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任務と部下

作者: 綴 詠士
掲載日:2026/02/26

「俺はお前みたいにはなれないな」

 

 敵の城に侵入し、敵国の王子を捕獲して逃走する任務のはずだった。

 

 だが目の前には大量の死体が転がっていた。

 

 全てそこにいる女がやったことだろう。

 

 奥の玉座の上に制服姿の女が座っている。

 

 彼女は得意げに俺を見下ろしていた。

 

「あら、遅かったじゃない。もう終わったわよ」

 

 そんなことを言った。

 

「……」

 

 俺は異臭の漂う城主の間で、彼女を見る。

 

「目的は王子の捕獲じゃなかったか?」

 

「抵抗してきたの。捕らえようとしたけど死んじゃったわ」

 

「お前が殺したんだろ……」

 

 彼女を睨むが、エリザは笑みを浮かべるだけだ。

 

「いいじゃない。どうせこいつは用が済めば処刑されるわけだし、ここで死んでも一緒でしょ」

 

 そう言いながらエリザは足元の死体の頭を蹴った。

 

 上物の衣服を着て、端正な顔立ちだったはずの男の肌は真っ青で、赤い血に塗れていた。

 

「計画が台無しだ。王子は交渉材料として使うはずだったのに」

 

「そんなこと言われてもね。それに私のことは心配してくれないの? こんな戦場に一人で戦って、怪我してるかもしれないのに」

 

 頬を膨らませてエリザが見てくる。

 

「お前が勝手に突っ込んでいったんだろ。寧ろお前は処罰されるべきだ」

 

「酷いなー。せっかくリードの為に頑張ったのに」

 

「俺の為だというなら、命令に従ってくれ。くそ、皇帝になんて言えば」

 

 本当に頭が痛い話だった。







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