魔法を習得しましたが、まだ4歳!
魔法を習得したユーシアお嬢様の日常をのぞいてみましょうか?
たった4歳。
実は魔法使いとしては早すぎる年齢だったのです。
「今日は何を作ってみようかな!」
でも!
ユーシアお嬢様は初めて習得した魔法にすっかりはまってしまいました!
目の前に見える華やかな結果ももちろん重要なことでしたが、ユーシアお嬢様には他の人とは違う点がありました。
「こんな時は、あの記憶が役に立つんだよね。」
それは前世の記憶なのです!
なぜかだんだんと曖昧になっていましたが、知識はしっかりと残っていました。
「じゃあ、最初に作るのは…」
残っている知識を基に、ユーシアお嬢様は魔法を探求します!
すでに頭の中でいくつかの仮説を立てていたのです!
今日はそんなお嬢様を微笑ましく見守ることにしましょう!
「うーん。ふむふむ。ふんふん。」
ユーシアお嬢様は自分の顔よりも何倍も大きな紙の上に絵を描いていました。
当然ながら、ただの絵ではありません。
これは絵のように見えますが、れっきとしたユーシアお嬢様が立てた仮説を基に描いたものなのです。
「ふふ。これさえあれば紙を節約できるわ。」
魔法を習得してからちょうど2週間ほど経ちました。
たった2週間ですよ!
2年でも、2ヶ月でもなく、たった2週間!
その短い時間でユーシアお嬢様は魔法がどのようなプロセスで成り立つのかを把握し、結果を生み出しているのです!
「簡易魔法陣完成!」
今日ユーシアお嬢様が描いたのは魔法陣なのです。
普通は円と四角形と星型にありとあらゆる幾何学的な図形、そして何だか分からないけれどとにかくそれらしい文字を書いて完成させるあれです!
こう言うと、誰かはその文字が悠久の歴史を持ち、忘れられてはいるものの歴史的価値があって素晴らしいと言うかもしれません!
でも、どうでしょう?
私たちのような普通の人が見れば、そんな文字はもう使われていない死語でしかありません。
しかも、ユーシアお嬢様が描いた魔法陣には文字が一つも入っていませんでした。
「ここに魔法で電気を流せば!」
ユーシアお嬢様が描いた魔法陣は、どちらかというと回路図に近いですね。
まるで私たちが電気を繋ぐように、魔法陣の途切れた二か所に電気を流しています...電気?
「よしよし...ちゃんとできてる...ふふふ...」
ユーシアお嬢様が使った電気魔法は、回路に似た魔法陣を伝わって流れ、くるくると回りながら魔法陣の上に何かの形を映し出し始めました。
「これなら、ちゃんとしたホログラムが作れそう!」
最初は回路図をそのまま写した形が出ました。
だんだんと様々な図形が空中に浮かび始め、ユーシアお嬢様は満足そうに笑いました。
たった2週間で作り出した成果物があまりにも素晴らしかったのか、ユーシアお嬢様は魔法陣が描かれた紙をくるくると丸めて胸に抱きしめました。
「これはお父様も喜んでくれるはず!」
前世の記憶は残っていましたが、ユーシアお嬢様はだんだんと子供らしい面をよく見せるようになっていました。
何かを作ったら自慢したくなるのです!
特に親バカの両親なら、ユーシアお嬢様が恥ずかしくなるほど喜ぶのは目に見えています!
「早く行って見せなきゃ!」
とことこという小さな足音を残しながら、ユーシアお嬢様は両親がティータイムを楽しんでいる部屋へ向かいました。
あんなに走って転ばないか心配ですが、大丈夫でしょう!
頭脳とともに最高の体を持って生まれたお嬢様なのですから!
「お父様!お母様!」
バーンという音とともにドアを開け、ユーシアお嬢様は巨大な筋肉のお父様の前に駆け寄りました。
そして、両親がよく見えるように丸めておいた魔法陣を広げて見せました。
「ユーシア・ミラージュ1号作!ホログラム投影魔法陣です!」
まだ4歳。たくさんのことを自慢して褒めてもらいたがる、そんな年齢なのです。
ミラージュ公爵夫妻は、娘が見せる魔法陣を見ながら戸惑いがちに答えました。
「そ、そうか。」
少し時間を巻き戻して、数分前に戻ってみましょう。
もちろん、ユーシアお嬢様の話ではありません。
「ふふ。」
久しぶりの休日。
ミラージュ公爵夫妻は本当に久しぶりにのんびりとしたティータイムを楽しんでいました。
二人は部屋に籠もって魔法を勉強している娘のことを思いながら、嬉しそうに笑いました。
ミラージュ公爵家に生まれた子供なら誰もが生まれ持つ緑色の髪と、黄金を思わせる瞳。
お母様に似て目尻が少し下がっていて優しそうな印象がありますが、そのせいでより可愛らしく見えるのです!
「一体どんな勉強をしているのでしょうか?」
「さあ...いくら聞いても教えてくれないから、少し寂しいな。」
「うーん...もうすぐ話してくれるんじゃないでしょうか?あんなに一生懸命にやっているんですから。」
「それもそうだな。ユーシアは今日も部屋にばかりいるのかな?」
宿題を出して以来、一日に顔を合わせるのが朝と夕食の時間だけなので、愛らしい娘の甘えが消えてしまったのが寂しくもあったでしょう。
そんな気持ちをよく分かっている妻のライナ様は、しょんぼりした夫の筋肉をぽんぽんと叩きながら慰めました。
「でも、あんなに夢中になっているのを見ると、やっぱりあなたの娘ですね。」
「そういう面はライナに似ていると思っているんだが...」
「じゃあ、二人とも似ていると言いましょうか?」
なんだか逞しい男性を、体格が半分もない妻が慰める姿が少し奇妙に見えますね!
もちろん、当事者が良いと感じていれば問題ありません。
何の問題もないのです!
実は公爵様の体格が大きすぎるだけで、ライナ様は体格が大きくも小さくもない普通...な体つきなのですから!
もちろん、目立つ部分はありますが。
「はぁ...それにしても。休みの日くらいは一緒にいたかったな...」
公爵様は妻が出す香ばしい味わいたっぷりの豆菓子を口に含みながら、もごもごと小さな願いを口にしました。
たんぱく質たっぷりの豆菓子は健康に良く、筋肉にも良いのです!
あ、こんな話をしようとしていたわけではなかったのに。
「じゃあ、行って連れ出せばいいじゃないですか。」
「そうして、ユーシアがパパ嫌いだって言ったら...」
この夫婦は、ちなみに親バカなのです。
ユーシアお嬢様が小さなことを成し遂げただけで喜んで死にそうになる、そんなタイプです!
良く言えば愛情あふれる仲の良い家庭だと言えますよ!
「じゃあ、ユーシアの好きなことを一緒にするのはどうでしょう?」
ライナ様はただ当たり前のことを言っていますが、公爵様はまるで悟りを開いたかのように顔が固まりました。
一つだけ見て二つ目が見えないこの父親という生き物は、どうやら脳まで少しずつ筋肉に侵食されているようです!
「まだ昼食前だから、連れてくるよ。」
公爵様は少し前まで受けていたショックが嘘のように表情を変え、厳かな声で言いました。
すぐに席を立とうとした時、どこからかとことことと走る音が聞こえました。
「お父様!お母様!」
バーンという音とともにユーシアお嬢様が乱暴にドアを開けて飛び込んできました。
ちょうど良いタイミングと言うべきでしょうか。
ユーシアお嬢様は目をキラキラと輝かせながら、胸に抱えた紙を広げました。
「ユーシア・ミラージュ1号作!ホログラム投影魔法陣です!」
自分で作り出したホログラム投影魔法陣という魔法陣を誇らしげに広げて見せるユーシアお嬢様を見ながら、公爵様は中途半端な姿勢のまま答えました。
「そ、そうか。」
「すごいわね!ユーシア!」
ライナ様も、公爵様も娘が作った'ホログラム'というものが何なのか全く分かりませんでしたが、とりあえず褒めました!
分からなくても大丈夫です。
どうせ説明はユーシアお嬢様が自慢しながらしてくれる予定なのですから!
「だから、ここにこうやって電気魔法を使うとですね!」
この後のことは皆さんよくご存じでしょう。
信じています!
あえて表現するなら...
「何を言っているのか分かりそうで全く分からない!」
夫婦はただ理解を諦めて、嬉しそうにユーシアお嬢様が自慢する姿を見ながら拍手をするだけだった、そんな話なのです。
少し量が足りないので、他の人を少し見てみましょうか?
ミラージュ公爵領にある小さな村。
そこには最近定着した一つの貴族の家系がありました。
「ローズ。本当にごめんね。」
「大丈夫よ、ママ。パパが余計に元気すぎて、もう弟妹が3人も増えちゃったけど。」
「本当に!ごめんなさい!」
夫婦仲が良すぎるあまり、どんどん口が増えてしまったちょっと貧乏な貴族。
スノウドロップ子爵家。
世襲貴族ではないので平民とあまり変わりませんが、幸い定着した土地の領主から誘いを受けました。
「それでも、お金はたくさんくれるって言うし...ミラージュ公爵家には変な噂もないし。」
「うん。それくらいなら、すごく良い条件だよ。」
今年で6歳になった真っ白な髪の少女。
ローズ・スノウドロップ。
貧しい家のために、ローズはミラージュ公爵家のメイドになることを決めたのです。
「気をつけてね、ローズ。」
「ママったら、もう二度と会えないみたいに!」
貧しさのせいで他の子供よりも早く大人びたローズは、家族のことを誰よりも考える優しい子でした。
「いや、普通、専属メイドは休暇なんて取りにくいって聞いたけど。」
「...本当に?」
もう決まったことを覆すことはできません!
とにかく!
ローズはミラージュ公爵家に向けて旅立ちます。
そこでどんなことが起こるのか、全く知らないまま...
読んでいただき、本当にありがとうございます!