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教え35 呼び出しなのですか?

「「「「これから宜しくお願い致します!」」」」


「は、はわわわわ。私の派閥が、ついに2桁に」


お三方を教団へ誘導した次の日。私たちの派閥の人数は、昨日の倍となっていました。リセスさんを含めて5人だったのに、今日はもう10人。かなり増えましたねぇ。

増えた理由は、昨日予想していたように他派閥が引き締めのため、一部の貴族を派閥から追い出したからです。他の派閥には入れなかった流れ者の方々が、この派閥まで流れてきたというわけです。他の派閥では必要のない人材といえど、私たちの派閥から考えれば貴重な戦力。実にありがたい限りです。

ただ、良いことばかりではありませんが。


「増えたのは良いんですけど、9つの領地で貿易がまわるかどうか………」


「まさか、こんなに早く経済封鎖を下されるとは思ってもみませんでしたわ」


私の領地を含め、昨日派閥にいた貴族の領地には経済封鎖をかけられています。経済封鎖と言いましても完全に他領との貿易が出来ない分けではなく、一部の派閥との貿易が行えないという状況です。

その一部の派閥というのが、第1王女派閥と第2王女派閥の2つ。元々王子様方には派閥の力で劣っていますから、下からくる虫は早く潰してしまいたいのでしょう。


「オホホホッ!」

「使えない無能共が集まってますわね。実に醜いですわぁ~」


そして、ご本人たちの登場です。経済封鎖をした初日から話しかけてこられましたか。これは予想外ですね。もう少し日にちをおいて、私たちが苦しむのを待つかと思いましたが。

それだけ余裕がないとも考えられますね。効果的に私たちへ何かしたければ、数日待って呼びつければいいわけですし。それに、本人が来る必要もありません。派閥の下の方の方に呼び出させるようにすれば良いはずです。


「ユ、ユーアお姉様にハルフお姉様。い、一体どういうご用ですか?」


怯えたような、警戒したようなリセスさんの声。とても弱々しく聞こえます。が、もう私には分かりますよ。これは半分以上ブラフですね。

今までのトラウマなどもあるでしょうから、お二人に怯えがあるのは間違いないでしょう。しかし、だからといって完全に怯えきっているわけでもなさそうです。派閥の人数が増えたときの表情の変化を見ていましたが、確実に自信を持っている表情になっていました。あの自信があって、現在リセスさんが見せているほどの恐怖に心が染まることはないでしょう。


「用件は簡単ですわ。……でも、ここで話すのも足が疲れそうですわね。少し座れる場所へ移動致しましょうか」

「着いてきなさいな.……あぁ。でも、着いてくるのは愚妹と供回り1人だけですわよ」


それだけ言って、お二人とその取り巻きの方々は歩いて行ってしまわれます。台詞だけだとわかりにくいかも知れませんが、かなり焦っているようですね。今すぐに振り向いて、こちらが着いてきているのか確認したいようです。取り巻きの方が注意してどうにか踏ん張れているようですが、身体がぴくぴくしてますよ。

ただ向こうが焦っているからといって、こちらが有利というわけでもありません。着いていくかどうか決めなければなりませんし、着いていく場合は誰がリセスさんと共に行くかも決める必要があります。

そんな選択を迫られますと、当然その視線は決定者に向けられるわけでして、


「わ、私が決めなければいけませんよねぇ」


派閥のトップであるリセスさんに視線は向けられました。リセスさんの瞳には、怯えに隠れて覚悟が読み取れます。

大事な決断になるでしょうから、覚悟が必要になるのも当然ですね。私はリセスさんのされた選択の中でできることを最大限行うとしましょう。どれだけ逆境に立たされようとも、神のご加護があれば乗り越えることができるはずですから。


「……私は行きます。フェルルが着いてきて下さい」


「心得ました。皆様お気をつけて」


私が供回りに選ばれましたか。信用されていると考えてもいいのでしょうね。派閥の中では1番仕えている時間が長いですし。消極的な理由の可能性もありますが、大きな1歩です。このまま信用を勝ち取って、いずれは……


「それでは行きますよ」


「はい。お供致します」


おっと。考えがそれていました。今は王女さんたちからの呼び出しに集中しなければ。いきなり襲われる可能性が無いわけではないですし、逃走ルートも考えながら歩きましょう。

王女さんたちの背中を追っていくと、皆さん1つの部屋へ入られました。教室以外を使うということは、他の派閥に聞かれたくない、もしくは見られたくないことをするということでしょう。


「失礼致します」

「し、失礼しまぁす」


「2人はそこ席へお座りなさい」


私たちが入った部屋は、教室の半分程度の大きさ。見た限り、防音性能も高そうです。この部屋へ案内されたことを考えると、余計に暗殺の線が濃厚に感じられてしまいます。この取り巻きの方々全員で、私たち2人を襲う可能性だって考えられるわけですから。

などと思って警戒していたのですが、


「それでは打ち合わせ通りに、選ばれなかったモノたちは出て行きなさい」


「「「「はっ!」」」」

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