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教え34 教育済みなのですか?

「まあ、着いてくると言うのなら着いてきても構いませんよ。ただ、目的地に帰り着くの1時間ほど後になると思われますが、よろしいですか?」


「え?えっと、それはどういう事ですか?」


3人は首をかしげる。たどり着く時間が遅くなると言われてもも、元々たどり着ける気がしていなかったのだ。あまり関係のない話である。


「だから、1度私たちの拠点に戻らせて頂きまして、その後にあなたたちを目的地まで送り届ける、ということです」


「「「っ!」」」


願ってもいないことである。帰り着く時間は遅くなるが、安全に帰ることができると言うだけで万々歳。こう思ったときには、すでに警戒心も消えていた。こうなることまで女性が予想して行動していたのかは、神のみぞ知る。


「それじゃあ、移動するので着いてきて下さい」


「「「はいっ!」」」



※※※



「うっ」


「こ、ここは」


暗い路地裏。薄暗く汚いその場所で、2人の男たちが目を覚ました。彼らは、エリーナ達3人を襲っていたモノたちである。そんな彼らが目を覚まして最初に見たもの。それは、どこかの貴婦人が被っていそうな帽子を身につけた、一人の若い女性。


「おはよう。2人とも。よく眠れたかしら?」


「え?お、お前は?」


「私?ふふふっ。私は、あなたたちを眠らせた子の友達よ」


「俺たちを眠らせた子?」


男達は首をかしげる。だが、すぐに一方のお男性は気付いたようで、目を見開いた。その理由は、目の前の彼女が友達だと言ったからではなく、自分が気付かないうちに気絶させられていたと言うことに気付いたから。

そして、それに気付くと狼狽えた表情を見せ始める。


「ま、まさか、俺も倒れちまったのか!?」


「はぁ?何言ってるんだお前?」


相方が倒れるところを見ていた方は、自分も同じように気絶させられたことが分かった。だが、先に気絶させられてしまった方はまったく事情が分からず、首をかしげるばかり。相方の頭がおかしくなったのかと思う始末だっ

だが、簡単に事情を説明させると表情が変わる。


「な、何だよそれ!?ありえねぇだろ!」


「で、でも、俺は確かに見たんだよ!それに、俺たちさっきまで倒れてたじゃねぇかよ!!」


「うっ。そ、そう言われるとそうだけどよぉ。……そ、それはもしかしたら、ただ酔い潰れちまっただけかも知れないだろ!」


2人は言い争い続ける。1人は自分の見た光景を伝え続け、もう1人はその事実が受け入れられずに否定し続ける。話は平行線に思えた。だが、だからこそというべきか、


「そろそろ黙って貰って良いかしら?」


「「ひっ!?」」


思わず口から悲鳴がこぼれる。女性は何もしていないはずなのに、なぜかとてつもない悪寒を感じているのだ。黙った2人を見て、女性は満足そうな顔を見せる。


「あなたたち、この社会に不満を抱いたことはないかしら?」



※※※



「「「申し訳ございません!!」」」


はい。なぜか久しぶりに感じますが、こちらフェルルです。現在は、お三方が土下座をされています。とても綺麗な土下座ですね。日頃から練習されたりしていたのでしょうか?

え?なぜお三方が土下座をしているのか分からない?何かイジメも起きてるのか?ついに私がとち狂って、お三方に拷問まがいのことをしたのか?

いやいや。いじめるなんてことはして無いですよ。あと、最後の疑問は何でしょうね。非常に失礼な気がするんですけど。この土下座は、お三方が自発的に行われているモノです。その理由は勿論、


「私たちのせいで、背信者になられてしまうだなんて。本当に申し訳ございませんわ!」

「すみません。私たちがお二人を見失わなければ、こんなことにはならなかったのに」

「一生かけてこのご恩は返させて頂きます!」


「いえいえ。良いんですよ。どうせ、普通の方法では私が継承戦に勝利することなど出来なかったのですから。皆さんが助かって、私もこの教団との繋がりが作れた。それで良いではないですか」


私たちが教団に入ることになったから、ですね。元々私たちは教団に入っていましたが、そう思い込んでもらえるように誘導させて頂きました。つまり、全て計画通り、ということです。

計画は簡単ですね。私たちがお三方を路地裏に放置して、それを教団の方々に保護して貰う。そしてお三方を助け出すために、やむなく私たちも教団へ入信。そんな流れです。お三方はすでに信者の皆さんに感化されて、がっつり教団への信仰心を持たれているようですよ。言ってはいけない気がしますが、予想以上にチョロかったですね。


「リセス様もこうおっしゃられおりてますし、1度皆様頭を上げて下さい。これからは謝るのではなく、この繋がりをどう生かすのかを考えていきましょう。そうしたほうが、何倍にも時間を有意義に使えるでしょうから」


「そうですね。フェルルの言うとおりです。皆さんで教団の知識を有効活用して、派閥を勝利へと導きましょう!」


「「「はい!!」」」


いいですねぇ。端から見ると、青春のようです。まあ、実際は命を賭けた血みどろの争いの準備なんですけどね。それでも、派閥内での友好関係が作れたのは素晴らしいです。リセスさんのカリスマ性も出ていますし、私は私で信者さんを増やしつつ、サポートに徹するとしましょう。

明日はきっと、とても良くないことが起きるでしょうから。

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