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賢者の恋文  作者: 青木りよこ
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愛するフィリス。


もうすぐ会えるのね。

私達会えるのね。

帰ってきたらまず何が食べたい?

ドーナツを揚げて、アップルパイを焼いて、ピザも焼くのね。

私としては美味しくできるようになったカボチャのポタージュと鯛を使ったアクアパッツァを食べさせたいわ。

あと大きなオムレツを焼いて、キンキンに冷えたレモネードね。

お腹一杯になったら暖かいお風呂に入りましょう。

そしてふかふかのベッドで眠ってお昼まで起きないの。

夕方まで寝ててもいいわよ。

何も考えないでゆっくりしましょう。

もう一生何もしなくてもいいの。

だって今一生分働いているんだもの。

世界の行方が貴方に委ねられているだなんて、貴方がどんな気持ちで戦っているか、どれほどのものを背負っているのかと思うと、何て言えばいいのかわからない。

言葉が出てこないの。

だってそんなこと普通ないんだもの。

貴方の立場に立たされたら私震えて立っていることすらできないわ。

貴方は本当に強い人なのね。

でもお家に帰ってきたら弱い人になって。

残りの人生は私に寄り掛かって。

貴方が私の全てなように、貴方の全ても私になって。

私貴方に私ができること何でもしてあげたい。

貴方が夢見ていること全部叶えたい。

私きっとそのために生きていたような気がするの。

だから帰ってきて。

ちゃんと帰ってきて。

私貴方の目を見て頬に手を伸ばしてお帰りなさいって言いたいの。

何度も何度も何度も想像しているの。

早く実現させて。

貴方の声でただいまって言って。

私の望みは今もうそれしかないの。

その後はもうひたすら何も起こらない毎日を楽しみましょう。

朝起きてご飯を食べて、空の色を確かめ、風に触れ、花を見出し、いつの間にか夕暮れで、星空を待つ。

そんな平穏な毎日を繰り返しましょう。

私は貴方がいれば他には何もいりません。

貴方がいればです。

私の残りの人生を幸せにしてください。

貴方は帰ってきてくれるだけでそれができる唯一の人間です。

私も貴方の残りの人生を幸せにしてみせます。

約束です。


貴方みたいに上手に書けなかったけれど私も似顔絵を同封します。

本物はもっと可愛いはずだから期待していてね。


貴方の妻アイリスより 愛をこめて







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