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教え17 2枚ですか?

「では、次は第3セットですか?」


「ええ。そうですわね。早速始めますわ!さあさあ!準備をお早く!!」


私はまた裏切りを見せておきます。ここで勝っても負けても、あまり痛手にならないという予想です。勝てば利益ですし、負けても金貨1990枚以下であれば。第1セットの分から差し引けば良いので問題なし。

損失は出していないわけですし、お父様達に怒られると言うことも無いでしょう。、逆に褒められてしまうかもしれませんね。


「あ、あの。フェルルさん」


「ん?リセス様?どうかなされましたか?」


私がカードを仕込んだところで、リセスさんが話しかけてきます。ゲーム中に話しかけられるとイカサマを疑われてしまう可能性があるので、やめてほしいのですが。

……とは言っても、向こうがもうイカサマをしているわけですし、あまり関係ないかも知れませんね。それは良いとして、リセスさんが話しかけてきた理由を聞きましょう。


「あの。大丈夫なのですか?第2セット負けちゃったみたいですけど」


「え?ええ。構いませんよ。第1セットで沢山頂いているので、金貨10枚分利益が減っても痛手ではありませんし」


「そ、そうですか。それなら良いんですけど」


どうやら、私の家に被害が出ないか心配だったようです。私という後ろ盾が無くなれば、ゲームのようにいじめられるだけの日々になるでしょうから、気持ちはよく分かりますけどね。

さて、それでは第3セットに集中しましょうか。油断すると、リセスさんが危惧したように私が損失を被ってしまいかねません。私だけでなく家にまで被害を出すわけにも行きませんし、最後まで気を引き締めましょう。教団の戦い方というものを見せて差し上げますよ。


「それでは、セットしてくださいませ」


「はい」


私は逆らうことなくカードをセット。後ろで覗いている方には、私が裏切りをセットしているように見えているでしょう。ただ、目の前のエリーナさんはそれを信じてはいなさそうですね。第2セットと同じく私が協力をセットしていて、金貨10枚を減らすだけで終わらせる可能性も考えているようです。協力を出して負けたとしても、私は1980枚の利益を得られるのですから。


「……オープンですわ!!」


緊張した面持ちで、しかし元気よく。エリーナさんはカードを公開します。そのカードは、協力。

私が損失を出すように、ここで攻めてきたようです。しかし、


「……な、なんで?」


「私の勝ちと言うことで。第2セットの分と合わせて差し引き0になりましたね」


私が選んだのは裏切り。きっとエリーナさんなら協力を選んでくれると信じていたので、予想通りの結果です。これで第1セットの金貨2000枚が全て我が家に入ってくるわけです。今までの我が家がらすると、臨時収入にしては大きいですね。家に貢献できて何よりです。


「エリーナ様。私が初めての賭けと言うことで手加減してくださったこと、心より感謝致します」


「え?あ、あはは。そ、そうね!感謝してくださいまし!オホホホホッ!」


高笑いをするエリーナさん。しかし、周囲からの冷たい目線はより厳しくなります。負けたモノには厳しい世界なのでしょう。もし後で心が傷ついていたら、神の導きを教えて差し上げることにしましょう。ストレスが多いでしょうし、意外と貴族の方々にはお仲間になってくれそうな方が多いのかも知れませんね。


「……す、凄い。フェルルさん。凄いです!賭けに勝っちゃうなんて!!」


「ありがとうございます。リセス様。しかし、私は下の立場なのですから、フェルルと呼び捨てにして頂いて構いません。……あっ。それと、必要でしたら今回で得た金貨の一部をお譲りしますが」


貴族社会の非常さについて考えていると、リセスさんに話しかけられました。今まで見たことがなかったようなキラキラした目を向けてきていて、声も明るいです。随分と印象が変わりましたね。これが素なのでしょうか?


「金貨は、……も、もし良いのであれば2枚くらい貰えませんか?」


「ええ。構いませんよ。2枚と言わず、200枚くらいならすぐにお渡し致します」


「い、いえいえ。そんなにいらないです!あっても使わないので!」


200枚は必要ないですか。これは残念ですね。今のうちにお金を渡しておいて、所謂ズブズブな関係になっておきたかったのですが。

ただ、2枚は受け取ってくださるそうなので、ここから金額を大きくしていって………。


「あらぁ~。快勝されたのですね。うらやましいですわぁ。……私、クロリア・エール・ハルギスと申します。その運。私にも見せつけてくださらない?」


未来のズブズブな関係について考えていたら、また新しい方に中断させられてしまいました。エリーナさんと同じく、お嬢様といった印象を受けるしゃべり方ですね。今更言うような話では無いかも知れませんが、この世界に来てから、こんなしゃべり方をする人が本当にいるのかと驚いています。


「また賭けをしようというお話ですか。……リセス様。今後のことをどうされるおつもりなのか、お聞きしても?」


「え?わ、私ですか?」

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