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教え22 内緒の場所なのですか?

「そうなりますと、1つ確認したいことがございます」


「な、何ですか?」


「リセス様は、王位継承権争いをこのままお続けになって王となりたいのですか?それとも、継承権を放棄して、一般市民として生活していきたいのですか?」


ここまで争うことがお嫌いなら、継承権を放棄してしまうのも1つの手ではあります。その場合、私は難しい立場になってしまいますがね。そうなってしまえばゲームと同じく第1王女様の方にでも着いて、そちらで頑張ることにする予定です。

と、そんなことを思っていましたが、返ってきた答えは、


「継承権を捨てると、貴族との関わりを持つことが禁止されると聞きました。誰にも助けて頂けないだけなら良いですけど、いじめられるかも知れないですし、継承権を捨てるのには、少し恐怖が」


「なるほど。では、今のところは継承権争いに参加するということでよろしいですね?」


「は、はい」


弱々しい肯定が返ってきました。ただ理由が消極的すぎて、あまりリセスさんの個人的な働きに期待することは難しそうですね。継承権争いで勝利したい場合は、私が全力で動くしかなさそうです。

王様の命令ですからリセスさんから鞍替えすることも難しいですし、とりあえず今は頑張るしか無いですね。あと2つくらい選択肢があると良かったんですけど。


「もう1度まとめて確認させて頂きます。リセス様としては継承権の放棄は行いたくない。しかし、継承権を積極的に争いたいわけでも無い。と、いうことで良いでしょうか?」


「は、はい。そうです。我が儘でごめんなさい。フェルルさ、じゃなくてフェルルにも迷惑をかけてしまって」


「いえいえ。構いませんよ。方針が決まっているなら、私はそれに沿って準備をするだけですから」


他にも確認したいことが幾つかあったので、それも確認しておきます。この日は、そうした感じで学園を過ごしました。

ただ、明日からが辛いですねぇ。話すことも尽きてしまいそうですし。本当に、リセスさんの趣味などといった話のネタが欲しいです。どうにかなりませんかねぇ。


などという願いが、我が素晴らしき神に届いたのでしょうか。いえ。きっとそうなのでしょう。

約束通り、学園が終わって金貨2枚をお渡ししたときでした。


「あ、あの、これから外出しようと思うんですけど」


「はい。分かりました。お供致します」


「えっ。あ。そ、その………」


何か歯切れが悪いですね。私に着いてきて欲しくないといった印象を受けます。何かあるのでしょうか?もしや、平民との身分差の恋!?……というのもなさそうですよね。話し方で分からなくなっていましたがまだ4歳ですし、そこまで熱い恋愛は無いと思います。絶対無いとは言い切れませんが、確率は低いでしょうね。

私がそんなことを考えながらリセスさんを見つめていると、リセスさんは肩を落とされました。特に何も会話は無かったのですが、諦めた模様です。


「あ、あの。絶対に、絶対に他の人には言わないでくださいね」


「え?……ええ。では、我が家にもいわないとお約束致しましょう」


「ほ、本当の本当にお願いしますね!」


これは振りでしょうか?押すなよ押すなよ、と似たようなものと考えても良いんでしょうか?

まあ、良いわけがないですよね。分かっていますとも。流石にこのあまり仲が深まってもいない状況で、そんな冗談を言うことも無いでしょう。それに、この世界にそんな文化があるとも聞いたことが無いですし。

そういうことで私が言わないとお約束すると、リセスさんは学園を出発されます。色々な路地を通ったりしながら目的地を目指して歩いていますよ。この路地の出入りの激しさは、尾行を警戒していると考えて間違いなさそうですね。かなり気を遣っているようです。ここまでの追っ手を振り払う技術、一体どこで教わったのでしょうか?王族にそういうことを教えてくれる人がいるなら、もっと他の技術も教わっていておかしくないのですが。


「こ、ここです。着きました」


「ほぅ。ここですか」


到着したようです。かなり何本も路地を通ってきたのでここがどこだとは言えませんが、ここも路地のどこかなのは確かです。因みに私は道を覚えるスキルも持っているので、帰り道に迷うといったことはありません。不測の事態があっても、ある程度なら対応できます。

そんな迷わない私と、リセスさんの目の前にあるのはそこそこの大きさの白いテント。外からは、中で何を行っているのか全くわかりません。


「す、すみませぇん」


「はい。何でしょうか?」


リセスさんが入り口近くにあったボタンのようなモノを押して中へ声をかけると、中から1人の女性が出てきました。因みに皆様は知らないと思いますが、私はこの人に見覚えがあります。

向こうも覚えていてくださったようで、目を見開いて固まっています。リセスさんは王女様が来たことに驚いていると勘違いされているのか、気にした様子もありません。運が良いと捉えて良いのでしょうか。


「あの。お話を聞きに来たんですけどぉ。い、今大丈夫でしょうか?」

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