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教え18 スキルですか?

「また賭けをしようというお話ですか。……リセス様。今後のことをどうされるおつもりなのか、お聞きしても?」


「え?わ、私ですか?」


リセスさんに判断を仰ぎますが、とても困惑したような返答が返されました。まだ私を従えているという認識がハッキリとしていないようですね。ここはもっと、しっかりして頂かないと。

リセスさんにも教団に入って頂いて、強い精神力を獲得して頂いた方が良いかも知れません。


「ええ。リセス様です。リセス様が今後何かを行うというのであれば、この勝負をお断りしてそちらへ向かわなければなりませんので」


「え?あっ。その……と、特に何もないです」


「そうですか。金貨が必要と言うことでしたので、何かやりたいことがあるのかと思っておりましたが、……ないのでしたらこの勝負をお受けして良いですね」


「……………」


リセスさんは視線を落としてしまいます。どうやら、あまり勝負を受けては欲しくなさそうですね。

私が負けてしまうことを恐れているのでしょう。あまり私に期待されすぎても困るかもしれませんが、私がある程度は出来るという所を見せておかねば。教団の未来のためにも!

と、ここまでは意気込んでいましたが、


「では、受けると言うことで良いですわね?」


「はい。それで構いません」


「なるほど。お受け頂けるのですわね。じゃあ、『指示:今日行われる私とのゲームは、全て裏切りを選択すること』」


何が起きたのか皆さんにお伝えしましょう。

私はこれから賭けを行う相手のクロリアさんに指示をされたのです。指示というのは、スキルと言われるモノの1つ。まずは、スキルというモノの説明からにしましょうか。


「スキルを最初から使うなんて、クロリア嬢も随分と力を入れてるな」


この世界には、スキルと言われる特殊能力のようなモノがあります。私が前世でいた世界では後天的に得られる超能力的なモノは存在していなかったので、おそらくこの世界独自のシステムですね。ただ、後天的に得られるといっても、得られる可能性が高いのは基本的に貴族や王族といった身分の高い方々だけです。私のような公爵家は通常スキルを多量に得るようですが、私の場合はなったばかりなので身分によって得られるものは0となっています。


「……リセス様。少しよろしいでしょうか?」


「え?あ。はい」


そんなスキルによって行動を確定されてしまった私は、すぐにリセスさんに声をかけます。

指示というスキルでは、そのスキルによって指示されたことは必ず行わなければならないという厄介なもの。その指示を打ち消すには、打ち消すためのスキルがまた必要となってくるという、非常に面倒な設定があります。


「何をされているんですの?早く準備してくださいまし」


「ああ。申し訳ありません。……それでは、リセス様。失礼致します」


リセスさんと話をし始めたらクロリアさんに声をかけられてしまったため、私はゲームを始めざるを得なくなりました。もう少しリセスさんとお話ししていたかったのですが、仕方ありませね。

カードを抜き取り、じっと眺めます。そして、


「………ぁ」


「ん?何か言いまして?」


「いえ。何でもありません。確認したいことがあっただけですので、お気になさらず」


「確認したいこと、ですの?……ふぅん」


おっと。静かにいったつもりでしたが、聞こえてしまったようですね。何を言ったのかまでは分かっていないようですが、危なかったです。もっと気をつけて使わなければいけませんね。


「それでは始めましょう。早速カードをセットですわ」


クロリアさんがセットし、私もそれに続いてセット。そして、両者セットしたため、オープンとなります。私は裏切りを出すことが指示されていますので、クロリアさんも裏切りでしょう。

……クロリアさんの思い通りに遊戯が進んだ場合、損失は金貨何枚になるんでしたっけ?ずっと裏切りを出し続けて、3セット全て両者裏切りの場合の、97656250を3倍して、……なんでしょう。暗算しようと思えば出来ますが。とてつもなくやりたくない数字ですね。現実を直視してしまうからでしょうか?

と、そんな私の気持ちは置いておくとして、結果は、


「……へぇ。対抗手段をお持ちでしたの?」


「ええ。少し色々ありまして」


クロリアさんは裏切り、私は協力。私の負けですね。私の画面というのでしょうか?それに映っている利益が、-10となっています。このまま3ターン連続で負け続ければ、30枚の金貨を失うことになりますね。

ただ、勝っているにもかかわらず、クロリアさんはあまり嬉しくはなさそうな顔をされています。自分の思い通りにはいかなかったのだとしても、勝ったのですからもう少し喜んで良いと思いますけどね。悔しがるフリをして私を油断させるつもりなら、話は変わりますが。


「少し色々、ですの?しかしその能力、あなたのモノでは無いのでなくて?」


「えっ!?な、なんですか!?」

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