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賢者の恋文  作者: 青木りよこ
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拝啓 アイリス殿


作戦は滞りっぱなし。

膠着状態。

上手くいっていない。

もっと楽しいことを書きたいが、こちらには楽しいことは何もない。

暑さはマシになりつつある。

夜はもう涼しい。

君が元気でいることが救いだ。

ずっと元気でいてくれ。

それだけが俺の望みだ。

君が幻の俺を追いかけている様に、俺も君を探している。

姿もわからないのに。

君は何色の髪をしている?

瞳の色は?

何も知らない。

声の固さ、柔らかさ、小さな掌の温度も。

本当にもう少し早く縁談がまとまってくれてたらと思う。

君はしきりと会ったらがっかりするかもというが、それはない。

君に今俺は救われている。

すまない。

今とても弱っている。

同い年の同僚が死んだ。

風属性の気のいい奴だった。

快活で俺みたいな愛想のない人間にも声をかけてくれる人間だった。

いつもにこにこしていた。

こんな話をしてすまない。

苦しい。

こんなに上手くいかないのは生まれて初めてだ。

辛いことなら沢山あった。

両親の死、兄の死。

でも魔法で、自分の唯一できることでこんなに成果が上がらないのは初めてだ。

消耗戦が続く。

早く会いたい。

何も考えたくないので、アイリスと唱える。

いい名前だな。

こちらで君と同じ名の花を探すけど見つからない。

花などどこにも生えていない。

もうこの国に人は住めないだろう。

この国から悪魔を出すわけにはいかない。

絶対に根絶やしにする。

兎に角頑張る。

必ず帰るから待っていて欲しい。

この手紙は又書くから捨ててくれ。


フィリス


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