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風魔法しか使えない俺は風で無双する  作者: mf
反乱軍での絶望
2/17

2 魔弾の特訓は意味はあるのか?

 翌日の昼休み、そいつに声をかけられた。

「ちょっと話いい?」

 安木 桃はそう言った。

「面倒事は嫌だね」

「じゃあここで話してもいいの?」

「それはもっと面倒なことになりそうだ。外へ行こう」

「じゃあついて来なさい」

 ついて行ってみると、俺たちは屋上についた。

「さて――少し質問いいかしら」

「いいぜ、なんでも答えてやるよ」

「あなたはなぜ実力を隠しているの?」

「別に隠してるわけじゃないって言っただろ」

「そう……じゃあ次の質問、あなたはなぜそんなにも実力を持っているの?」

「俺にもよくわからん」

「……何か隠す理由はあるの? あるなら黙っておくわ」

「そこまでないが、俺はあまり目立つことが嫌いなんだ。できれば言わないでくれ」

「わかったわ」

 そうして俺は階段を下りようとする。すると桃が何か言った。

「あなたはその力を悪用するつもりはないよね?」

「今のところはないな…………」

「わかったわ。それと放課後って空いてる?」

「少しだけならな」

「よかったら私の練習に付き合ってくれない?」

「嫌だね」

「もしもあなたが強いことを拡めると言ったら?」

「ならやるしかないな」

「じゃあよろしくね」

 俺はものすごくめんどくさそうな顔をしながら――

「わかったよ…………」

 そうして俺が階段を下りようとした瞬間のことだった。とてつもない轟音が聞こえてきた。その直後、放送が流れた。

「みなさん、学内に魔獣と侵入者が入って来ました。外に避難をお願いします」

「マジか…………」

 俺と桃は驚いた顔をした。

「早く逃げましょうか」

「そうだね」

 俺たちはすぐに階段を一階まで下りる。すると、後ろから足音がした。俺は瞬時に振り向き桃を連れて距離を取る。

「こいつはまずいな…………」

 そいつは明らかに学生じゃない見た目をしていた。

「おいおい、人を見るなり急に距離を取るなんてないんじゃないか?」

「怪しいやつに近づけって言うのか?無理な話だな」

「悪い子には躾が必要だな!」

 急に地面が揺れ出し、俺と桃はバランスを崩す。そして俺は即座に体制を立て直し、桃を安全な場所に避難させるために外へ風で吹き飛ばした。

「女を助けるとは、お前いい男だな〜」

 その怪しい人間はそう言った。

「そうか……なら見逃してくれたりしないか?」

「無理な話だな」

 そうして地面が再び揺れ出す。しかし、俺は風魔法を使って空を飛ぶ。

「お前、風魔法使いか?随分とやるみたいだな」

「そうだよ、俺は最弱の風属性だ」

「どうでもいい、早く死ね」

 すると、地面がいきなり崩れて!? 俺は咄嗟にその攻撃を避ける。地面の破片が天井に刺さっていた。

 避けた後、俺はそいつの背後に高速で移動をする。そして、そいつは俺の拳に反応できずに吹き飛んでいく。そいつに当たった壁は崩れていった。

「倒したか?」

「まだ全然ピンピンしてるぜ」

 そいつは吹っ飛んだはずなのに当たり前のように起き上がった。

「やっぱり油断は禁物だな。少し手加減しすぎたよ」

 するとそいつは魔法で岩を生成した。その岩がこちらに高速で飛んでくる。だけど、その石は反射するようにそいつに飛んでいく。そしてそいつに直撃した。

「お前…………何をした?」

 そいつは驚いたような顔をした。

「ただの風魔法さ」

「ただの風魔法がこんなことできるわけないだろ……」

「お前と本気で戦いたいところだが、今日は本気を出すなと言われてるからな。すまんが、また今度会おう」

「あ?逃がすとでも――」

 そいつは俺が喋ろうとした瞬間、モグラのように地面に潜っていった。

「クソ……逃したか」

 俺は舌打ちをした。

「とりあえず荒らしすぎちまった。人が来る前に逃げるか」

 俺がどこかに行こうとした瞬間、声をかけられる。

「待て! どこへ行くんだ?」

 そこには赤髪のメガネをかけた制服の人間がいた。

「俺はここの生徒だ。ここには……たまたま通りかかっただけだ」

「そうか、ならば早く外に避難するといい。まだ魔獣がそこら辺を彷徨いているからな」

「わかった。すぐに外に出るよ」

 なんとか面倒くさくなることを回避することができた。俺がここら辺を荒らしたとバレれば色々とまずいからな。

 そうして俺は走りながら外へと向かう。外に着くと桃がいた。

「あなた……急に吹っ飛ばされて痛かったんだからね!」

「悪かったな」

「てか何よあの風の威力!」

 そんな話をしていると、先生たちが外にやってきた。

「魔獣は全て討伐しました。今日はもう下校にしたいと思います。気をつけて帰ってください」

 先生がそう言うと生徒たちが「よっしゃぁ!」とみんなで揃えて言った。すると、桃の顔が不機嫌そうな顔になって――

「学校は学べて楽しいのにみんななぜ喜ぶのかしら……」

「お前は嬉しくないのか?」

「全く嬉しくないわ」

 俺は少し「異常だなぁ」と思いつつ「すごいなぁ」と感心もするのだった。


 そうして一日が経ち、俺は桃の練習とやらに付き合わされていた。

「めんどくせぇ……これ俺いる意味あるか?」

 俺はものすごくめんどくさそうに言った。

「あなたって風魔法以外の他の魔法使えないんでしょ? 唐須くんから聞いたわ」

「うげっなんであいつ教えるんだよ」

「他の魔法を練習すればいいじゃない」

「俺はそもそもの話、他の魔法が下手なんじゃない、使えないんだ」

「何言ってるの? 流石に少しぐらい使えるんじゃない?」

「それが全くと言っていいほど使えないんだ。魔弾すらまともに打撃てない」

「そうなのね……でも魔弾は撃てはするんでしょ?」

「そうだな」

「じゃあそれを練習しなさいよ」

 俺は練習しても無意味だと思ったが……

「まあ、わかったよ」

 俺は桃と木に向かって夕方まで魔弾を撃ち続けていた…………

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