表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

37/42

教え36 それぞれのアピールなのですか?

「それでは打ち合わせ通りに、選ばれなかったモノたちは出て行きなさい」


「「「「はっ!」」」」


取り巻きの方々の大半が外へと出られます。数の暴力でもお使いになるのかと思われましたが、そうではなかったのですね。拍子抜けではありますが悪い流れではありません。

部屋へ残ったのは王女さん達2人と、取り巻きの中でも有力者だと思われる方が2人。それぞれの派閥で1人ずつという事なのでしょう。そして、それに加えて私とリセスさんですね。

これなら、もしもの場合はやれますね。


「……さて、単刀直入に言いますわ。リセス、私たちどちらかの下につきなさい」


「っ!」


取り巻きの方々が部屋から完全に出て行ったタイミングで、話が始まりました。最初からかなりハッキリとしたことを言われたので、リセスさんも驚いているようです。この驚きは演技ではないと思われますね。目の見開き方が普段と少し違うのが根拠です。

下に着くというのがどういう事かと言えば、ある意味王族の第3の選択肢と言えます。王位継承戦で勝ち残るか平民になるかのどちらでもない選択肢ですね。

詳しい話をすると、まず継承権を持つ方を1人選びます。そして、その方の下につきます。以上です。

………簡単すぎる?私もそう思います。苦しい戦いに勝利したり、全てを捨てて生きたりすることと比べて難易度が低いように感じられますよね。ただ、何も問題がないわけではないのです。他の2つと同じで、この選択にも落とし穴が。

まず、選んだ候補者が継承戦で勝利しなかった場合、下に着いたモノも一緒に殺されます。選ぶ相手も慎重に決めなければなりません。


「私たち、リセスが選んだ方が上になると協議して決めましたの。あなたが私を選べばハルフは私の下につく」

「逆に、私が選ばれた場合は、ユーアお姉様が私の下につく。簡単でしょう?」


「な、なるほど。そうすることで、お兄様達より優位に立てるようになると言うことですね」


1つ目の問題点は、こうして解消しようとしているわけですか。1人ずつだと王子さん方には敵いませんが、2人の派閥が会わせれば拮抗できる勢力になる。さらに、リセスさんの派閥にいる私たちが加われば、微かとは言え力が大きくなり、最大派閥になれると。

焦りがあった割には、頑張って考えた方だと言えるでしょうか?

ただ、誰かの下につく場合のデメリットは、1つではないんです。2つ目のデメリットは、勝者の下についても処刑されてしまう可能性があると言うことですね。通常は下についた方々を他国のご令嬢やご令息と結婚させて外交関係を保ったりします。しかしその方の人気が高かったりすると、反逆が起きて人気の高かった方が王位を勝ち取る可能性もあります。と言うことで、反乱を起こさないためにも、下についたモノを処刑する場合があると言うわけです。


「勿論、リセスを処刑することはありませんわ。そして、負けた方は速やかに他国との婚姻を結ぶようにするつもりですの。安定した政権になるはずですわ」


「生き残った後のこともしっかりしていると。……そういうことですか」


この話を聞く限り、リセスさんが処刑される可能性は低いですね、リセスさんを支持する方は少ないでしょうし、脅威にはなりえません。

ここまで聞いた限り、何の問題もないように思えますね。ただ、聞いた限りではあります。リセスさんがどう考えるのか気になるところですね。リセスさんに視線を送っておきましょう。


「……納得できました。とても私にとっては魅力的に聞こえるご提案です」


「そうですわよね。リセスならこの話を受けると分かっておりましたわ。さぁ。リセス。どちらを選ぶんですの?」


リセスさんにも、いい話に聞こえたようです。話へ反論をしないと、第2王女のハルフさんが選択を迫ってこられました。リセスさんはどうされるのでしょうね。

第1王女のユーアさんを選ばれるのか、第2王女のハルフさんを選ばれるのか、それとも……。


「ま、待って下さい。何のために私の供回りを連れてきたと思ってるんですか。私の支援者を代表して、フェルルに質問させて頂きます」


おっと。ここで私に振られましたか。私の出番はないと思っていたので油断していましたね。ただ、王女さんたちが頷くかどうかは微妙なところですけど。質問に答えるには時間が必要なわけですから、リセスさんは反抗せず素直に頷けば良いくらいに思っているでしょうし。

……と予想していましたが、お二人とも興味深そうな顔でこちらを見ておられますね。


「よろしくってよ。特別に質問を許可して差し上げますわ」


「ええ。リセスに選ばせるためにも、私たち双方に質問をして下さっても構いませんわ」


ああ。なるほど。この機会にお二人ともアピールがしたかったのですか。それなら、質問を受けて下さるのにも納得です。私もご厚意に甘えて、沢山質問させて頂くことにしましょう。


「ではまず、私たちリセス様の供回りの扱いについてお尋ねしたいです。私の場合は色々特殊ですのでなんとも言えませんが、他の方々がどうなるのか確認しておきたく思います」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ