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この世界はファンタジーです。


ここはミラージュ公爵家の秘密の部屋です。

誰にも知られずに、密かに進行される何らかの計画が立てられる場所です。


「ふふふ...ついにあの粉が私の手に入ったわ」

「...ユーシアお嬢様。一体これは何をされているのですか?」

「おやつを作るの!アンネ!」


はい。その通りです。

ユーシアお嬢様はおやつを作るための専用調理室をもらったのです!

まだ技術が不足しているため、アンネが見守る前で進めます!


「ローズは...呼んでいないんですね」

「うん。ローズは私が作ると、いつもそれはダメだって言うから」


まず、公爵令嬢であるユーシアお嬢様は本来、手に水も触れてはいけないのですから!

甘いおやつが好きなお嬢様にとって、ローズは邪魔なのです!

気に入ったおやつがなければ、自分で作って食べないと気が済まないのですから!


「そうでしょうね。私も止めたい気分ですが」

「え?」


ユーシアお嬢様はアンネの言葉に大きなショックを受けました。

今まで信じてきたアンネが裏切り者だったなんて、世の中に信じられる人が誰もいないのです!


「だって、お嬢様が作られると、小麦粉や砂糖が3割は消えてしまうんですもの」

「あ、やっぱり多く作りすぎたかな?」

「当然です。これからは少しずつ作るようにしてください。特に小麦粉はミラージュ公爵領ではあまり収穫できないんですから」

「うーん...」


元々砂漠だった地方ですからね!

幸いにも砂糖は簡単に栽培できますが、小麦はそうではありませんでした!

ユーシアお嬢様も頭では分かっていましたが、本能に逆らうのは難しいことでした!


「それより、この箱は何ですか?」

「自動でクッキーを捏ねて完璧に焼いてくれるアーティファクト!クッキーバーナー・プロトタイプよ!」


最近のユーシアお嬢様の研究はこちらに集中しているのです!

名前はとても変ですが...性能さえ良ければ名前は些細な問題でしょう!


「全部焼いてしまいそうな名前ですね」

「...そうかしら?」


アンネはユーシアお嬢様の発明品を見て正直な感想を言いました。

アーティファクトが失敗しても直接捏ねてオーブンで焼けばいいので、問題はありません!

爆発さえしなければいいのです!


「でも、お嬢様が直接作られたのだから、うまくいくでしょう」

「たぶん計量さえ正確にして入れれば何の問題もないはずよ!」


製菓の世界は一寸の誤差もなく回る世界です!

計量、温度、時間。

これら全てが完璧でなければならないのです!

一つでも欠けると失敗です!


「たぶん...って...普段からそうされていたのですか?」

「プロトタイプだからどこで問題が起きるか分からないの!」


そう言いながらも、ユーシアお嬢様は一寸の誤差もなく刃物のような計量を繰り返しました。

アンネは計量された材料を指示通りにアーティファクトの中に順番に入れました。


「うまくいくといいですね。お嬢様」

「うん!」


粉だらけになりながらも明るく笑う姿を見ると、アンネは少し苦労するのは些細なことだと思えました。


「次は...このボタンを押せばいいのですか?」

「うん。ボタンはそれしかないから」


入れて!押す!

それが操作方法の全てでした!

本当に誰でも使える製品を目指して開発されたのですね!


「じゃあ押しますよ」


アンネは少し突き出たボタンをグッと押しました。

徐々に振動が感じられ、機械...ではなく!アーティファクトは材料を捏ね始めました。


「あとは待つだけ!」


当然の話ですが、大賢者ユースティス様はある境地を遥かに超えた凄まじい魔法使いなのです。

まだ研究途中のユーシアお嬢様の実力は鳥の羽ほどです。

そう感じるのが当然の魔法使い。

その名こそ「大賢者ユースティス・ミラージュ」です。


「先生、少し丸くなられませんでした?」


最近、ロゼフィンとユースティス様は新たに気づいたことがありました。


「...そう言えば、最近少し重くなった気もするわ」


世の中の魔法がどれほど素晴らしいものか、魂にも脂肪がつくのです!

体がない状態でもお嬢様と一緒にティータイムを持ち、あれこれ食べたという事実から太れるということに気づくべきでした!

でもユースティス様は永遠の少女なので、たまには忘れてしまうのです!


「私に隠れてどれだけ食べられたんですか?」

「...」


ユースティス様は疑いに満ちたロゼフィンの目を避けて顔をそらしました。

弟子のロゼフィンもティータイムを一緒に楽しみ、あれこれたくさん食べる方でしたが、ユースティス様ほどではありませんでした。

むしろローズをからかうためにあちこち動き回るので、幽霊なのに健康そのものでした。

幽霊が健康だとどうなのかと思うかもしれませんが、そのまま進みましょう!


「先生?」

「あ、いや!ユーシアが作っておいたラングドシャだとかミントチョコアイスなんて全然食べてないわよ!」

「あ。ユーシア」

「あの...作りはしたけど、一体いつ食べたんですか!私が一人で夜にこっそり食べようと作っておいたのに!」


ユーシアお嬢様は遠い先祖であるユースティス様が秘密のおやつを食べたという事実を知ってしまいました。

大賢者様はデザートにとても弱いようです。

メモしておきましょう。


「そ、そうじゃないの!本当に味見だけしようと!ほんの味見だけのつもりだったのに!」


確かに前回はオートマタを作ってほしいと言っていた方です。

さりげなくユーシアお嬢様の手作りおやつを狙っていたのですね。ユースティス様。


「おまけにおやつの名前まで全部ご存知なんて!一体いつ見たんですか!」


ユーシアお嬢様は消えたおやつに対してとてつもない恨みを抱えていたようですね。

普段なら活発に笑い飛ばすお嬢様がこんなに激しく感情を表現するなんて、世の中がとても物騒です!


「お嬢様!またこっそりおやつを作って食べたんですか?」

「あ、違う!作っただけよ!全然食べてないわ!」


状況はどんどん奇妙な方向に流れていきます。

今度はこっそりおやつを作ったことをローズにバレてしまいました!

声が大きくなる中、ただ一人平和な人がここにいます!


「お...これ、余計なこと言っちゃったかな?」


その名はロゼフィン。姓はミラージュ。

ミラージュ家の筋肉始祖であるラウンド・ミラージュの一人娘の妹であり、大賢者ユースティス・ミラージュの愛弟子にして義理の妹、極寒の魔女という異名を400年前に持っていた人物です!


「ミントチョコの恨みは深い!闇に隠された深淵の怒りを味わいなさい!」


ユーシアお嬢様は心の奥底から湧き上がる絶望感を魔法で形にしました。

まるでカラフルな粘土のような超自然的で宇宙的な感じの...とにかくねばねばしたものがユースティス様に向かって飛んでいきました!

ある意味では親不孝かもしれませんね!


「ごめん...本当にごめんなさい!ユーシア!」


ユースティス様は大賢者の名に恥じぬよう、ユーシアお嬢様の魔法を難なく防いでいますね。

なんと片手を差し出して謝りながら防御魔法を使っています。

ここで最大の被害者はローズです。


「きゃああ!これは何ですか!」


防御魔法に跳ね返されたカラフルでねばねばした魔法なのか物質なのか分からないものがローズを襲いました!

これは...とても貴重な場面ですね。

もちろん怒りに形を与えただけの魔法なので、攻撃的でも毒性があるわけでもありません。

言ってみれば怒りを芸術で表現したような感じです!

絶対に暴力を振るっているわけではありません!

もちろん付着すると気分が不快になる点は暴力的です!


「はっ!食らえ!」


ユーシアお嬢様はもう目が血走って無差別に魔法を乱射していました。

ユースティス様は相変わらずうまく防いでいて、ロゼフィンはもうずっと離れた場所で傍観者になっていました。

被害者はローズだけなのです。

ああ。かわいそうなローズ。どうしてこんなことになったの!


「こ、これを取って...ひっく...ください...」


ローズは体に付着したスライムのような何かを一生懸命拭おうとしましたが、無駄でした!

魔法なのでハンカチでは拭えず、気分だけがモヤモヤするだけでした!


「あ、もう止めた方がいいかな?」


ロゼフィンは面白かったのですが、ローズが泣きそうな様子を見ると止めた方がいいかもしれないと思いました。

もちろんロゼフィンが教えた魔法を使えば、ローズも十分に防げるはずです。

ただし、ローズは平和な時代に生まれたので戦いや戦争とは縁がまったくないのです。

そういう方面には頭が回らないのです!


「ひいいっ!」


ロゼフィンは指をパチンと鳴らして口を開きました。


「Vocatio, Equita bela(ヴォカティオ、エキタ・ベラ)」


呪文と同時にユーシアお嬢様とユースティス様の間に刀を持った氷の人形が現れました。

ユーシアお嬢様が気づかないその瞬間に、すでに巨大な氷の刀がすぐ目の前に突き刺さりました。


「...え?」

「もうやめなさい、ユーシア。ローズが泣いているじゃない」

「あっ!私は何をしているの!」


ロゼフィンが止めてからやっとユーシアお嬢様は周りが目に入りました。

宇宙的な色彩のねばねばしたものをたっぷりと被って涙目になっているローズの姿。

めちゃくちゃになってしまった研究室の様子。

ずっと謝り続けるユースティス様の姿まで。

本当にめちゃくちゃそのものと言えるでしょうね!


「それにしてもローズ...すごくセクシーね」

「お嬢様!」


ローズはユーシアお嬢様に向かって叫びました。

読んでいただき、本当にありがとうございます!


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