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トラベルか、トラブルか。それが問題である その2


魔法少女になってしまった二人!

行動と話し方はペンダントの影響を強く受けています。

実はただ操られているだけなんです!


「ユーシ!これは本当に最高よ!」

「ふふ。喜んでくれて嬉しいわ」


セピア様は初めて魔法少女を目の前で見ました。

ひらひらとして可愛い服に、かわいいリボンで飾られた帽子まで!

まさにセピア様の趣味にぴったりの服でした!


「あんな姿が良いんですか?」

「うん!私も着たかったのに...」

「まあ、分かりました」


シス嬢は魔法少女の姿を目に焼き付けました。

後でいつになるか分かりませんが、セピア様が望む服を作ってあげるためです!

そして魔法少女ローズ☆クォーツは、目に見えて喜んでいるセピア様のために努力しました。


「クォーツ☆プリズン!」


この魔法は敵を閉じ込める魔法なんです。

透明な水晶でできた城が動きを封じるのです。

もちろん敵がいないので使っても意味はありませんが!


「おお!」


空中に現れた水晶でできた城は、日光を受けてキラキラと輝きました。

無駄に眩しいですね!

確かに魔法の名前は牢獄だったはずなのに。


「どうですか?本当に綺麗な魔法でしょう?」

「最高だ!魔法少女ローズ☆クォーツ!」


いつの間にか周りには人が集まり始めました。

とりあえずスノウドロップ子爵家がある村なので思ったより大きな村です。

当然人がたくさん集まるでしょう!

なんと魔法少女デュエットが一緒に来たんですから!


「こんにちは〜 みんな元気だった?」

「元気でした!」

「こっちも見てください!」


魔法少女ミラージュ☆ユーシアは村人が集まったのを見て本当に喜びました。

敵がいないのでただのアイドルみたいですが...大丈夫でしょう!たぶん!


「あっ!もう時間だわ!私たちはこれで行くわ!」

「あ!こんなに早く行っちゃうなんて!」


短くて残念ですが、魔法少女は元々長く会える存在ではありません!

もう別れの時間になってしまいました。

まだ楽しみもしていないのに、これはどういうことでしょう!


「そうだ!村長さんには後で在庫を送るわ!」

「お、おお...ありがとうございます...」


魔法少女ミラージュ☆ユーシアはそう言って、四つのハートが飾られた魔法の杖を振りました。

撒き散らされる華やかな光の群れが目を引きました。


「じゃあ、さようなら〜」

「ま、また会いましょう!」


魔法少女デュエットは名残惜しい別れの挨拶を最後に姿を消しました。

人混みの中に混ざっていた他の一行も誰にも気づかれずに消えてしまいました。

これは一体調和なのでしょうか?


そして少し離れたここは...

「到着!エリヤ邸!」

「え?ここはどこ?!まだグッズ全部買ってないのに!」


魔法少女ミラージュ☆ユーシアが使った魔法は他でもないテレポートでした!

誰でも使えるわけではない大魔法です!

今まで出てきた魔法の中で一番難しい魔法です!


「確かにテレポートを入れた記憶はないけど...どうなっているのかしら」

「さあね?」


ユースティス様がペンダントを作る時は、こんな便利な機能を入れた覚えはないようです!

言ってみれば、これはユーシアお嬢様が元々使えていた魔法だということ...でしょうか?


「ユ、ユーシアお嬢様!セピアお姉...いえ、姉様まで?」


一行が到着した場所は誰かの部屋です!

エリヤ領地にある誰かの部屋!

その証拠に、いつも屋敷のベッドに横たわって生活している一人が見えます!


「ザイン坊ちゃま!私の光!私の砂糖!甘い私の夢!本当に会いたかったです!」


とても昔にあった愛の告白を覚えていますか?

ユーシアお嬢様は確かにそんな趣味を持ったお嬢様なんです。

でもそれを相手も同じように好きだというのは本当に...


「わ、私も会いたかったです。ユーシアお嬢様」


魔法少女ミラージュ☆ユーシアは今変身状態なんです。

ザイン坊ちゃまは初めて見るんです。

華やかなミニドレスを着て世界に微笑みを送る魔法少女を。

この状態のユーシアお嬢様はペンダントの力で普段ならしないような行動も躊躇なく起こせるんです。もちろん既に起こしてしまいましたが。


「えへへ」

「でもその姿は...?」

「ほら、大賢者様が私を魔法少女にしてくださったんです!どうですか?可愛いですか?似合ってますか?」


魔法少女ミラージュ☆ユーシア、いや、ユーシアお嬢様は少し上気した顔でザイン坊ちゃまを見つめました。

心臓がドキドキして胸がときめきで一杯です!


「本当によく似合っています。でも魔法少女...って何ですか?」


ザイン坊ちゃまは知らなくても大丈夫です!

知らなくてもユーシアお嬢様は許せます!

なぜなら、それもまた愛だからです!


「魔法少女ミラージュ☆ユーシアは愛と世界を守る最強の少女よ。ザイン」

「う...うん。よく分からないけど、お姉...姉さんが言うなら合ってるんだろうね?」


セピア様は久しぶりに会う従弟に親切に説明してあげました。

普通こんな突然現れて騒ぎを起こしたら...


「ザイン!大丈夫?!もしかしてどこかまた痛いの?」


ドン!という音とともに誰かがザイン坊ちゃまの部屋に入ってきました。

漆黒のように真っ黒な髪の毛を持った方ですね。

この方こそがザイン坊ちゃまのお母様になる方です!


「母上。ドアはゆっくり開けるようにとお話ししたじゃないですか」

「あ。ごめんごめん」


ザイン坊ちゃまは耳がとても敏感で大きな音に弱いんです。

他の人なら表情を少し顰めるだけの音でもザイン坊ちゃまには耳を引き裂くような痛みになることもあるんです。


「...母上?」

「うん、うん?なんでこんなに人がいるの?本当にどうしたの?」


お母様の名前はマリ。'マリ・リコリス・エリヤ'というめずらしくミドルネームまである方なんです。

少し怪しいですね!


「さあ。私もよく分かりません」


何の前触れもなく突然現れたら誰も分からないでしょう!

しかもテレポート魔法に一緒に来てしまった他の人も全く事情が分からないので!


このように混乱でいっぱいの状況で、魔法少女ミラージュ☆ユーシアは言いました。


「あっ。変身の時間が終わっちゃった」


さようなら!魔法少女!


時々そういうことがあるんです。

ふと我に返ったら、自分も知らないうちに大変なことになっている状況が...

ユーシアお嬢様は変身が解けた瞬間にこの感覚を骨身に沁みて感じました。


「あ」


ペンダントの支配から自由になったユーシアお嬢様は顔が真っ赤になりました。

とても当然の話です。

自分で行動するのと、行動させられるのは違うからです!

言葉が少し変ですが、事実です!


「うん?」

「あ、あああああああ!!!!」


ユーシアお嬢様は真っ赤になった顔を手で覆って叫びました。

特に、顔を合わせるのも難しいザイン坊ちゃまにそんな恥ずかしい姿を見せてしまったなんて、これは羞恥心が限界を突破してしまいます!


「本当に素晴らしいね」

「...さすが狂った魔法使い...」


ユースティス様は恥ずかしがるユーシアお嬢様を見ながら満足げな顔でうなずきました。

その様子を見たシス嬢は、過去に魔王軍で狂った魔法使いとして名を馳せた大賢者ユースティス様を呆れた目で見ました。


「ひっく...私はもうおしまいよ...」


落ち込んだユーシアお嬢様は涙を流しながら座り込みました。

そんな恥ずかしい姿を、一番見せたくなかった人に見せてしまうなんて。

ユーシアお嬢様の繊細な心はあまりにも簡単に崩れてしまいました。

もちろん5分くらい経てば勝手にまた立ち上がるでしょうが!


「ユーシアお嬢様、どうしたんですか?」


ザイン坊ちゃまは婚約以来何度も会えなかったユーシアお嬢様がとても懐かしかったです。

あの日強く記憶に残った婚約式の時と同じように、ユーシアお嬢様は変わっていませんでした。

もちろん体は大きくなりましたが。


「ザイン...坊ちゃま...」

「はい。私はここにいます」


ベッドから起き上がったザイン坊ちゃまはユーシアお嬢様に近づきました。

ひくひくと泣いているユーシアお嬢様の顔に向かって、ザイン坊ちゃまは小さな手を伸ばしました。


「泣かないでください。私はお嬢様の甘い夢じゃないですか?」

「うっ!!!」


ユーシアお嬢様がもし爆弾だったら、今頃エリヤ領地は滅亡していたでしょう。

恥ずかしさが限界をはるかに超えているからです!

世の中にこんなにも純粋な人がいるなんて!


「...先生?400年前にもこんな告白は少しおかしくなかったでしょうか?」

「そうね...最近はこんなのが流行っているのかしら?」


ロゼフィンとユースティス様は見物人となってザイン坊ちゃまの能力を測っていました。

体は弱いですが、攻撃力だけは本当に素晴らしいですね!

消したい記憶を引っ張り出して抉る腕前が見事です!


「ザイン!やめなさい!」

「静かにしてください!」


この状況を止める人は嫉妬に燃えるセピア様しかいませんでした。

せっかく会えた大切な弟がまた婚約者にばかり目を向けるのでしょうがないですね。

セピア様も嫉妬深い性格ですからね!


「ユーシアお嬢様。私は婚約式の日にあったことをまだ鮮明に覚えています」


もちろんザイン坊ちゃまはセピア様がどうしようと、既にユーシアお嬢様と二人だけの世界に入っていました。


特にキスをされたあのシーンは何度も何度も思い返しているところでした。

まあ、なんて破廉恥なんでしょう!


「私も...です」


婚約した二人は実は思ったほど頻繁に会えない仲なんです。

直接的な原因としては、ザイン坊ちゃまの体があまりにも弱くて簡単に動けないという点があります。

もちろん、ユーシアお嬢様が研究に夢中になりすぎて家の外に出なかったからでもあります。


「いつも、いつ来てくれるかな、送った手紙は読んでくれたかな、と考えながら過ごしていました」


ザイン坊ちゃまは会わない間にもっと恋愛上手になってしまいましたね!

今ではためらうことなくユーシアお嬢様の好みにはまる言葉をよく選んでいます。

いつも本ばかり読んでいるというのに、恋愛も本で学んだに違いありません!


「え、えへへ」


本当に、この美少女はユーシアお嬢様の好みそのものになっていきました。

愛らしい外見にあんな甘い言葉も...染みこませることができるなんて。

これでいいのでしょうか?

ユーシアお嬢様はどんどん口角が耳にかかるほど上がっています。

恥ずかしさはほんの一瞬だけです!

ザイン坊ちゃまの澄んだ声がユーシアお嬢様の心をとろけさせています!

初めて会ったあの日、一目で惚れてしまったお嬢様は今やさらに深く落ちていくことでしょう!


「どこでそんなことを学んだの?」


もちろん、ザイン坊ちゃまのお母様であるマリ様は、ザイン坊ちゃまの炎のような愛の囁きを見ながら何と言っていいか難しい表情を浮かべました。


「ティリア様がくださったこの恋愛小説で見たんです」

「あ、こんなの渡しちゃダメだって言ったのに」


ティリア様という方はエリヤ侯爵様の二番目の奥様です!説明終わり!


「面白かったです」

「うん。そうね」


マリ様は記憶力が良すぎて何でも簡単に影響を受けるザイン坊ちゃまが心配でした。

恋愛的な観点では大成功でしたが!

ちょうどそんな趣味の婚約者がいるのですから!


「...それより、私たちはいつまで待てばいいんでしょうか?」


みんな心を一つにして言いました。

待たせすぎてしまいました!

読んでいただき、本当にありがとうございます!

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