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教え30 それぞれの派閥なのですか?

「それでは次は、私どもの知っている限り他派閥の情報をお伝え致しますわ」


さて、ここからは少し長くなったので、他の方々の情報を簡潔にまとめましょう。箇条書きのような形にさせて貰いますね。

まず、第2王子さん~第4王子さん。

・第1王子の転覆を狙い、そこから出てくる無派閥のモノたちを引き込む方針。

・支持者には保守的な方が多い。

・支持層が似たような思考の方々のため、方針はほとんど変わらない。

次に、第5王子さん。

・他の王子さんたちに比べて、改革的な支持者が多い。

第1王女さん。

・支持者は第2王女であるハルフさんと似ている。

・ハルフさんとの違いは今までの不安を抱いてきた年数が長いため、焦りが強いこと。つまり、要注意人物。


といった感じになります。厄介な順番で言えば、第1王女さん、第2王女さん、第5王子さん、そしてその他の王子さん達、となるようです。

さて、これで各派閥の方針などはある程度わかりました。次は、理解をより深めるためにまた別の角度から質問しましょう。


「じゃあ、次はもう少し大枠で捉えた、各派閥の共通点や違いを教えて頂いても?」


「あっ。そ、それなら、私から1番重要なことを」


私が呼びかけると、今までエリーナさんの後ろに隠れていたティアさんが手を上げて下さいました。こうして挑戦して頂けるのは嬉しいですね。この派閥にいる間は、是非積極性を大事にして頂きたいものです。


「えぇと。い、今のところどこの派閥も、あまり積極的に教会と関わってはいないようです。教会としては王子様方に協力したいようなんですけど、どこの派閥も公爵家が教会をあまりよく思ってないみたいで」


「なるほど。分かりやすかったですよ。ティア様」


「あ、ありがとうございます」


こういう方は、発言をしたときに積極的に褒めておくことが大切です。できるだけ、発言して良かったと思わせなければいけませんからね。ただ、人前で褒められると次の行動にプレッシャーを感じる。という方もいるので一概に言うのは難しいですけど。


「じゃ、じゃあ、教会に協力して貰えば私たちの派閥も強化されるということですか?」


「ま、まあ、それはそうですけど……」


リセスさんが期待を込めておっしゃられますが、お三方は言いづらそうに目をそらされます。その考えはかなり無理があると言うことですね。

ここは、私がしっかりと教えることに致しましょう。


「教会に協力して頂ければ、確かに勝率はかなり高まります。が、まず教会に協力してもらうというのが難しいと思われます」


「そうなんですか?じ、自分で言っちゃうのもどうかと思いますけど、後ろ盾が少ない分教会への借りも大きくなりますよ」


この場合、勝利するととほぼ教会のおかげで勝てたと言うことになります。確かに、教会の売れる恩は相当な大きさでしょう。しかし、


「そこまでして恩を売る必要はないのです。わざわざ王に恩を売らずとも、国民は教会の信者であるわけですから、どんな王であれ反旗を翻すことはないでしょう。下手に教会と敵対して市民に反乱を起こさせたいとは思わないでしょうから」


私でも正面から敵対はしないですね。時間をかけて、ゆっくり国民意識を変えていくことになるでしょう。もしリセスさんが国王となった場合も、最初から我が教団を容認することは難しいでしょうね。まあ、勝てたらの話ですけど。


「そうですか。期待できると思ったんですけどねぇ~」


残念そうにリセスさんは呟きます。確かに教会に支援して貰えば勝てるでしょうから気持ちは分かりますね。ただ、その場合は我が教団を潰す必要が出てくるのは分かっておられるのでしょうか?

……分かっていそうですね。それでも、教会から手を差し伸べられれば握り返すつもりなのでしょう。自分が生き残れる道なら、どんな道でも選ぶ。そんな覚悟が、私の予想より強そうです。

チラリと見てみると、リセスさんの目から罪悪感ではない何か強い気持ちがくみ取れます。良いですね。使えるモノは何でも使い、今まで良いと思ってきたモノでも生きるためなら容赦なく捨てる。これは教団の教義としても、かなり正しい行いなんです。リセスさんも予想に反して強い方だったんですね。



※※※



学校が終わりまして。昨日と同じく、私たちは外へ出る支度をします。新しく取り巻きとなったお三方も一緒におられますよ。その表情からは期待と緊張が両方くみ取れます。どちらかと言えば、期待の割合の方が高そうですね。きっとお三方とも庶民の暮らす場所へは外出したことがないのでしょう。

こんな表情が焦りや絶望に変わったしまうのは、心が痛くなりそうです。ただ、神へ導くためですから仕方ないですね。私も覚悟を決めましょう。教団の信者として、そして、教祖としての覚悟を。


「それじゃあ、行きますよ」


「はい。お三方とも、はぐれないようにして下さいね」


「「「はい」」」

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