婚約者は〇〇〇!その1
エラ帝国は一応貴族が存在する国ですが、思ったより一般帝国民の権力が強い国です。
理由を言えば何か暗くて面倒な何かを長々と並べなければならないので、短く簡単に要約しましょう!
「帝国の名前であり、初代皇帝は奴隷出身の少女、勇者『エラ』である。」
とても簡単な理由です。
初代皇帝は奴隷から始まり勇者となって大陸を救い、エラ帝国を建国しました。
最も卑しい身分から最も尊い地位に上り詰めたのです。
「誰でも能力があれば地位を与えられるということね。」
そのため、エラ帝国は身分の変化がかなり頻繁な国です。
罪を犯せば罰を受け、努力して成果を挙げれば褒美を受ける、誰もが夢見るそんな国なのです。
「帝国を建国した少女エラの太陽に似た金色の髪と宝石のように輝く緑色の瞳が代々受け継がれる。」
あっという間に3年という時間が流れ、ユーシアお嬢様はもう7歳になろうとしています。
相変わらず魔法研究に夢中で生きているお嬢様ですが、最近は歴史の勉強も一緒にしています。
それなりに建国の功臣の家柄なだけに、歴史は必須教養だからです!
「これは何というユートピアファンタジー…」
もちろん400年前の歴史は混沌と絶望に満ちた地獄そのものでした。
なぜかエラ帝国が建てられると、嘘のようにきれいな発展を遂げていました。
些細な事件事故はもちろんありましたが、少なくとも血で大地を染めるような戦争はありませんでした。
「その廃墟から戦争もなしに何の方法で大陸を再建したのだろう?」
ユーシアお嬢様は前世の記憶を思い出してみました。
直接経験した世代ではありませんが、学んだ知識には戦争、紛争、冷戦、大虐殺というキーワードが100年もしない時間にたくさん溶け込んでいる歴史でした。
ところがエラ帝国、エルフィナス大陸の歴史は過去400年間、一度も紛争がなかったのです。
「...まるでおとぎ話のハッピーエンディングの後みたい。」
「いつまでも幸せに暮らしました」で終わるハッピーエンディングが終わりなく続くとしたら、こんな感じなのでしょうか?
確かにエルフィナス大陸にはエラ帝国ではない他の国が一つはありますが、そんなに長い時間ずっと平和を維持できるのでしょうか?
「うん。むしろいいわ。」
今日のユーシアお嬢様は思索に浸って、なんだか知的なお嬢様になっていますね。
たぶん天気が少し肌寒い秋になったからかもしれません。
風に舞う落ち葉は何となく気分を寂しくさせる何かがあるからです!
「ユーシアお嬢様。公爵様がお呼びです。」
専属メイドのアンネではない他のメイドがユーシアお嬢様の読書室を訪ねてきました。
公爵様は普段の日課の時間にユーシアお嬢様を呼ぶことはありませんが、今日は特別な用事があるようですね。
「行きましょう。」
ユーシアお嬢様は椅子から立ち上がり、おとなしく歩み始めました。
しばらくしてユーシアお嬢様は公爵様の執務室に到着しました。
一体どんなことがあるのでしょうか?
「ユーシア。座りなさい。」
「はい、お父様。」
ユーシアお嬢様は公爵様の勧めに従って執務室の片隅にある椅子に座りました。
公爵様は後ろ手を組んで窓の外を見ながらため息をつきました。
「はぁ...ユーシア。お前の婚約相手が決まった。」
ついに来るべきものが来た。
ユーシアお嬢様はそう思いました。
貴族の家柄、それも公爵家の令嬢なら生まれた時から婚約相手が決まっていても全く不思議ではないので、思ったよりずっと遅く訪れた出来事です。
「そうですか。」
まるで他人事のように、ユーシアお嬢様は淡々と答えました。
いつか訪れる出来事だったので、ショックはそれほど大きくありませんでした。
「もう家出しますから探さないでください!お父様!」
だからといって、それが良いという意味ではありません!
皆さんは今、最初の話をもう一度見てくればいいのです!
「まあ、私の好みよ!」
「超可能」を叫んで気を失ったユーシアお嬢様はベッドで正気を取り戻しました。
もちろん半分くらいは眠っていたので、最後に見た少女の姿を夢の中でもずっと反芻していたのです。
まだ少し前世の影響が残っていて男性と一生を共にすることに違和感を感じていましたが、セイン坊ちゃまはただの女の子も同然ですからね!
「確かエリヤ子爵家の...」
ユーシアお嬢様は婚約者であるセイン坊ちゃまがどの家柄なのかよく知っていました。
実は知らないほうがおかしいのです。
エリヤ子爵家は現皇帝の双子の弟であるケレス・エラが即位式に合わせて分家し、家名を皇帝から「エリヤ」と賜った家柄だからです。
つまり、まだ皇族に近い貴族の家柄なのです!
もちろん、なぜ公爵位を持たなかったのか気になるかもしれませんね。
結論だけ言えば、エラ帝国は皇族の分家自体が初めてなのです。
これまでエラ帝国の皇族はみな一人っ子でした。
そこに公爵は最も高い貴族である分、それにふさわしい偉業が必要な地位でもあるのです。
少なくとも大賢者「ユースティス・ミラージュ」の建国の功臣程度の偉業でなければ話にならないということです!
もちろん、このような複雑な問題よりもユーシアお嬢様がより重要に考えている点は別の部分でしたが!
「私より可愛い人は今日初めて見たわ...」
ユーシアお嬢様が魔法研究に没頭する姿を見ると外見にそれほど気を使わないように見えるかもしれませんが、思ったより外見に自信を持っていたのです。
自由に動き始めて以来、常に最低限の運動を続ける理由はエネルギーが溢れる体質のせいもありますが、本人が外見を見栄えよく整えたいと思っているからです。
「この婚約...絶対に成立させなければ!」
実は少し遅すぎる感じがしますよね?
婚約の話を切り出すやいなや振り返りもせずにひたすら逃げ出して散々な目に遭ったのは他でもないユーシアお嬢様本人だからです!
それでも。
ユーシアお嬢様はセイン坊ちゃまを必ず妻に迎えたかったのです。
...シーッ。そのまま過ぎ去りましょう。
「アンネ!外にいますか?」
考えを終えてアンネを呼ぶと、待っていたかのようにアンネが入ってきました。
健康そのものであるユーシアお嬢様が気を失ったのは初めてのことで、アンネの顔にはユーシアお嬢様への心配が滴り落ちているようでした。
「ユーシアお嬢様!お目覚めになりましたか!」
今ユーシアお嬢様はそんな些細なことに気を使う暇がありませんでした。
今すぐにすべきことは婚約の話が無くなる前に、再び話を元に戻すことです。
つまり、時間がないということです!
「着替える服!できるだけ端正で清潔なもの!」
「は...はい?あ、分かりました。お嬢様!」
カリスマが感じられるほど燃える金色の瞳にアンネは先ほどまでしていた心配も忘れました。
外で待っていたメイドたちを何人か呼んで、瞬く間に着替える服を用意しました。
「うーん。うーん...これかしら?いいえ、あれ!」
用意された服を目で素早く確認したユーシアお嬢様は、普段は見向きもしないフリルが少し入った白いブラウスとスカートを選びました。
アクセサリーは三つ編みの髪を固定するピン一つだけ選び、残りは全て返します!
「お客様はまだ城にいらっしゃいますか?」
通常1時間はかけて終わらせる準備を15分に縮めました。
それほどユーシアお嬢様は本気なのです!
アンネは頷きながら言いました。
「はい、お嬢様。公爵様と一緒に応接室にいらっしゃいます。」
「すぐ行きます!」
アンネは早足で出ていくユーシアお嬢様に続いて応接室へ向かいました。
間もなくお客様と話をしている応接室に到着したアンネは、ドアを守る従者に用件を伝えました。
「申し訳ありません、エドさん。お嬢様があまりにも本気で...」
「はい、すぐにお伝えします。」
従者はドアをノックして入ってもよいという許可を得ました。
しばらくして再びドアが開き、彼はユーシアお嬢様に腰を低く曲げました。
「どうぞお入りください、お嬢様。公爵様がお入りになってもよいとおっしゃいました。」
ユーシアお嬢様は緊張を飲み込んで顔を平静に保ちました。
未来の花嫁のためにこの程度の演技は試練にもならなかったので、金色の瞳に情熱を燃やしながら応接室に入りました。
そして自分を見つめるエリヤ子爵家のお客様に向かって挨拶をしました。
「初めまして。ミラージュ公爵の娘、ユーシア・ミラージュと申します。」
「あ、はい...」
実は初めて会うわけではありませんでした。
ユーシアお嬢様とセイン坊ちゃまは確かに気を失う直前に会ってはいたのですから。
しかし挨拶する暇もなく「超可能」を叫んで終わってしまったそんな場面は少し片付けておきましょう!
なぜならそんな記憶はユーシアお嬢様の前途にあまり役立ちそうにないからです!
もちろん30年分のからかいのネタなので、私たちは長く使えるかもしれません。
「もう体は大丈夫なのか、ユーシア。」
公爵様はいつもお嬢様と冗談を言うときによく見た内輪の演技に心の中で舌を打ちました。
まだ状況を覆せると思っているようです。
元々なら何の未練もなく婚約を破棄するつもりでしたが、突然ユーシアお嬢様の心が変わったのです!
そんな娘のためならいくらでも言葉を翻せる男、それがミラージュ公爵なのです!
「はい、お父様。ご心配をおかけして申し訳ありません。」
「そうか、座りなさい。」
ユーシアお嬢様は金髪の少年、セイン・エリヤの向かい側に大人しく座りました。
今すぐにでも隣の席に座ってこの美少女を知るために話を交わしたい気持ちは山々でしたが、ユーシアお嬢様は我慢しなければなりませんでした。
そんなことは婚約が成立してからでも遅くないのですから。
「ミラージュ公爵の令嬢には今日初めてお目にかかりますね。私はケレス・エリヤ子爵です。こちらは私の長女...いえ、長男です。」
「セイン・エリヤです。」
子爵様とセイン坊ちゃまは頭を下げながら自己紹介をしました。
恥ずかしそうに、何か気まずそうに名前を言うセイン坊ちゃまの姿は光に満ちていました。
ユーシアお嬢様はセイン坊ちゃまの無限の可能性を想像しながら答えました。
「どうぞよろしくお願いいたします。」
読んでいただき、本当にありがとうございます!