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教え12 供回りですか?

「おぬしに、第3王女であるリセスの供回りになって欲しいと思ってな」


「リセス様、ですか」


第3王女リセスさん。どこかの言語ではリセスが休み時間とか言う意味だった気もしますが、おそらく関係ないです。

ゲームではほとんど出てこられない方でしたので、あまりよく知っている方でもありません。出てきたときは、大抵第1王女さんや第2王女さんにいじめられていましたね。出番はそこくらいしかなかったはずです。

その方の供回りになる、つまり、取り巻きになると言うことは、相当リスクが高いです。いじめられていたことからも分かるとおり、あまり高い地位にもおらず、供回りに就いてもデメリットの方が大きいので。


「陛下がその要求をする理由をお聞かせ頂いても?」


「ああ。もちろんだとも。……理由は、ただリセスに供回りが1人もいないからだ。後ろ盾が1つもない現状、何も出来ずに後継者争いに負けて命を落としてしまう可能性が高いから、少しチャンスをやろうと思ったまでのこと」


これは判断が難しいですね。言葉通りに受け取るとすれば、娘への気遣いだと思えます。

しかし、狙いがそれだけだとは全くもって思えません。新公爵の娘へ、最弱の王女様への支援なのですから。我が家をすりつぶそうとしているようにも受け取れます。

しかし、それでも、


「なるほど。……そのお話、1つ私のお願いを聞いて頂けるのでしたらお受け致しましょう」


「なっ!?フェルル!やめなさい!」


おっと。お父様が非常に焦った表情で私を睨まれました。後ろ盾になるくらいでそこまで怒らなくても、と思われるかも知れませんが、お父様の気持ちは私にもとても良く分かります。

お父様が怒っているのは、王位継承権争いが非常に苛烈であるということが原因です。

基本的にですが、王族方の中で王位継承権を持つ方は、2つの選択肢を持ちます。それは、王位継承権を放棄するか、それとも王位継承をかけて戦いを挑むか。

ただ、どちらを選んでも茨の道であることに変わりはありません。


「お前の命が、そして我が家がなくなりかねない!」


まず、継承権を放棄した場合。これは、全ての権力を手放し、平民として生きる道を選ぶことになります。何の財産も与えられずに。

辛い道になるのは分かりきっていますね。

そして、王位継承を巡って争う場合。こちらの場合は。負ければほとんどが処刑されます。唯一生き残るのは、継承を勝ち残り王へとなった者のみ。因みに説明しておきますと、負けたときに処刑されるのは負けた方がまた王位を巡って何かしてくるのを防ぐためですね。本人にその気が無くとも、担ぎ上げる貴族などもいらっしゃるわけですし。

それも考えて、王となった方は自分以外の後ろ盾になった貴族の方も処刑してしまいます。つまり、もし私がリセスさんの後ろ盾になった場合、リセスさんが負けてしまったら、私もお父様たちも処刑されてしまうわけですね。


「黙っておれジーモイーブ公爵。我は、フェルルと話をしているのだ」


「っ!」


国王様に言われると、お父様も黙ってしまいます。しかし、目で必死に私に拒否するよう訴えかけてきていますね。普段しない表情が見れて、私はなかなか楽しいです。

しかし、いつまでもそれを観察しているわけにもいきませんね。私のお願いを言いませんと。


「では、私からのお願いを言わせて頂きます。今回の継承権争いにおいて、私の命はともかく我が家の取り潰しを免除して頂きたく」


「む?……取り潰しの免除、か」


国王様は難しい顔をされます。確かに、ここで私たちの家を特別扱いするのは難しく感じるかも知れません。それに、我が家を潰すことが目的なのかも知れませんし。出る杭は打たれると言うことです。

しかし、それが分かりながらも、私はたたみ掛けさせて貰います。


「陛下の思いがリセス様にチャンスを与えると言うことにあるのであれば、何の問題も無い願いだと思われるのですが」


国王様は、私に要求する理由はリセスさんが何も出来ずに死ぬのは可哀想だから、といった理由でした。

もしリセスさんにチャンスを与えることだけが目的であれば、我が家が取り潰される必要は無いわけです。私自身の命の補償は要求していないので、私は本気でリセスさんを支援するわけですし。


「………くははははっ!なるほど。確かにそうであるな。いいだろう。では、その願いを叶える代わりに、フェルルにはリセスの供回りになって貰おう」


「ええ。もちろんでございます。謹んでリセス様の供回りにならせて頂きましょう」


こうして、私は第3王女であるリセスさんの供回りとなることが決まりました。

しかし、誰も思ってもみなかったことでしょう。私がこの国王様の要求を受け入れた理由が、家が継承権争いで潰れてしまわないこと以外にもあるということなど。

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