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賢者の恋文  作者: 青木りよこ
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拝啓 旦那様


お手紙拝見いたしました。

何と書いていいかわかりません。

どれほど貴方が辛かったと思うと、慰めの言葉など見当たりません。

不甲斐ない私をお許しください。

今すぐ魂になって貴方を抱きしめたいです。

何もできませんが傍にいたいです。

私はずっと待っています。

この家で貴方を待っていますから、何も心配しないで帰ってきて下さい。

貴方が無事に帰ってきてくれるなら私は他に何もいりません。

何も出来ないけど、盾くらいならなれるかもしれないから貴方を守りたいです。

代わりに痛みだけでも引き受けてあげたいです。

貴方の悲しさが全部私に移ったらいいのに。

今すぐ貴方がいる島国の石ころとでも身体を交換したいです。

そうしたら転がって貴方の近くに行けるのに。

どうか無事に帰って来て。

どんなことでも貴方が書きたいことを書いて。

私に貴方の悲しさ、苦しみを少しでも分けて。

貴方を愛しています。

私は貴方に帰ってきて欲しい。

何があっても帰ってきて。

愛しています。


ちなみに私の髪と瞳は貴方と同じ黒色ですので、私たちの子は間違いなく黒髪に黒い瞳をした赤ちゃんが生まれることでしょう。

私はたれ目で貴方はつり目だから間を取って丁度良くなるはず。

私十人でも二十人でも産んでみせます。

私の声と掌の温度は想像で楽しんでください。

帰ってきたら答え合わせをしましょう。

こんなに好きにさせておいて帰ってこないなんて許しませんよ。

早く帰ってきて下さい。


貴方の妻アイリスより 愛をこめて

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