです」

「ほう、それで?」

「他のスタッフを待ってもよかったが、外にいるよりは多少暖かいので、中に入ることにしました。劇場のドアの鍵は開いていました。不思議に思ったんですが、あまり気には留めなかった。劇場まで階段を下りて、客電——客席の灯りをつけてもらったら、舞台の上に根居部を見つけた。俺が110番しました。もちろん、根居部にも、他のものにもできるだけ触らないようには指示しました。死んでいるのは明らかでしたし、どう考えたって殺されたようにしか見えなかったんで」

「あなたは、この劇団の、団長さん?」

「主宰、ということになっています」

「そうですか。それで、死体を見て、すぐに根居部さんだと気づかれた?」

「昨日と同じ服装でしたからね」

「死体の頭部がないことにも気づいた?」

「見れば気づきます」

「他に、何か気づいたことはなかったですかね?死体の状態以外に何か?」

「さっきから死体死体って、あんた何やその言い方!」

 突然窓輪さんが立ち上がって、刑事の方に詰め寄ろうとした。反筆が手を上げると、番田さんが素早く駆け寄って、窓輪さんを背後から抱きかかえた。

「マド姉やめなよ落ち着けって」

「放せ番田!こいつ、根居部ちゃんのこと、死体死体って……死体って……」

 真っ赤な顔で怒っていた窓輪さんは、番田さんの長い腕から逃れようともがいていたが、何かスイッチが入ったのか、今度は大声で泣き始めた。涙をあふれさせ、鼻水を垂らしながら、誰かまうことなく。彼女の中で、現実が追いついてしまったんだろう。

 番田さんは困った顔のまま反筆を見た。反筆は上げていた手をそっと振った。よく躾けられた犬か、軍人同士の符牒なのか、それだけで反筆の意図を汲み取った番田さんは、窓輪さんを抱えたまま下がり、元の椅子に座らせて自分も隣に座った。

 刑事は特に感想もないらしく、反筆の方を見た。

「それで、何か気づいたことは?」

「……俺たちは警察じゃないんでね、何かに気をつけてじろじろ観察したわけじゃない。せいぜい、何も触るなと指示できただけで、余裕はなかった」

「それでも十分冷静だ。根居部さんの、あの状態を見れば、平静ではいられないでしょう」 

 不意に刑事が、死体と呼ぶのをやめた。多少は関係者に配慮する人間性があるのか、それとも尋問のテクニックなのか。

 尋問。

 僕たちは尋問されているのか。背筋に冷たいものが走った。

「他の方はいかがです?」

 刑事が劇団の面々に視線を送った。発言するものはなかった。発言する理由がない。何しろ、あの状況が、不吉な何かとの暗合かもしれないと思い込んだのは、恐らく僕だけだからだ。それというのも僕が精神的に不安定で、普段読んでいる小説の影響を受けてしまったからで、あの状況が特別何か変わった状況だったのかどうかも客観的にはわからないのだ。

 やがて、刑事の視線が僕をとらえた。きっと僕は、胡乱な表情を浮かべているのだろう。刑事から見れば、社会から脱落したものに共通なラベルが見て取れるのかもしれない。そうやって、遠慮のない視線に晒されているだけで、ひどく気分が落ち着かない。さらに僕を落ち着かない場所へ追いやったのは、その刑事が、あっさりと、僕の存在などないかのように、視線を反筆に戻したからだった。ここでも僕は脱落するのか。ひねくれた意地のようなものが、僕に手を挙げさせていた。

「あの」

「あん?あなた、劇団の人じゃない人ですね」

「はい。その、僕はあの劇場に慣れていたわけでもないですし、関係者というわけでもないですから、他の人たちよりは冷静になって周囲を見ていたと思うんですが」

「ほう。で、何か気づいたと?」刑事は興味なさそうに言った。

「気づいた、というほどでもないんですが……客席のですね、椅子がいくつか、引っくり返されていました」

 僕の言葉に、反筆が視線を上げた。そして僕の方を睨みつける。何だ、まずいことでも言ってしまったか。嫌な汗が腋の下や首筋にわき出してきた。

「ああ、確かにね。動かせる椅子は引っくり返っていましたな。あれは、劇場ではいつもああするものなんですか?」

「いや、片付けることもありますが、昨夜は特にそんなことをしてないはずです」反筆が答えた。

「そう、つまり、誰かが意図的にやったのではないか、とあなたはそう言いたい?」

「いや、そこまでは僕にはわかりません。ただ、変だなと思っただけで」

「ふん……」

 心底つまらない、という様子で鼻を鳴らして刑事は頭をかいた。反筆は相変わらず、僕を睨んでいる。その意図がわからず、僕の精神は激しく動揺していた。

 パーカー姿の刑事が戻ってきた。人数分のペットボトルのお茶を、それぞれに配っていく。泣きじゃくっている窓輪さんを見て少し顔をしかめたが、それ以外はいたって無表情。スーツ姿の刑事には無糖の缶コーヒーを渡し、丸椅子を部屋の隅から持って来て、そこに無骨なガラスの灰皿を置いた。2時間サスペンスで凶器になりそうなやつだ。

「吸いますか?」

 スーツ姿の刑事が、懐からタバコを取り出しながら、誰ともなく訊ねた。反筆と、今まで微動だにしなかった堂戸さんがそれに応えて、それぞれタバコをくわえて少し近づいた。スーツ姿の刑事は喜々としながらタバコに火をつけた。

「最近じゃ警察署の中にも喫煙所があるくらいでね、大手を振ってタバコも吸えない。こんな状況ならしかし、誰もいかんとは言えんでしょう、私が吸いたいわけではない」

 自分がタバコを吸いたいだけ、ってことか。公務員も大変だ。

 三人が一服している間も、パーカー姿の刑事は無言、無表情だった。バインダーに向かってボールペンを構えて、何か書いている気配もない。

「さて、本来ならお一人ずつにお話を聞かねばいかんところですが、それは本庁の連中が来てからにしてもらいましょう。みなさんに確認しながら、昨夜の根居部さんの様子をうかがっていきたいと思います。まず、その、お芝居が終わったのは何時頃です?」

 本格的に尋問が始まった、と感じた。劇団の面々の反応は鈍く、何をすればいいのかわからない様子だった。これから始まる尋問がどういう性質のものなのか、ぴんときていないとでもいうのか。

「まぁ大体、午後九時頃でしたな」堂戸さんが渋い声で答えた。「開演が午後七時でしたからな、まぁそのくらいです」

「それから」反筆が続けた。「役者とスタッフと、観に来てくれた客の何人かで、劇場から20分くらいのところにある、行きつけの居酒屋に行きました。全部で……二十人くらいかな」

「その人たちの名前と連絡先は?」

「必要なら」

 スーツ姿の刑事に命じられて、パーカーの刑事が反筆にバインダーとボールペンを差し出した。ポケットから携帯電話を取り出した反筆が、記憶を頼りにリストアップしていく。「まぁここにいる者は全員参加しましたな。そのうちに……」

「十時過ぎくらいに俺が劇場に忘れ物したんで鍵借りて取りに戻ったな」窓輪さんから離れた番田さんが早口で言った。「次の日も劇場行くから別によかったんだけどやっぱケータイは持ってないと不便だからな」

「お一人で?」

「ガキじゃねぇんだから忘れ物くらい一人で取りにいくぜ、慣れた劇場なんだし」

「それで、その後、ええと、番田さんはどうしました?」

「戻って酒飲もうかとも思ったけどな結構酔ってたし劇場でケータイ探してる間に何かふらふらしてきたからそのまま帰ったぜ」

「お一人で?」

「そーだよ一人だよ悪かったなまだ電車動いてたから高円寺まで帰って狭いアパートでバタンキューだぜ」

「いや、そういう意味では」

 スーツ姿の刑事は、うまそうにタバコをふかしながら頭をかいた。

 リストを書き終わった反筆がバインダーを返すと、パーカー姿の刑事は小さく頭を下げた。

「居酒屋のみなさんは、それからどうされました?」

「まぁそうですな、番田くんが出て行ってそれほど立たないうちに、根居部くんが帰りましたな。それから、しばらくして、スタッフ何人かと、そこで横になっている宮園くんも帰りました。ここにいる中で残っていたのは、私と主宰とマド姉さんと彼、ということにまぁなりますな」

「俺とこいつは、座敷から離れて飲んでたんで、様子はよくわからなかったが、大体11時30分か、ラストオーダーになった頃にお開きにした。堂戸さんは帰ってしまったが、俺と窓輪は飲み足りないんで、こいつも連れて、劇場に戻ることにしたんです。で、一応関係者全員にメールで、これから劇場で飲むからまだ帰ってないやつは0時集合って連絡して」

「ちょっと」スーツ姿の刑事が口を挟んだ。「劇場で飲む?」

「ああ、あそこの劇場、何なら泊まり込んでもかまわないんです。だから、金のない頃の打ち上げは、劇場でやるのがお決まりでした。ただ、油断すると蜚蠊や鼠が出るんで、泊まり込むのは結構覚悟がいりましたけど」

 蜚蠊や鼠が出る、というのは本当だったのか。

「しかし、劇場に行っても、鍵がないでしょう?番田さんが持って帰ってしまった」

「その話をよく聞いてなくて、番田が鍵を持って帰ったなんて知らなかったんです。俺も窓輪も酔っぱらってましたから。で、劇場まで行ってみると、律儀に来てたのは宮園だけで。普段の行動で時間守るようなやつは少ないんで、こちらも気にしてないんですが。案の定、劇場のドアは開かなかくて、そのうち普段鍵を管理しているスタッフからメールが来て、鍵なら番田が持っていったって言うので、番田に連絡しても返事がない。もう寝てるだろう、ってことでお開きにして、俺は窓輪とこいつをタクシーに押し込んで帰りました」

「宮園さんも?」

「ええ、タクシーで帰ったと思います」

「二次会をするのなら、新宿にでも出れば朝までやっている居酒屋もあるじゃないですか?それをまた、どうしてわざわざ劇場でやろうと?」

「あの劇場、ビルごと取り壊しになるんです。本当なら今日、俺たちのやる舞台の千秋楽が、あの劇場での最後の公演になるはずだった。だから、そう、感傷的な理由ですが、劇場へのお礼みたいなもの、でしょうか」

「そうですか」

 理解できない、という表情でスーツの刑事はうなずいた。

「とすると、ですな。0時、というのは死亡推定時刻に含まれているわけですが、その時間には劇場に入ることはできなかった。朝、みなさんが劇場に来てみると、何故か鍵は開いていた。0時から朝までの間に、根居部さんと何者かは劇場の中に入ったのではないか、と思われるわけです。そして、そこで事件が起こり、何者か——犯人は逃走する。そうしますと、劇場の鍵を持っていた番田さんが一緒だったのではないか、と考えるのが自然だと思うのですが」

 刑事の話の矛先が変わった。無関心な銅像が、急に猟犬になったように思えた。疑わしきは第一発見者、その伝に従えば当たり前のことなのかもしれない。タバコをもみ消した反筆の表情が険しくなり、番田さんは椅子から立ち上がった。

「つまり俺が根居部をやったんじゃないかってことだな」

「まぁ落ち着きなよ番田くん」堂戸さんが静かに言う。

「堂戸さんこりゃ落ち着いていられないよ俺は疑われてるんだぜ」

「いいから落ち着きなさい。お前さん、今朝言っていたなかったかい?忘れ物を取りにいって劇場から出るときに、鍵を閉めたかどうか覚えていないって」

「あぁ……確かにそう思ったし確認したかどうかも覚えちゃいねぇけどそれがなんなんだ?」

「つまり」反筆が言った。「番田が鍵を閉め忘れていたとしたら、誰でも劇場に入ることができた、ということだ」

「ん?」

 番田さんはどういうことか理解できなかったようだ。

 十時過ぎくらいに居酒屋を出た番田さんが、劇場についたのは遅くても十時半前後だろう。そこで、どのくらい探し物をしていたのかはわからないが、出るときに鍵をするのを忘れたとする。その後であれば、誰でも劇場に入ることができた。そして、劇場の鍵は中からかけられるはずだから……鍵は番田さんが持って帰っているから……鍵がかかっているとしたら……急に全身の毛が逆立った。

 反筆を見る。

 険しい顔でうなずいた。

「もしそうだとしたら、0時頃に俺たちが劇場に立ち寄った、まさにそのとき、犯人は劇場の中にいた、ということになる」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ