任務と部下
「俺はお前みたいにはなれないな」
敵の城に侵入し、敵国の王子を捕獲して逃走する任務のはずだった。
だが目の前には大量の死体が転がっていた。
全てそこにいる女がやったことだろう。
奥の玉座の上に制服姿の女が座っている。
彼女は得意げに俺を見下ろしていた。
「あら、遅かったじゃない。もう終わったわよ」
そんなことを言った。
「……」
俺は異臭の漂う城主の間で、彼女を見る。
「目的は王子の捕獲じゃなかったか?」
「抵抗してきたの。捕らえようとしたけど死んじゃったわ」
「お前が殺したんだろ……」
彼女を睨むが、エリザは笑みを浮かべるだけだ。
「いいじゃない。どうせこいつは用が済めば処刑されるわけだし、ここで死んでも一緒でしょ」
そう言いながらエリザは足元の死体の頭を蹴った。
上物の衣服を着て、端正な顔立ちだったはずの男の肌は真っ青で、赤い血に塗れていた。
「計画が台無しだ。王子は交渉材料として使うはずだったのに」
「そんなこと言われてもね。それに私のことは心配してくれないの? こんな戦場に一人で戦って、怪我してるかもしれないのに」
頬を膨らませてエリザが見てくる。
「お前が勝手に突っ込んでいったんだろ。寧ろお前は処罰されるべきだ」
「酷いなー。せっかくリードの為に頑張ったのに」
「俺の為だというなら、命令に従ってくれ。くそ、皇帝になんて言えば」
本当に頭が痛い話だった。
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